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市政報告(平成30年第1回市議会定例会)

最終更新日:

 

本日ここに、平成30年第1回南島原市議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆さまにはご健勝にてご出席を賜り、厚く御礼を申し上げます。
 毎年、第1回定例会におきましては、次年度に向けた「施政方針」を申し述べているところですが、本年7月をもって私の第1期目の任期が満了となることから、本日は、4年間にわたる市政運営の総まとめとして「市政報告」をさせていただきます。
 また、併せて、平成30年度当初予算の概要をご説明申し上げ、議員各位並びに市民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 さて、私が平成26年7月に多くの市民の皆さまのご支援をいただき、市政運営の重責を担うようになってから、4年の歳月が流れようとしています。この間、国内外においては様々な出来事がありました。
 主要なものとして、平成26年12月の「第3次安倍内閣発足」、27年7月「明治日本の産業革命遺産の世界文化遺産登録」、9月「安全保障関連法成立」、28年4月「女性活躍推進法施行」、同月「熊本地震発生」、6月「改正公職選挙法による選挙権年齢の18歳への引き下げ」、8月「リオデジャネイロオリンピック開催」、10月「国勢調査における国内総人口の初の減少」、29年1月 「アメリカ合衆国大統領の改選」、9月「北朝鮮の6回目の核実験実施」などが挙げられます。
 そのような中、私は、まちづくりの基本理念である「住み続けたい・住んでみたいまち 南島原」の実現のため、「1 安全で地球環境に優しいまち」、「2 確固とした基盤のうえに、活力ある産業を育むまち」、「3 歴史・文化を大切に活用した賑わいのあるまち」、「4 住みやすい環境で、健康に暮らせるまち」、「5 安心して子育てができ、いきいきと学ぶことのできるまち」という5つの指針を掲げ、各種施策を実施するとともに、課題のひとつひとつに向き合い、対策を講じてまいりました。
 その結果、各分野において、成果や進展を見ることができたものと思っております。もちろん、積み残した課題や実施できなかった施策もありますが、多数の懸案事項について、課題解決に向け一定の方向性を指し示すことができたものと考えているところです。
それでは、先に申しました5つの指針の視点から、今日までの具体的な成果について、ご報告させていただきます。

 

1 安全で地球環境に優しいまち

(1)地域防災体制の強化

 地域防災体制の強化でございますが、防災行政無線につきましては、FMしまばらを利用した防災ラジオ方式の戸別受信機を全世帯並びに医療・福祉施設をはじめとする関係施設へ配布するとともに、公共施設へも設置いたしました。これにより屋内においても防災情報を受信できる環境が整ったところです。
 自主防災組織については95パーセントを超える高い組織率を維持しておりますが、さらに、防災図上訓練や防災講習会等の実施により、組織の機能強化に取り組みました。
 消防関係につきましては、防火水槽9箇所の新設、消防車両8台の更新など、消防施設の計画的な整備を行い、また、新たに女性消防団員の加入推進による体制の強化に努めてまいりました。

 

(2)環境行政の充実

 次に、環境行政の充実でございますが、有家町から加津佐町までの6地区における「燃えないごみの収集」について、平成29年度から、燃えるごみと同様に、『ステーション収集』を開始し、皆さまの利便性向上を図りました。
 南有馬衛生センター「し尿処理施設」は、経年劣化による処理能力の低下に対応するため、平成28年度に長寿命化計画を策定いたしました。現在、施設整備基本計画の策定に取り組んでおり、32年度までに施設更新による処理能力の拡大を図ることとしております。
 南有馬クリーンセンター「ごみ処理施設」も老朽化が進み、今後のあり方を検討する時期を迎えていることから、県央県南広域環境組合での広域処理化の検討を開始いたしました。

 

2 確固とした基盤のうえに、活力ある産業を育むまち

(1)農林業の振興

 農林業の振興でございますが、農業生産基盤の整備では、県営事業の深江町諏訪地区、加津佐町空池原地区、西有家町見岳地区について、早期完成を目指し、事業推進に努めてまいりました。また、深江町馬場地区、加津佐町津波見地区、有家町中部地区の新規事業採択に向け取り組んでいるところです。
 農道につきましては、布津町宮ノ本中通地区など4路線について、現在、整備中です。排水路につきましては、布津町平之坂・天ケ瀬地区など2地区の整備に着手いたしております。
 農業者が自ら行う農道や水路の整備について、平成28年度から、農業農村整備事業の補助率を5割から8割へ引き上げ、また、農業用施設原材料等支給の対象を、重機借上だけでも支給できるようにするなどの拡充を図りました。その結果、農業農村整備事業60件、原材料支給188件の活用がなされ、市内各所における農道・水路の整備が進展いたしました。
 農業生産に係る施設につきましては、低コスト耐候性ハウスの整備など78件、肉用牛の牛舎や肉用鶏のウインドレス鶏舎など5件の整備、また、流通対策としてみかんの糖酸度センサーを備えた選果機の整備のほか、半島3市の共同支援事業として、畜産業と流通業とを結ぶ食肉センターの大規模改修事業について取り組みました。
 遊休農地等の利活用対策につきましては、農地中間管理事業を活用し、担い手への利用集積を推進し、約270ヘクタールの締結がなされました。また、平成28年度からオリーブの苗木購入の助成を行い、3.6ヘクタールを植栽、現在、市全体で約12ヘクタールのオリーブが栽培され、新しい作物として産地化が進んでおります。
 新規就農者の確保につきましては、年間最大150万円を支給する「農業次世代人材投資資金」制度を活用し、この4年間で、個人30人、夫婦17組、計64人の方が受給され、現在、市農業の中核を担うべく努力されているところであります。
 農業の6次産業化については、機械・施設の導入経費に対する補助制度を創設し、7件の取組に対し支援をいたしました。その結果、西有家町の「茸山茶屋ひかり」による「イチゴを活用したかき氷」や北有馬町の「セミナリヨの丘銀杏畑」による「冷凍銀杏」の製造・販売等の多数の実績につながりました。
 有害鳥獣対策では、4年間で、ワイヤーメッシュ柵46万7,940メートル、電気柵9万740メートルを整備したほか、広範囲に設置した既存の防護柵の内側に追加の防護柵を設置できるよう、「イノシシ防護柵機能向上対策事業」を創設し、機能の向上を図りました。また、狩猟免許所持者と地域の農家等で組織する「捕獲隊」の編成を推進し、さらに、急増するアナグマ被害に対しても報償金や箱わなによる捕獲対策を講じました。

 

(2)水産業の振興

 次に、水産業の振興でございますが、タコ・イカの産卵施設の設置やカサゴ・ヒラメなどの種苗放流、海底耕耘事業、藻場造成等に取り組んでまいりました。
 漁港の整備につきましては、平成26年度に深江漁港が完成し、布津漁港につきましても、現在までに約93パーセントが完了し、30年度の竣工を予定しているところです。
 その他、水産関係施設につきましては、平成26年度以降、島原半島南部漁協の漁獲物荷さばき施設や布津町漁協の製氷設備など18施設の整備に取り組みました。

 

(3)商工業の振興

 次に、商工業の振興でございますが、平成28年度に南島原市創業支援計画を策定し、特に新規創業の支援に力を入れてまいりました。28年度には、創業に係る各種経費に対する助成・融資制度を創設し、その結果、針灸・整骨業、食品加工業、飲食業など18件の創業につながったところです。
 住宅・店舗リフォームへの補助制度については、市民の皆さまに大変好評であり、毎年、200件を超える活用がなされております。平成28年度には制度を拡充し、店舗の補助率を10パーセントから20パーセントへ引き上げ、さらに、旅館・ホテルも対象に加え、補助率を30パーセントといたしました。
 また、ITを活用した市内産業の活性化を目的として、IT関連開発合宿事業「アイデアソン・ハッカソン」を実施いたしました。大都市圏のIT技術者や市内事業者等の参加により、スマートフォンを通じて農産物の栽培管理ができるアプリ「クラウドファーム」を開発するなどの成果がございました。
 企業誘致につきましては、東京駐在員を配置し、企業訪問や展示会等イベントへの参加を通じて、都市部企業の本市立地の促進に取り組んでまいりました。その結果、平成28年3月にはIT企業 株式会社セラクの誘致に至りました。
 また、平成29年6月には、県、諫早・島原ハローワーク、半島内の3市連携による島原半島内の高校生を対象とした合同企業説明会を初めて開催いたしました。411人の参加があり、今後の若者の地元定着に向けての足掛かりを得たところです。
 市の基幹産業であります、島原手延そうめんにつきましては、産地ブランドの確立と海外への販路拡大を行い、平成28年にはフランス・パリの老舗高級百貨店で常設販売されることになりました。
 国内におきましては、そうめんの日の新聞広告、長崎空港での電照看板の設置、PR動画の制作、日本橋のアンテナショップや博多駅などでの試食イベントの実施による知名度向上と消費拡大に取り組みました。
 また、平成26年度には、そうめんの品質・衛生水準向上のための工場改修や機械設備の購入経費等に対する補助制度を創設いたしました。これまで102件の助成を行っております。
 さらに、平成27年度に、「おいしい南島原ブランド認定制度」を創設いたしました。これまでに17事業者の47商品を認定し、この認定品のPR推進による経済活性化対策に取り組んでいるところです。

 

(4)道路の整備

 次に、道路の整備でございますが、市道の積極的な整備を進め、この4年間で、93路線に着手し、北有馬町折木地区と南有馬町梅谷地区をつなぐ市道清谷小谷線や、加津佐町六反田地区と南有馬町白木野地区をつなぐ市道峠白登線など52路線が完成いたしました。
 市道の維持管理事業につきましては、自治会からの要望に応えるため、重点事業として位置付け、平成28年度の予算では対前年比で倍額の8,000万円、さらに、29年度は1億4,000万円を計上し、約100箇所を整備いたしました。
 また、清掃・美化等の活動を行う30の団体を道路の愛護団体として認定し、この活動を支援する補助金制度を創設し、ソフト面における取組の強化を行いました。
 地域高規格道路の整備につきましては、関係自治体や道路整備促進期成会と連携・協力し、関係機関への要望活動を実施してきたところであり、この件につきましては、今後も引き続き、要望等を続けてまいります。
 国道や県道の整備につきましては、県へ働きかけを行い、平成26年度には一般県道矢次南有馬線の拡幅改良、27年度から28年度にかけて市内主要交差点28箇所への交差点名板の設置、28年度に国道251号南有馬原城入口のバスベイ整備が行われ、交通の利便性や住民生活の安全向上が図られました。また、28年度からは、国道251号布津から深江間の歩道整備工事も進んでおり、通学路における児童生徒の安全確保を図っております。

 

(5)交通環境の整備

 次に、交通環境の整備でございますが、口ノ津港再整備につきましては、平成26年度から事業に着手し、現在までに埋立の約9割が完了しております。ターミナルを、定期航路と路線バスの接続、イルカウォッチングの発着点、口之津支所配置など多くの機能を持つ施設へと更新するため、現在、工事に向け準備を進めているところです。
 島原鉄道跡地につきまして、島原鉄道株式会社との協議が整い、29年度末をもって無償譲渡を受ける運びとなりました。現在、活用策について検討を進めているところですが、まずもって、適正な管理を行っていくこととしております。
 また、島原鉄道株式会社につきましては、地域経済活性化支援機構及び長崎自動車株式会社による再生支援が決定いたしました。これにより、経営管理体制の強化・再構築が図られ、地域住民の交通インフラの確保、観光・交流人口の増加が期待されるところです。

 

3 歴史・文化を大切に活用した賑わいのあるまち

(1)世界遺産のまちづくり

 世界遺産のまちづくりでございますが、世界文化遺産登録につきましては、「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」の推薦書取下げ、日野江城跡が構成資産から除外されるという紆余曲折を経て、平成29年2月「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」として推薦書が提出され、9月にイコモスの現地調査を受けたところです。今年の夏に登録の可否が決定されますが、関係者共々、万全の態勢で取り組んでまいりましたので、必ずや良い結果を得られるものと期待しております。
 また、史跡の整備・保護管理や、その価値を伝えるガイダンス施設である有馬キリシタン遺産記念館の充実、史跡のガイドアプリの開発や案内看板の整備なども行ってまいりました。
 さらに、来訪者の増加に対応するため、平成28年度、国道沿いに観光バスに対応できる周辺駐車場とトイレを、原城温泉「真砂」の隣接地に自家用車向けの駐車場を整備いたしました。
 加えて、現在、世界遺産のガイダンス機能や物産販売などの機能を備えた施設の整備や原城VRコンテンツの制作、日野江城跡の周辺駐車場の整備につきましても事業を進めているところです。

(2)観光の振興

 次に、観光の振興でございますが、農林漁業体験民泊の推進につきましては、順調に受入数が増加し、平成26年度には修学旅行を中心に所期の目標であった1万人を超えました。28年度は熊本地震の影響により約6,300人まで受入数が減少いたしましたが、ひまわり観光協会を中心とした誘客対策強化等により、順調に回復し、30年度の予約者数は1万1,000人を超え、過去最多となっております。
 海外からの利用につきましても、台湾を中心に平成26年度は約1,000人、27年度は約1,400人の受入れを行いました。熊本地震の影響により一旦減少しましたが、海外からの教育旅行を新たなターゲットに加えるなどの対策を講じ、中国・韓国などからの旅行者が増加し、29年度には約1,000人まで回復いたしました。
 また、どぶろく特区につきましては、平成29年1月には製造者が3軒まで増えたところです。29年2月には、九州初となる、全国どぶろく研究大会を本市において開催し、全国から278人の参加があり、どぶろく産地としての認知度がさらに向上したところです。
 九州オルレ南島原コースにつきましては、平成27年11月のオープン以来、28年度には3,500人、29年度には4,000人を超える方に訪れていただいております。オルレ発祥の韓国の愛好者からも高い評価を得ており、本場済州オルレや九州各県のオルレコースとの連携により南島原コースの定着化と誘客増を進めております。
 また、周辺地域との観光交流連携にも取り組み、平成29年8月には、「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産を有する天草市と交流連携協定を締結いたしました。天草市の「﨑津集落」と本市の「原城跡」や観光地を巡るモニターツアーや各種イベントへの出店による観光・物産のPRなどを協力して実施いたしました。

 

(3)芸術・文化のまちづくり

 次に、芸術・文化のまちづくりでございますが、セミナリヨ現代版画展につきましては、銅版画発祥の地としての認知が深まり、年々応募作品が増加し、29年度には、これまで最多の1万3,843点の作品が寄せられ、小学生から一般までを対象とした公募による版画展として、国内最大規模にまで成長いたしました。
 市内における「芸術の村づくり」を目指す「アート・ビレッジ・シラキノ事業」の拠点施設とするため、29年度に旧白木野小学校の改修工事を実施いたしました。今後、若手芸術家が滞在し作品制作を行う「アーティスト・イン・レジデンス」活動やワークショップ等を通じた創造性豊かな地域づくりに向け準備を進めているところです。
 また、平成26年度に西南学院大学博物館と研究教育に関する協定を締結し、博物館のキリシタン関連資料を展示する企画展、各種講座やワークショップ等を開催し、教育・普及活動の活発化を図りました。

(4)多様な交流と移住・定住促進

 次に、多様な交流と移住・定住促進でございますが、本市では、平成24年から平成遣欧少年使節として、毎年中学生をイタリアやバチカン市国へ派遣し交流を進めてきたところです。28年11月には、長年の活動が実を結びキエーティ市との「友好都市」締結に至りました。
 移住促進対策では、平成28年度に、長崎県並びに県内市町と共同で、東京都及び長崎市に移住サポートセンターを設置し、相談体制・情報発信の強化を図りました。また、移住相談会への参加、空き家バンクの紹介、空き家改修補助、お試し民泊費用の助成を実施し、結果、4年間で42人の移住につながりました。
 平成27年度には地域おこし協力隊7人を採用いたしました。廃校利活用、南島原ブランドやマリンレジャー構築の各分野について取組を進め、市産品の知名度向上や販路拡大を図ったほか、旧山口小学校や旧津波見小学校を拠点としたコミュニティ活動の活性化に結び付けることができました。
 また、平成28年10月には、旧長野小学校塔ノ坂分校に「南島原食堂」をオープンいたしました。「島原手延そうめん」を中心としたメニュー提供や観光情報の提供、イベント開催により、29年度には延べ1,000人を超える方の来訪があるなど、本市の交流の拠点として成長いたしました。

 

(5)南島原市の魅力発信

  次に、南島原市の魅力発信でございますが、「南島原市の知名度」を高めるため、平成26年度からシティプロモーション事業に取り組み、テレビやラジオ、新聞、雑誌への掲載など、多様なメディアを最大限に活用し、本市の食、人、歴史、自然などを紹介してまいりました。29年度は、株式会社ソラシドエアとの連携によるラッピング飛行機「おいしい南島原号」の運航や観光ショートフィルム「夢」を制作し、注目を集めているところです。
 また、本市の広報紙が、全国広報コンクールにおいて、2年連続で入選を果たすなど、この4年間で、本市の情報発信力は大きく向上したものと捉えております。

 

4 住みやすい環境で、健康に暮らせるまち

(1)高齢者・障がい者福祉の充実

 高齢者・障がい者福祉の充実でございますが、福祉タクシー・バス利用券交付制度は、市民の皆さまに大変好評であり、毎年5,500人を超える方に利用いただいております。29年度には、運転免許証の自主返納者に対し利用券を追加交付できるよう制度を拡充し、より利便性の向上を図りました。運転者の自主返納により交通事故防止にも寄与できていると考えております。
 また、急病や災害時における連絡・支援を行うための緊急通報システム設置や介護予防教室の開催など、自宅で安全に安心して暮らすための対策を講じるとともに、自宅での生活が困難となった方については、生活支援ハウスや養護老人ホームへの入居支援を行うなど、高齢者の状態に応じた、きめ細やかな支援を行っております。

 

(2)医療・保険の充実

 次に、医療・保険の充実でございますが、平成26年度末をもって島原病院の泌尿器科が休診となったことを受け、積極的な要望活動に取り組んだ結果、島原病院、長崎大学医学部の協力のもと、28年度から泌尿器科診療が再開されました。
 また、市民の健康寿命の延伸と生活の質の向上を目指し、市民一人ひとりの状態に応じたきめ細かな保健指導に努め、生活習慣病の発症予防や重症化予防対策を進めてまいりました。
 国民健康保険につきましては、保険料の増加を抑えるため、一般会計から繰入を行うことにより、被保険者の負担軽減を実施してきたところです。

 

(3)上水道の整備

 次に、上水道の整備でございますが、平成27年度に、西有家塔ノ坂地区と加津佐津波見、越崎地区の整備が完了し、市内の水道未普及地域が解消いたしました。
 また、水道統合整備事業では、施設の統廃合、連絡管の整備を行い、平成28年度には加津佐地区への送水開始により、津波見川からの取水も取りやめることができました。
 さらに、平成29年度には島鉄跡地を活用した水道管の敷設整備等の結果、市内全域に、安定した飲料水の供給が可能となったところです。

 

(4)下水対策の推進

 次に、下水対策の推進でございますが、下水道整備について、口之津処理区と南有馬処理区において、公共下水道の整備を進めており、口之津が93.6パーセント、南有馬大江地区が97.3パーセントの整備率となっております。
 また、浄化槽設置整備事業補助金の交付による合併浄化槽の設置を推進し、この4年間で計491件の設置がなされ、より一層の公共水域の水質保全と生活環境の改善が進みました。
 口之津地区の雨水排水対策については、平成26年度から29年度にかけて、口之津町大屋地区に木之崎雨水ポンプ場を建設し、大雨による浸水被害対策の向上を図りました。

 

(5)空き家等対策計画の策定

 次に、空き家等対策計画の策定でございますが、近年、全国的にも大きな問題となっている適切な管理が行われていない空き家に対応するため、平成30年度からの10年間を計画期間とする「空き家等対策計画」を策定いたしました。この計画に基づいた適切な管理や利活用に向け、体制の整備などの取組を進めているところです。

 

5 安心して子育てができ、いきいきと学ぶことのできるまち

(1)子育て支援の充実

  子育て支援の充実でございますが、小学4年生までの子どもがいる家庭の保育料につきまして、平成27年度に第2子目を半額、28年度には同時に入所している第2子目の保育料を無料とし、子育て世帯の経済的負担の軽減を図りました。
 また、インフルエンザ予防接種費用の助成対象を中学生まで拡充し、不妊治療等費用の助成制度も創設いたしました。
 さらに、病後児保育・延長保育・障害児保育事業、5歳児健康相談事業の各種支援対策の実施のほか、保育所・放課後児童クラブ・子育て支援センターの施設整備などにより子育てしやすい環境づくりに取り組んでまいりました。

 

 (2)学校教育の充実と環境整備

 次に、学校教育の充実と環境整備でございますが、安全で快適な教育環境を提供するため、平成26年度までに校舎及び体育館の耐震補強工事を完了し、27年度からは外壁や建具などの非構造部材対策工事を実施しております。
 エアコン整備につきましては、平成28年度に市内8中学校の全普通教室に設置を完了しました。小学校についても、29年度に設計に着手し、30年度から、順次、設置してまいります。
 また、統合小学校児童の通学の安全を確保するため、計画的にスクールバスを整備しているところです。
 有家小学校校舎建設につきましては、29年度から設計に着手し、平成32年度末の完成を目指し、事業を進めております。
 電子黒板等のICT機器につきましては、平成26年度から導入を開始し、市内の全小中学校への配置が完了いたしました。
 学校給食関連では、安全・安心で均一な学校給食が提供できるように、平成29年7月に学校給食センター建設基本・実施設計に着手しました。現在、32年9月の供用開始を目指し、事業を進めております。
 英語教育の充実に向けては、既存の「外国語指導助手(ALT)」に加え、平成29年度から、新たにフィリピンで英語教師をされていた3人を「英語指導助手(EAT)」として任用し、市内全小学校へ派遣いたしました。
 また、将来、世界で活躍できる人材育成を図るために、平成29年度に、小・中学生の英語検定受検料の補助制度を創設し、小学生20人、中学生337人が受験いたしました。
 また、奨学金制度を活用した人口減少対策として、平成28年度に、奨学金の償還金を補助する制度を創設いたしました。これは、進学で本市を離れた学生が卒業後にUターンし、地元で仕事をされた場合に助成するものです。29年度は7人がこの制度を利用し、ふるさと南島原で活躍されているところです。

 

 (3)生涯学習のまちづくり

  次に、生涯学習のまちづくりでございますが、家庭や地域の在り方が大きく変化していく中で、市民一人ひとりが今後の南島原市を考えるため、平成29年度に「地域の力を考える集い」を市内4箇所で開催しました。約250人の参加があり、地域の課題解決の仕組づくりや持続可能な組織づくりを図ったところです。
 また、平成27年5月に、長崎女子短期大学と教育・研究に関する協定を締結し、「親育ち講座」や「保護者支援士講座」の実施により家庭の教育力向上に努めてまいりました。
 その他、家庭教育の支援として、平成28年度に「南島原ファミリープログラム」を作成し、親子がともに学びあえる機会の充実を図りました。
 スポーツの推進につきましては、綱引き大会や原城マラソン大会などを開催いたしました。とりわけ原城マラソン大会は参加者が2,000人を超え、市を代表するスポーツイベントに成長いたしました。
 また、フィットネススクールや水泳教室などのスポーツ教室の開催、総合型地域スポーツクラブ「チームひまわり」との連携による「元気フェスタウォーキング」や「スポーツ指導員養成講座」の実施などにより、生涯にわたってスポーツに親しむことができる環境づくりを図ってきたところです。
 長年の懸案事項であった、有馬商業高校跡地につきましては、多目的運動広場として活用する計画をもって、平成29年12月、長崎県から無償譲渡を受けたところです。31年度の完成を目指し、準備を進めております。

 

6 その他(行政改革関連)

(1)行財政の健全化

 次に、行財政の健全化でございますが、平成28年3月に、第3次の「行政改革大綱」並びに「集中改革プラン」を定め、引き続き行政改革に取り組んでまいりました。その結果、26年度から28年度までに、約30億円の財政効果を上げることができました。特に、職員定員につきましては、39人を削減し、定員の適正化を着実に進めてまいりました。
 財政の健全化につきましては、「行政改革大綱」、「定員適正化計画」及び「財政計画」に基づき、人件費の削減、地方債残高の減額、公債費の抑制及び基金の増額など、一定の効果を収めているところです。
 実質公債費比率は25年度末の10.8パーセントから28年度末には7.3パーセントに改善し、将来負担比率は、23年度以降0パーセントを維持しております。
 地方債残高につきましても、25年度末の277億円から28年度末には225億円となり、52億円減少しております。
 基金残高は、25年度末が205億円で、27年度からは繰上償還の財源として計画的に取崩を行う一方、積立も行い、28年度末で206億円となっております。
 次に、公共施設の関係ですが、施設の老朽化に伴い、施設の維持管理、改修や更新等の費用が増加していくことが見込まれます。そのため、平成29年3月に「公共施設等総合管理計画」を策定いたしました。今後、施設ごとの個別計画を策定し、施設の統合・廃止も含む対策を講じることにより、40年間で更新費用35パーセントの圧縮と施設の適正配置を目指してまいります。
 また、ふるさと納税につきましては、地元産品をお礼の品とし、インターネット上での寄附申込みやクレジット決済を導入するなど大幅なリニューアルを行いました。その結果、26年度まで年間500万円程度で推移していた寄附金が2億円まで増加し、自主財源の確保のみならず地域経済の活性化に大きく貢献いたしました。

 

(2)入札制度の適正・効率化

 次に、入札制度の適正・効率化でございますが、皆さまご承知のとおり、私は、「入札制度の改革を行い、失われた市政への信頼を回復する」ということを公約の第一に掲げ、優先的に取り組んでまいりました。
 まず、平成27年度から、700万円以上の工事については原則として一般競争入札とし、入札及び契約手続における公正性の確保と透明性の向上に取り組みました。
 次に、南島原市議会からの「外部委員による第三者委員会の設置を求める」申入れを受け、入札監視委員会条例を定め、平成27年10月に委員会を設置いたしました。
 さらに、平成29年度から電子入札の運用を開始いたしました。これまで、事業者が市役所へ出向いて行っていた入札に係る一連の手続を、インターネットを通じて行うことができるようシステムを整備いたしました。

 

(3)第2期南島原市総合計画等の策定

 次に、第2期南島原市総合計画等の策定でございますが、近年、全国的に「人口減少対策」が大きな課題となっているところです。本市においても、この対策のため、平成27年度に「南島原市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定し、国の交付金等を活用しながら各種施策を実施してまいりました。
 さらに、本年3月末をもって、平成20年度から10年間を期間として策定した「第1期南島原市総合計画」の計画期間が満了となります。このため、平成30年度から39年度の10年間を期間とする「第2期南島原市総合計画・基本構想」を策定いたしました。新たな10年におけるまちづくりの「基本理念」を「一人ひとりの「しあわせ」のためにみんなで進めるまちづくり」とし、目標とする市の「将来像」を「これからも住み続けたい 住んでみたいまち みなみしまばら」といたしました。今後、この将来像の実現に向け、鋭意取り組む所存ですので、議員の皆さまにおかれましては、引き続き、市政運営に対し、ご協力くださいますようお願い申し上げます。

 

平成30年度当初予算編成方針

 次に、平成30年度当初予算の編成にあたっての考え方について、ご説明をいたします。
 平成30年度の予算編成につきましては、28年度から普通交付税の合併算定替の段階的縮減が始まり、今後、縮減率が拡大されていくことを踏まえ、「第3次行政改革大綱」で示しております改革の取組を今後も継続し、歳入歳出全般にわたり、見直しを行いました。
しかしながら、「第2期 南島原市総合計画」が目指す本市の将来像に資する事業、「総合戦略」に沿った人口減少対策あるいは地方創生に関する事業を実施する必要があることから、「南島原市 創生特別枠」を設定し、重点配分を行いました。
 加えて、政策評価の活用、「市民の声・現場の声」を反映した事業などに積極的に取り組むこととしております。
 ただし、本年6月に市長選挙が行われることから、平成30年度の当初予算については、継続的な事業は予算を計上し、選挙後に新規事業などの政策的経費は「肉付け予算」として編成することとしております。
 したがいまして、当初予算は、原則、人件費、公債費、扶助費などの義務的経費や、管理的な行政経費、及び継続中の建設事業などを計上することとした「骨格予算」として編成することといたしました。

特に、
○「南島原市学校給食センター建設事業」 7億1,000万円
○「有家小学校校舎建設事業」      2億3,200万円
○「多目的運動広場整備事業」        4,600万円
などを継続的な建設事業として計上いたしました。

 その結果、一般会計の予算総額は、前年度に比べて0.04パーセントの増の300億円、国民健康保険事業特別会計など3特別会計予算の総額は同28.1パーセントの減の99億円、水道事業会計につきましては、簡易水道事業特別会計と統合した予算総額は、同486.3パーセントの増の19億円となりました。
 詳細につきましては、定例会参考資料に掲載しておりますので、説明を省略させていただきます。
 以上、今日までの取組を振り返りながら、市政運営に対する所信の一端と当初予算の概要について申し述べさせていただきました。
 議員の皆さまをはじめ市民の皆さまのご理解とご協力をお願いします。

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