3 インフラの整備
本市における産業の発展のためには、インフラの整備は最も重要な課題であることは言うまでもありません。市道や県道の整備はもちろん、地域高規格道路の早期実現は、要望も含め根気強く継続してまいります。
また、口之津港再整備につきましては、有明海を有効に活かす上で重要な海上輸送の拠点として、世界遺産登録後においては観光客受け入れの鍵となるものです。さらに、長崎の茂木港との連絡航路が復活しますと、新たな需要を喚起することにもなると思います。
一刻も早い実現が望まれる交通網の整備につきましては、高規格道路の完成は先が見えない状況にあるなかで、既に県とともにミニバイパスなどの代替案を検討する勉強会が立ち上げられており、有家バイパスや加津佐~小浜間についても検討してまいります。
4 福祉政策
福祉関係につきましては、子育てに対する施策としては、現在、すこやか子育て支援事業として、3人以上の児童を扶養する保護者の経済的負担を軽減することで、子どもの福祉の向上や出生率が上がることを目的に、小学校4年生以下の第3子以降の保育料を免除しております。今後も、少子化対策のひとつとして継続して行ってまいります。
高齢者や障害者への施策としては、市で実施しております「高齢者・障害者交通費助成事業」は、75歳以上の高齢者や一定の障害をお持ちの方で、自ら自動車を運転されない、交通手段が無い方々に、交通費の一部を助成することにより、外出の機会を増やしていただき、社会活動の範囲を広めてもらうことを目的として、平成22年度から行っているものです。
平成25年度からは、さらに利用しやすいようにタクシーに加え、島鉄バスも利用できるように制度を見直し、多くの方々にご利用いただいているところでございます。
今後も交通手段を持っていない高齢者・障害者が安心して暮らせるよう、この「高齢者・障害者交通費助成事業」を継続してまいります。
5 教育環境の充実
教育関係につきましては、児童・生徒が快適かつ効率的に授業が受けられるよう教育環境の整備を進めてまいります。
まず、平成26年度から30年度までの5か年で、市内小学校全学級に電子黒板、書画カメラ、管理用パソコンを整備する計画を進めています。本年度は、9月下旬から順次6年生の全学級に電子黒板等を設置いたします。ICT機器を授業へ効果的に活用し、「分かる授業」を行うことで、児童の学力向上を図るとともに、児童に「情報活用能力」の育成を図りたいと考えております。また、今後は成果を検証しながら、市内全中学校への設置も検討いたします。
小・中学校の校舎・体育館については、耐震補強工事が本年度で終了します。近年の温暖化、あるいは夏場の猛暑に伴う環境問題等を考えますと、普通教室においてもエアコンを設置すべきと考えております。現在、小学校の統廃合を進めておりますので、この進捗状況と歩調を合わせながら計画的な導入に向けて検討を進めてまいります。
6 世界遺産関連事業
「日野江城跡」と「原城跡」を構成資産とする「長崎の教会群とキリスト教関連遺産」につきましては、世界遺産登録へ手の届くところに来ているところです。今後は、これまでの成果を踏まえ、国内推薦決定を確実にするため、更なる取組の強化を図ってまいります。
長崎県が検討している「世界遺産センター(仮称)」の建設構想につきましては、教会建築を持たない本市には、目で見える世界遺産施設が必要であるとの認識に立ち、「世界遺産センター」の本市への設置について、県へ強く求めてまいります。
また、現地で観光客に分かりやすく案内する観光ガイドが果たす役割が大きいことから、南島原ガイドの会「有馬の郷」が先月設立されました。
この会を中心に案内体制を整え、南島原市の魅力を発信してまいります。
そのほか、セミナリヨ創設者「ヴァリニャーノ」の生誕の地、イタリアの「キエーティ市」との交流については姉妹都市の締結に向けた取組として記念樹の植樹、文化交流などの事業を行ってまいります。
7 防災事業
災害に備えた対応力の強化につきましては、市民への確実な情報提供を行うため、防災行政無線の戸別受信機整備事業を予定しておりますが、本市に適した基幹システムを精査検討してまいります。
また、市消防団の消防車両の計画的更新やトランシーバー等の装備の充実を図り、防火水槽等の整備により消防力の強化に努めてまいります。
加えて、昨年配置した危機管理専門員を中心に、関係機関と連携を取りながら防災減災に関する具体的な対策とその行動指針を整備し、安全・安心なまちづくりを進めてまいります。
8 ふるさと納税の取組
ふるさと納税制度につきましては、平成20年度の制度創設以来、ふるさとを思う多くの皆さまから多数のご寄付を頂いてまいりましたが、現在、他自治体においては、御礼の品をカタログから選べる方式やポイント制など多彩な方式を導入し、大きな成果を上げている自治体もございます。
また、政府は来年度より、税の控除上限額の引き上げなど、制度を拡充する方針を示しております。本市におきましても、これを好機と捉え、御礼の品の種類・額の見直し、地元特産品の活用、申込み手続きの簡素化等、寄付者の方にとって魅力ある制度へ改善・強化を行い、ふるさと納税の増加による自主財源の確保並びに地元特産品のPRを推進してまいります。
9 企業誘致
雇用機会を確保し、地域経済の活性化を図るためには、工場等の誘致が最も有効な手段であります。
しかしながら、輸送コストや輸送時間等地理的に不利な条件にある本市では、これまで輸送コストに左右されない情報通信業や情報処理サービス業を中心に誘致活動を進めてまいりました。大規模な工場等の立地は非常に難しい状況にありますが、今後はより多くの雇用が期待できる製造業や加工業等についても誘致活動を強化してまいります。特に、若い人が元気に活躍できる「働く場」を用意するため、市長である私が自ら先頭に立って企業誘致に全力を傾ける所存です。
また、「深江B団地」や「空き校舎」など市の遊休財産を活用し、教育や芸術等新たな分野の企業に対するアプローチに取り組んでまいります。
10 にぎわいのまちづくり
地域コミュニティを守るため、地域で継承されている諸行事に対する支援を行うとともに、地域の特色を活かしたまちづくりのため、地域それぞれの振興策を策定する「地域運営協議会」の設置についても検討してまいります。加えて、地域に貢献できる人材の育成、学識経験者の招へいによる研修会などにも取り組みます。
そのほか、観光、産業振興など島原半島三市が連携して行ったほうがより高い成果が見込めるものにつきましては、積極的に連携政策・行動を図ってまいります。
次に、加津佐前浜につきましては、公設市場の開設を目指し、関係各位のご意見をお聞きしながら慎重に進めてまいります。市民と行政が協働で、六次産業形態の施設を運営し、生産者の皆さまが無理のない参加方式で、販売に参入できる方法を考えてまいります。そのためにも、島鉄跡地の交渉を具体化する時期に来ていると認識しております。
県立有馬商業高校跡地に係る温浴施設を含んだ「文化・スポーツ施設」の建設計画につきましては、改めて計画内容の検証を行い、議員並びに市民の皆さま方のご意見をお聞きしながら、見直し・再検討を行っていくことといたします。
11 行財政改革
本市では、合併後10年という合併特例の期限切れを目前に控え、行財政改革に取り組んでいるところであります。
皆さまご承知のとおり、合併後10年間は普通交付税が特例措置されておりますが、それ以降は段階的に交付税が減額となります。本来、本市では約45億円が減額される見込みでしたが、算定替え終了後の新たな財政支援措置についての全国的な会が発足し、その全国約300の合併市が減額される額の縮減を求めて、国に強く要望してきたところでございます。
その成果として、平成26年度においては、合併特例期間以降の新たな交付税の措置として、約45億円の約3割、14億円程度の措置が決定されました。さらに、平成27年度以降についても、消防や福祉などに要する経費として、更なる追加措置が検討されております。これからも、国会議員連盟の先生方と一緒に力強く要望活動を続けてまいります。
行財政改革において「職員の定員適正化」と「庁舎の再編、再配置」は、特に大きな課題として、早急に検討すべきものと考えております。
「職員の定員適正化」につきましては、合併当初626人であった職員を平成28年度までの10年間で466人に削減する計画で、現在までに125人を削減しておりますが、削減に取り組む一方で、今後、市民サービスの維持、充実という面からも、十分検討する必要があると考えております。そのため、採用計画を含め具体的な組織及び配置人員等の検討作業に入ったところでございます。
また、「庁舎の再編、再配置」につきましては、合併協議会における協定事項や、有家庁舎の老朽化等も念頭に置きながら、現在3庁舎に分割されている現状を、どのような目標に向けて解決を図るかについて、議員及び市民の皆さまのご意見を聞きながら、着地点を見出す作業に着手するよう指示を出したところです。
本市の将来の健全な財政運営と強固な財政基盤を構築するため、今後も継続して行財政改革に取り組んでまいる所存でございます。
以上、私の所信の一端を申し述べさせていただきましたが、これらは、この「南島原市」で「住み続けたい」、「住んでみたい」まちの実現のために必要なものであり、これからの「南島原市」の未来を切り拓いていく指針になるものと確信しております。守るところはしっかり体制を固め、攻めるところはしっかり外に向かって攻めていかなければならない、と強く思っているところでございます。
今こそ、「南島原市」の底力を集結し、胸をはって自慢できる、誇りを持てる「南島原市」へ変革をさせてゆかなければならない、大事な時期を迎えております。
私は、今後、南島原市が飛躍していくための約束を果たすため、全身全霊を傾け、取り組んでまいる所存でございます。
