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施政方針(令和3年第1回市議会定例会)

最終更新日:

 

南島原市内を上空から撮影
 

 

第1 国内外の情勢

さて、2月の国の月例経済報告によりますと、現在、国内の景気の状況は、新型コロナウイルス感染症の影響により依然として厳しい状況にあるものの、持ち直しの動きが続いている一方、一部に弱さがみられる。先行きについては、緊急事態宣言の解除後も感染拡大の防止策を講じつつ、社会経済活動のレベルを引き上げていくなかで、各種政策の効果や海外経済の改善もあって、持ち直していくことが期待される。ただし、内外の感染症拡大による下振れリスクの高まりに十分注意する必要がある、とされています。

こうした中、我が国では、令和2年度第1次から第3次に至る補正予算により、雇用と事業を確保しつつ、感染防止対策の徹底、デジタル改革などによる経済構造の転換・好循環の実現、防災・減災、国土強靭化の推進などの施策が講じられ、ポストコロナに向けた社会の構築が進められています。 

我々、地方自治体においては、これらを踏まえ、新型コロナウイルス感染症に立ち向かうための施策を講じるとともに、行政のデジタル化による持続可能な自治体経営に努めつつ、地場産業の振興と暮らしやすいまちづくりに必要な施策を推し進めることで、人口減少社会に対応した、活力あるまちづくりを進めなければならないと考えているところであります。

 

第2 令和3年度の事業展開

それでは、令和3年度における施政方針につきまして、ご説明申し上げます。


【新型コロナウイルス感染症対策】
 新型コロナウイルス感染症につきましては、市民の皆さまの生命及び健康を守るため、総力を挙げて感染拡大防止対策に取り組んでまいります。
 新型コロナウイルス感染症のワクチン接種につきましては、本市の新型コロナウイルス感染症対策本部に専門の対策チームを設置し、国や県、地元医師会等の関係機関と連携しながら、接種体制の整備を進め、市民の皆さまが一日でも早く、安心してワクチンの接種を受けられるよう努めてまいります。
 また、新型コロナウイルス感染症に係る経済対策については、コロナの発生以来、影響を受けた事業者に対し、各種支援を行ってきたところです。しかしながら、今年に入ってからも長崎県の特別警戒警報発令に伴う時短営業により多くの飲食店や関連事業者が影響を受けられました。また、観光関連業者につきましても、本市の独自のGoToキャンペーン(誘客プロジェクト宿泊キャンペーン)を停止したことなどから、困難な経営を余儀なくされています。あるいは農業、水産業の皆さまなど、様々な事業者も影響を受けておられます。このことから、令和3年度におきましても、国の臨時交付金等も有効に活用しながら、これらの事業者の皆さま方を支えてまいります。


1 安全で地球環境にやさしいまち

次に、「第Ⅱ期総合計画」の指針の1点目「安全で地球環境にやさしいまち」についてでございます。

 

【防災・減災に関する取組の充実】

 コロナ禍に対応した避難所の体制につきましては喫緊の課題となっており、避難所における人と人との距離を保つため、避難所の開設箇所を従来の各町1か所から2か所、市全体では8か所から16か所に増やすとともに、簡易パーティションの使用による感染防止対策をはじめ、配置する人員や資機材についても整備を図ってまいります。
 また、令和3年は、雲仙普賢岳噴火災害から30年の節目にあたることから、本市(深江地区)と島原市(安中地区)との合同防災訓練を5月30日に実施いたします。
 地震発生による溶岩ドーム崩落を想定し、住民の避難行動、両市災害対策本部と各機関・団体との連携訓練などを計画しております。


【光ファイバ網の整備】
 光ファイバ網の整備につきましては、令和4年3月末までに整備を完了し、令和4年4月からサービスが提供できるよう取組を進めてまいります。
 この光ファイバ網整備により、市内全エリアで高速データ通信が可能となりますので、防災・防犯情報等、必要な情報の迅速な伝達等による住民生活の利便性向上はもとより、これを契機としてIT関連企業をはじめとする事業所誘致や創業、起業、定住・移住などにつなげてまいりたいと考えております。

 

【ゼロカーボン社会の構築】
 令和2年12月に発表された温暖化ガス排出を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」実現に向けた国の実行計画において、2030年代半ばまでには乗用車の国内新車販売は全面的に電動自動車とするとの目標が設定されたところです。
 急展開するCO2排出規制政策に対応するため、本市としましても、来るべきゼロカーボン社会に備えた対策を講じていく必要があります。
 令和3年度には、カーボンゼロシティの宣言を行い、その趣旨に基づく一般廃棄物基本計画を策定し、市民のCO2抑制に対する意識の高揚を図ります。また、国の動向を見据えながら、電気自動車の普及促進計画や、それに伴う充電施設等のインフラ整備計画の策定に、積極的に取り組んでまいります。

 

【ごみの減量化の更なる推進】
 次に、ごみ減量化について、でございますが、本市の可燃ごみの約2割は台所ごみが占めており、食べ残しや賞味期限切れによる廃棄を無くすことで、ごみ減量化を図ることができます。令和3年度は、南島原市食品ロス削減推進計画を策定するとともに、市のホームページや広報紙による啓発活動、生ごみ処理機の購入促進、出前講座やエコクッキングによる知識の普及等により、より積極的にごみの減量化に取り組んでまいります。

 

【排水路整備の推進】
 近年の異常気象による集中豪雨などの頻発は、農地の冠水や住宅浸水などの被害を招き、その対策としての排水対策は、喫緊の課題となっております。
 これまで、南有馬町の北岡地区で、島鉄跡地を活用した排水路を整備すべく現地調査等に取り組み、排水先の河川管理者である県との協議が済みましたので、今後は、排水路整備を早期に実施してまいります。
 なお、深江地区についても排水路整備の実現に向けて、引き続き県との協議を進めてまいります。

 

【普通河川及び準用河川の浚渫、除草、伐採】
 市が管理する普通河川及び準用河川につきましては、令和2年度に国が新たに創設した地方単独事業の「緊急浚渫推進事業」を活用し、河川の浚渫、除草、樹木伐採を行い、河川の氾濫防止、並びに機能回復を図ってまいります。
 令和3年度においては、事業の対象となる市内全域の河川の調査を実施し、事業計画の策定を行い、順次、工事に着手してまいります。

 

【島鉄跡地の自転車歩行者専用道路整備】
 島鉄跡地の自転車歩行者専用道路の整備につきましては、令和2年度から、国の補助事業の決定を受け、1期地区(加津佐~原城区間)の測量設計業務に着手しております。また、旧駅舎跡地を基本に拠点となる施設の選定や周辺環境の整備計画の策定を進めているところです。
 令和3年度は、1期地区の整備工事に着手するとともに、2期地区(原城~堂崎区間)、3期地区(堂崎~深江みずなし大橋区間)の測量設計業務に着手し、自転車歩行者専用道路の早期完成に向け取り組んでまいります。


2 確固とした基盤のうえに活力ある産業を育むまち
 続いて、指針の2点目は「確固とした基盤のうえに活力ある産業を育むまち」でございます。

 

【地元企業等の振興】
 まず、地元企業等の振興でございますが、これまで、新たに創業される事業者に対する創業支援補助や、設備投資・販路拡大など事業規模の拡大に取り組まれる事業者に対する中小企業ステップアップ支援補助などの中小企業及び小規模事業者に対する支援に取り組んでまいりました。
 また、市民の生活環境の向上と、建築関係事業者の活性化を図るため、住宅・店舗・旅館等リフォーム資金補助事業を推進してきたところです。地域経済の活性化のため、これらの事業に引き続き取り組んでまいります。

 

【電子地域通貨事業】
 今月1日から、南島原市内限定で使用できる電子地域通貨「MINAコイン」の運用を開始いたしました。市内で買い物をする機会を増やし、市内事業所の売上げが拡大することにより、市内でお金が回っていく仕組みを作る取組となっております。運用開始に際して、新規ユーザー獲得に向けたプレミアムポイントキャンペーンを実施しております。2月1日現在、256件の登録店舗でMINAコインを利用できるようになっており、2月21日時点で、8,010人が利用登録されております。
 令和3年度においては、MINAコインの登録店舗や利用者の更なる拡大を図り、地域経済の活性化に取り組んでまいります。

 

【そうめん産業の振興】
 次に、そうめん産業の振興でございますが、島原手延そうめんの認知度を高め、価格上昇を図ることを目的として、これまで首都圏や九州圏においてテレビCMの放映や衛生面の強化のためのハサップ導入支援事業などに取り組んできた結果、認知度も向上してきております。
 さらに、地場産業としての基盤を固めるため、島原手延そうめん認証制度を積極的に推進した結果、令和3年2月現在で、生産者全体の約8割にあたる157事業者、60商品について、この認証制度を利用した販売促進に活用されております。また、後継者を支援するための事業として、令和元年度から後継者支援事業を実施しており、これまでに30件の事業者が利用されております。
 令和3年度におきましては、これまでの取組に加え、高齢化や労働力不足による作業の負担軽減を図るため、自動化等を目的とした設備機器導入に対する支援を行う生産性向上支援事業を新たに創設します。また、島原手延そうめんの付加価値を高めるため、そうめんづくりに適した小麦を研究、栽培し、南島原オリジナルのそうめんづくりを目指して地場産小麦の試験栽培を実施するなど、持続可能な産地育成に取り組んでまいります。

 

【農業関係施設の整備】
 農業生産性の向上に不可欠な土地改良事業、特に圃場整備の推進につきましては、現在、県営圃場整備事業として実施中の深江町諏訪地区は、令和3年度に、土地改良法による換地処分の登記を行う予定であり、これをもって事業完了となります。また、西有家町見岳地区、加津佐町空池原地区、深江町馬場地区、そして昨年、事業採択を受けた加津佐町津波見地区の計4地区につきましては、早期完成に向け、引き続き県と一体となって取り組んでまいります。
 事業推進地区の有家町中部地区につきましては、県及び地元と連携を図りながら早期の事業採択を目指します。
 令和3年度の圃場整備の推進にあたっては、これまでの県営事業や市の単独事業の推進と併せて、土地改良区の安定した運営と新規事業地区の増加を図るため、土地改良区の統合についても力を注いでまいります。

 

【農業後継者の育成】
 次に、農業後継者の育成につきましては、令和3年度から、Uターンして親元で就農する農業後継者に対し、農業後継者給付金事業を新たに創設します。このことによって、就農意欲の喚起、農業生産技術の継承と農地の生産性の維持や、更なる農業担い手の確保が期待されます。

 

【南島原アグリテクノプラン】
 次に、政府が推進しているIoT・AI・ロボットを活用したスマート農業につきましては、生産性向上を図る新技術として注目されている分野であり、本市においても積極的に取り入れていく必要があると考えております。令和3年度においては「南島原アグリテクノプラン」を策定し、島原振興局やJAなどの栽培技術関係者と連携して、テクノロジー関連企業が培ってきた先端技術を率先して取り入れてまいります。
 露地作物である水稲や野菜等においては、農作業の効率化を図るため、農薬散布など農業用ドローンを活用した実証事業に取り組みます。
 また、施設園芸作物の「いちご」「トマト」につきましては、令和2年度から3年計画で環境モニタリングのスマート農業機器を導入した農業新技術活用実証事業を実施中であります。
 これらの成果を検証しながら、計画的に対象作物を広げてまいります。併せて、島原振興局と栽培関係者で連携した「スマート農業推進協議会」を立ち上げ、スマート農業の技術習得に向けたセミナーの開催や、テクノロジー関連企業と共に労働力不足を補う情報技術の調査・研究を実施してまいります。

 

【6次産業化の推進】
 次に、6次産業化の推進につきましては、設備導入の補助事業を活用し、積極的に支援してまいりました。令和3年度は、農業者の商談スキルアップや商品開発のサポート体制を構築し、コロナ禍に適応した通信販売等を含む新規販路開拓へと展開できるよう、更に支援してまいります。

 

【新規作物の導入】
 次に、新規作物の導入につきましては、令和2年度にバナナ苗木導入における補助制度を創設し、事業実施希望者に対して支援を行うなど、県内初の取組を実施しているところですが、令和3年度においては、引き続きバナナ栽培を支援するとともに、バナナ以外の品目で農業者からの提案を募集し、導入支援を行う「提案型」の取組も新たに実施してまいります。

 

【未来農業フロンティア推進事業】
 次に、本市農業の就業人口が減少している中で、地域農業を支えていくため、農業振興の重要な施策として「農業法人設立事業」「トレーニングファーム事業」「果樹振興プロジェクト」を3本柱とする「未来農業フロンティア推進事業」に取り組んでまいります。
 まず、将来の農業人材を育成する目的で、令和3年度中に、民間企業と本市が共同で出資する「農業法人」の設立を目指します。この法人が就農希望者の受け皿となり、農業の体験・研修・就農に結びつける「トレーニングファーム事業」の準備に取りかかります。併せて、南島原の温暖な気候に適している温州みかんを主体とした果樹振興計画を策定し、「果樹振興プロジェクト」として、果樹栽培に取り組む農業者の確保に努めてまいります。
 この3本柱を織り交ぜながら、本市が抱えている農業の課題に取り組んでまいります。

 

【水産業の振興】
 次に、水産業の振興でございますが、貝崎漁港の防波堤や浮桟橋などの整備を図るため、令和4年度の事業採択に向けて国・県及び漁業者等と協議しながら取り組んでまいります。また、県の補助事業を活用し、魚介類の鮮度保持の向上を図るため有家町漁協の製氷機と冷蔵庫の整備に対して支援を行ってまいります。
 令和3年度からは、浜の活力再生プランに取り組む漁業者が実施する生産性の向上や漁労時間の短縮などが図られる機材や機器の導入に対し、新たに市単独での支援を行います。
 また、漁業用廃棄物の適正処理対策として実施しているFRP漁船廃船処理事業に加え、漁業者団体等が行う漁具、漁網等の廃棄物処分費用に対しても、新たに支援を行ってまいります。

 

【市道の整備】
 市道改良につきましては、地域経済の発展や市民生活における利便性や安全性を確保するため、計画的に道路整備を進めております。引き続き、生活に密着した道路のうち、安全性や緊急性等を勘案し優先度の高いものから整備を行ってまいります。
 一方、本市の懸案事項であります、国道251号の有家から西有家区間の渋滞緩和対策として、市道平野横線、白崎東線の詳細測量設計を令和元年度から着手しており、令和3年度には、詳細設計に基づく関係機関との協議、道路計画と用地測量に向けた地元説明会を順次進めてまいります。
 また、市道の維持管理につきましては、自治会から多数の要望をいただいており、令和3年度におきましても、引き続き早期解消に向けて地元関係者と一緒に取り組んでまいります。

 

【地域高規格道路整備の要望】
 本市においては、広域道路ネットワークの整備促進は極めて重要であり、特に、地域発展に直結する産業の振興を目的とした「堂崎港埋立地」にとって、産業流通を促進するためには必要不可欠であります。このため、現在整備中の地域高規格道路「島原道路」の早期全線開通と、深江町から口ノ津港に至る地域高規格道路の早期事業化へ向け、引き続き関係機関へ強く要望してまいります。併せて、愛野小浜バイパスの整備についても、期成会を中心に関係機関へ要望してまいります。

 

【国道・県道整備】
 現在整備が進められている国道251号の布津町新田地区から深江町川原地区(県道雲仙深江線)間の歩道整備につきましては、事業者である長崎県と整備促進に向けて、引き続き協力して進めてまいります。今後は、深江町川原地区(県道雲仙深江線)から深江町上市場地区(島原深江道路入口付近)の区間につきましても、渋滞緩和や通行の安全性の向上を図るための、交差点改良、歩道などの整備について、長崎県に要望するとともに、協力して進めてまいります。
 また、有家町小川交差点の整備につきましては、関係機関との協議も済みましたので、今後は、事業の推進を図ってまいります。平野バス停のバスベイ整備についても、令和3年度中の完了を目指してまいります。

 

【堂崎港埋立地】
 堂崎港埋立地につきましては、県からの部分竣功認可の通知を受けて、「あらたに生じた土地の確認及び字の区域の変更」について、本定例会に提案しております。令和3年度においては、速やかに土地購入を進めてまいります。
 また、変更した利用計画に基づき、堂崎港埋立地における地場産業振興のため、事業所の誘致等を進めてまいります。


3 歴史・文化を大切に活用した賑わいのあるまち
 続いて、指針の3点目「歴史・文化を大切に活用した賑わいのあるまち」でございます。

 

【世界遺産を活用したまちづくり】
 世界遺産を活用したまちづくりとして、子どもたちや地域の方々に、「原城跡」の世界文化遺産としての価値を理解していただき、愛着や誇りを持っていただくような取組や来訪者の増加と市内滞在時間の延長につながる取組を行ってまいります。
 令和3年度におきましては、来訪者の方に楽しみながら原城跡を巡っていただくためのスマートフォンやタブレット端末で活用できるアプリ開発を行います。また、世界遺産登録から3周年を迎えるにあたり、南島原市世界遺産市民協働会議と連携を図りながら「世界遺産登録3周年記念イベント」を開催いたします。

 

【定住・移住施策の促進】
 定住・移住施策の促進につきましては、国の制度を活用した移住支援策や、本市に興味のある人を募集し、コミュニケーションを図ることで、移住を促す移住スカウトウェブサービス、空き家バンク制度の活用などに取り組んだ結果、令和元年度の移住実績83人に対し、令和2年度の移住者は、昨年12月末現在で72人となっております。
 令和3年度からは、農業や漁業等の担い手になり得る方を募集し、本市を体験してもらうためのプロジェクトを推進し、引き続き定住・移住施策に取り組んでまいります。

 

【市営住宅の整備】
 市営住宅の整備につきましては、南島原市公共施設等総合管理計画及び市営住宅等長寿命化計画に基づき、現在、加津佐愛宕団地や深江あぜつ第1団地などの計画的な修繕に取り組んでおります。令和3年度においては、西有家の須川団地を解体し、団地の整備に向けて取り組んでまいります。


4 住みやすい環境で健康に暮らせるまち
 続いて、指針の4点目「住みやすい環境で健康に暮らせるまち」でございます。

 

【高齢者・障がい者福祉の充実】
 まず、高齢者・障がい者福祉の充実でございますが、高齢者がいつまでも安心して住み慣れた地域で暮らしていくことができるよう、一人ひとりの人生に寄り添い、自立の状態から看取りの場面に至るまでを想定し、かかりつけ医(師)を中心とした、医療と介護の連携体制強化や、高齢者等を支える地域づくりなど、市民、関係機関、行政が連携・協働して、地域包括ケアシステムの基盤構築に向けて取り組んでおります。
 令和3年度においては、これまでの取組を、計画・実行・評価・改善のPDCAサイクルに沿って実施し、地域包括ケアシステムの更なる充実を図るとともに、市民の幸福度や専門職の充実度・満足度が高まるよう、関係機関との連携をより一層強化し進めてまいります。

 

【健康づくりの推進】
 令和元年度から実施している「健康づくりポイント事業」により、市民の皆さまには各種健(検)診の受診や血圧、体重、歩数測定など、日々の健康管理に取り組んでいただいております。市民一人ひとりが健康で明るく活気に満ちた生活が続けられるよう、今後も本事業の周知啓発を図ってまいります。
 また、令和3年度においては、半島内の温水プールを会員登録して定期的に利用されている方に対して、温水プール利用料金の助成制度を創設するほか、はり・きゅう等施術補助金については、補助券の枚数を10枚から12枚に拡充することとしております。


【公共交通対策】
 次に、公共交通の充実でございますが、従来のバス主体の公共交通に加え、既存のスクールバスの活用やコミュニティバスの創設など市内各地域の実態に応じたサービスの提供に向けて、市民の皆さまの要望をお聞きし、関係者の協力を得ながら、早期実現を目指します。

 

【上下水道の整備】
 上水道の整備につきましては、水道事業の運営や老朽施設の適切な維持管理を推進するため、引き続き配水管の更新に努めます。
 合併処理浄化槽の普及促進につきましては、令和2年度から浄化槽設置整備事業補助金を増額しております。令和元年度実績117基に対し、令和2年度は150基を見込んでおり、合併処理浄化槽の普及が図られております。
 また、適切な維持管理を推進するため、令和2年度から浄化槽維持管理費助成事業を進めており、年1回の法定検査費用を全額助成しています。令和2年度は4,547基の実績を見込んでおります。
 これらの事業に引き続き取り組み、本市における汚水処理人口普及率並びに公共用水域における水質汚濁防止効果の向上を目指します。


5 安心して子育てができ、いきいきと学ぶことのできるまち
 続いて、指針の5点目「安心して子育てができ、いきいきと学ぶことのできるまち」でございます。

 

【子育て世代包括支援センター設置】
 令和3年1月1日から妊娠・出産・子育てを切れ目なく支援するための相談窓口として、子育て世代包括支援センターを南有馬庁舎に開設いたしました。産前産後の「からだ」のことや「こころ」のこと、「子育て」のことなど、気軽にご相談いただきたいと思います。
 また、本庁と各支所間をつなぐテレビ通信システムを導入し、市民の皆さまと保健師や助産師等との顔が見える関係性が構築できるよう、環境を整えたところです。
 将来的には子育て世代のみならず、高齢者や障がい者の方が、最寄りの支所から担当職員と気軽に相談できる体制の整備を進めてまいります。

 

【子育て支援の充実】
 子育て支援についてですが、母子の健康を守るための各種健診のほか、産後ケア事業、おむつ等の購入を助成する「すくすく赤ちゃん券」事業、多子世帯における2子目以降の保育料の無料化、副食費の無料化、高校生までの医療費の助成等に取り組んでおり、今後も引き続き実施してまいります。
 そのほか、保育士が働きやすい職場環境を整えるための保育体制強化事業や、保育士資格を持たない高校卒業者等を保育補助者として雇用し、働きながら資格取得が目指せる保育補助者雇上強化事業を行ってまいります。
 また、障がい児が健常児との集団生活を通して健やかな成長を図る障害児保育事業にも、市内の関係団体と協力しながら取り組んでまいります。
 今後も、産前、産後、乳幼児期から少年期を通して、切れ目のない子育て支援を展開し、よりきめ細やかな施策の推進と対応に努めてまいります。

 

【教育関係施設の整備】
 有家小学校校舎新築工事につきましては、昨年11月に校舎棟が完成し、既に、本年1月から供用を開始いたしております。
 4月には、「有家小学校」、「蒲河小学校」、「新切小学校」が一つになった新たな「有家小学校」が誕生し、蒲河、新切地区の子どもたちも新校舎で学ぶこととなります。
 新たな「有家小学校」が、活気に満ち、魅力ある学び舎として、また、地域の皆さまにも親しまれる学校となるよう、引き続き取り組んでまいります。
 次に、新学校給食センターについてですが、令和3年度におきましては、9月からの学校給食が円滑に開始できるよう夏休み期間に厨房機器の操作や配送などの演習、調理実習などを行います。
 旧有馬商業高校跡地を活用した「多目的運動広場」の整備につきましては、主要施設の工事に着手したところであり、令和3年度中に供用開始ができるよう整備を進めてまいります。

 

【英語教育の推進】
 小・中学校の英語教育につきましては、子どもたちの学習意欲を高めグローバルな社会を生き抜く資質・能力を身に付けさせるために、語学指導助手ALTに加え、本市独自に、英語指導助手EATを配置しているところです。子どもたちの学力向上と、教員の指導力向上に大きく寄与しており、令和3年度におきましても、引き続きALT及びEATを配置し、子どもたちの興味、関心を引き出す取組や話す力・聞く力の向上を図ってまいります。
 また、小・中学生の英語に対する学習意欲や関心を高めるために英語検定料の全額を補助しているところでございますが、令和3年度におきましては、英検ジュニアの受検料も補助対象に加え、市の施設を受験会場として提供しながら、小学生が英語検定を受けやすい環境づくりを進めてまいります。


【GIGAスクール構想の推進】
 「GIGAスクール構想」の推進につきましては、市内全小・中学校に、高速大容量の通信が可能となる無線LAN設備を整備し、また、小学校4年生から中学校3年生までの児童生徒及び教職員の端末につきましても配備を終えました。
 この一人一台の端末導入により、今後の授業では、一人ひとりの理解度に応じた問題に取り組んだり、興味・関心のある情報を即座に調べたりすることができます。また、自分のデータをいつでも簡単に引き出して新しい学習へ活用したり、学級全員で情報を共有したりすることが可能となるなど、児童生徒の主体的な学びのより一層の促進が期待されます。
 令和3年度におきましては、指導する教職員の研修を計画的に実施し、GIGAスクール構想に基づく新たな授業が円滑に、かつ、効果的に進められるよう努めてまいります。

 

【学校運営協議会(コミュニティ・スクール)・地域学校協働活動の推進】
 学校と保護者や地域住民の皆さんが、ともに知恵を出し合い、学校運営に意見を反映させることで、協働して子どもたちの豊かな成長を支え、「地域とともにある学校づくり」を進める仕組みである「学校運営協議会(コミュニティ・スクール)」の導入が、国や県において推進されているところでございます。
 本市では、令和3年度におきまして、この「コミュニティ・スクール」の制度を導入し、学校運営の基本方針の決定に際して地域のご意見をいただくほか、保護者や地域団体などのご協力をいただきながら、地域と連携・協働して郷土学習、放課後子ども教室などを進める「地域学校協働活動」の取組を促進してまいります。


6 その他(行政改革関連)

 

【行政改革の更なる推進とスマート(電子)自治体の推進】
 今後想定されている、生産年齢人口の減少による地域社会の衰退や、歳入減少に伴う行政サービスの質の低下を未然に防ぎ、変化し続ける社会情勢や多様化する行政ニーズに対応するため、令和3年3月までに策定を予定している第4次行政改革大綱に基づき、引き続き、健全で持続可能な行財政運営に取り組むこととしております。
 併せて、市民の皆さまが役所に来庁しなくてもパソコンやスマートフォンを利用して土日祝日、時間外でも各種手続が可能となるよう、行政手続のデジタル化について、準備を進めます。また、職員が地域社会支援や住民サービスの向上に一層注力できるよう、市役所内部の事務作業についてもRPAの導入などによる電子化、自動化を進め、効率的な行政運営に努めます。
 また、マイナンバーカードの普及促進につきましては、市役所及び各支所窓口における随時申請受付に加え、令和2年10月から 自治会集会所等において出張申請受付会を開催しております。令和3年2月14日現在、1万381人(22.94パーセント)の申請を受け付けております。
 マイナンバーカードにつきましては、今後、運転免許証、健康保険証としての利用のほか、各種行政サービスを受ける市民の皆さまの利便性向上のため、様々な活用が見込まれておりますので、今後も各地域に出向いて申請受付会を開催し、更なるマイナンバーカードの普及促進に努めてまいります。

 

【ふるさと応援寄附の拡大実施】
 次に、ふるさと応援寄附についてでございますが、令和2年度は、約7億円の寄附額になるものと見込んでおります。
 令和3年度は、寄附窓口となるインターネットの申し込みサイトの追加などに取り組み、更なる寄附拡大を目指してまいります。
 また、いただきました寄附金は、本市が定める目的に沿って、計画的かつ有効な活用を図ってまいります。

 

 

第3 令和3年度当初予算編成方針

 最後に、令和3年度当初予算の編成にあたっての考え方についてご説明申し上げます。
 本市は合併時の財政状況に鑑み、これまで財政健全化に着実に取り組んでまいりました。
 その結果、人件費の削減、地方債残高の大幅な減額、公債費の抑制及び基金残高の大幅な増額など、一定の効果をおさめているところでございます。令和元年度決算におきましても、経常収支比率は安定した状況にあるとともに、健全化判断比率も数値的には問題はない状況にあるところでございます。
 しかし、本市歳入額の重要な項目である地方交付税については、平成28年度からの普通交付税合併算定替の段階的縮減が令和2年度で終了いたしますが、令和2年の国勢調査人口に測定単位が置き換わることなどから、令和3年度は令和2年度と比較して2億円を超える普通交付税の減額を見込んでいるところです。
 それに加えて、新型コロナウイルス感染症の影響が続く可能性が高いこと、それに伴う市税等の減が見込まれること、合併特例債の発行可能額が少なくなっていること、などを勘案し、より厳しい財政運営になるということを十分に認識しておかなければなりません。
 今後は市税を含め、限られた一般財源が減少していくことを踏まえ、引き続き行財政改革の歩を進め、安定的かつ健全な財政基盤を確立し、維持していくために、令和3年3月中に策定予定の第4次南島原市行政改革大綱を基本とする行財政改革に確実に取り組み、成果と効果を積み重ねていくとともに、歳入歳出全般にわたり見直しを行うことで、将来に備えた財政基盤を構築することが重要となってまいります。
しかしながら、
○「第Ⅱ期南島原市総合計画」が目指す、本市の将来像実現に資する事業、
○「南島原市まち・ひと・しごと創生総合戦略」に基づく人口減少対策、あるいは地方創生に関する事業、
○所信表明に沿った事業
を推進していく必要があるため、「第Ⅱ期総合計画」に位置づけた14の重点プロジェクトについて、「南島原市創生特別枠」を設定し、重点配分を行い優先的に取り組むことといたしました。
 その結果、一般会計の予算総額は、令和2年度当初予算と比べて13.4パーセント減の299億4,139万7千円、国民健康保険事業特別会計など特別会計予算の総額は、同3.8パーセント減の87億2,833万7千円となりました。
 また、企業会計の総額は、同0.9パーセント増の27億6,854万6千円となりました。
 なお、詳細につきましては、定例会参考資料に掲載しておりますので、説明を省略させていただきます。

 

 以上、施政方針について、申し述べさせていただきました。

 

※PDF形式での施政方針はこちら(上記記載内容と同様)

 PDF 令和3年度施政方針 新しいウィンドウで(PDF:408キロバイト)

 

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