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市政報告(令和4年第1回市議会定例会)

最終更新日:

 

 

※PDFでの市政報告はこちら(下記記載内容と同様)
 

第1 挨拶

 毎年、第1回定例会におきましては、次年度に向けた「施政方針」を申し述べているところですが、本年7月をもって私の第2期目の任期が満了となることから、本日は、4年間にわたる市政運営の総まとめとして「市政報告」をさせていただきます。
 あわせて、令和4年度当初予算の概要をご説明申し上げ、議員各位並びに市民の皆さまのご理解とご協力を賜りたいと存じます。
 さて、私が平成30年6月に多くの市民の皆さまのご支援をいただき、2期目の市政運営の重責を担うようになってから、4年の歳月が流れようとしています。
 私は、市民一人ひとりのしあわせを実現するためのまちづくりの将来像である「住み続けたい 住んでみたいまち みなみしまばら」の実現のため、「1 安全で地球環境にやさしいまち」、「2 確固とした基盤のうえに活力ある産業を育むまち」、「3 歴史・文化を大切に活用した賑わいのあるまち」、「4 住みやすい環境で健康に暮らせるまち」、「5 安心して子育てができ、いきいきと学ぶことのできるまち」という5つの指針を掲げ、その実現に向けた取組を進めてまいりました。
 その結果、各分野において、成果や進展を見ることができました。もちろん、積み残した課題や実現できなかった施策もありますが、多数の懸案事項について、課題解決に向け一定の方向性を指し示すことができたものと考えているところです。
 それでは、先ほど申しました5つの指針の項目の視点に加え、新型コロナウイルス感染症対策について、今日までの具体的な成果をご報告させていただきます。

 

第2 市政報告

新型コロナウイルス感染症対策
 はじめに、新型コロナウイルス感染症対策について でございます。
 全国でオミクロン株による新型コロナウイルスの感染が続いており、長崎県におきましては、令和4年1月21日から、まん延防止等重点措置が適用されております。
 本市においても、令和2年8月20日に初めて市内感染者が確認されてから、これまで278人(令和4年2月23日現在)の感染が確認され、そのうち、236人(令和4年2月23日現在)は令和4年1月11日以降に確認されたものであり、継続的に感染が確認されています。
 新型コロナウイルス感染症予防対策として、国や県の感染段階ステージの引上げなどに伴い、新型コロナウイルス感染症対策本部会議を適宜開催し、感染症予防対策や県外との往来、外出自粛のお願い、公共施設の利用制限などについて、市長メッセージや広報紙、自治会配布、防災無線などにより市民の皆さまへ情報発信を行ってまいりました。今後も国、県の動向や発生状況を踏まえながら、引き続き危機感を持って感染症予防対策に努めてまいります。
 また、新型コロナウイルス感染症発症予防・重症化予防のため、新型コロナウイルスワクチン接種を実施しております。現在、接種対象者のうち87.8パーセントの方が2回目の接種を終えられている状況です。令和3年12月から3回目接種を実施しており、2月20日現在、医療従事者や高齢者等など6,454人が接種されております。今後も市民の皆さまが1日でも早くワクチンの接種を受けられるよう努めるとともに、5歳から11歳以下の対象者に対しても、国の動向をみながら適切に取組を進めてまいります。
 次に、新型コロナウイルス感染症に係る経済対策につきましては、新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金等の国や県の支援策を活用し、感染拡大の影響を受けて売上げが減少した飲食店をはじめ農業・漁業者を含む市内全ての事業者に対する事業持続化支援や利子補給、雇用維持助成等の各種支援、地域経済の活性化を図るための「南島原いーとばいキャンペーン事業」、光ファイバ網整備や小中学校における一人一台端末の導入など人と人との接触機会を減らすオンライン化に必要な基盤整備に取り組んだほか、保育所や学校に対する感染症拡大防止対策に取り組んでまいりました。
 あわせて、子育て世帯への独自支援として「妊婦応援新生児特別定額給付金事業」に取り組んだほか、市外在住の学生に対する支援として市内特産品等を贈る「ふるさと支え愛プロジェクト」にも取り組んでまいりました。
 さらに、1月21日から本県に「まん延防止等重点措置」が適用されたことから、大学生等に対する生活応援給付金事業や農業・漁業用燃油高騰対策、非課税世帯等への臨時特別給付金事業などに取り組んでいるところです。今後も感染症の発生状況を注視しつつ、必要な対策を講じてまいります。
 
1 安全で地球環境にやさしいまち
 次に、指針の1点目「安全で地球環境にやさしいまち」でございます。
 
【光ファイバ網の整備】
 市内全エリアで高速データ通信を可能とし、防災・防犯情報等、必要な情報の迅速な伝達等による住民生活の利便性向上はもとより、これを契機としたIT関連企業をはじめとする事業所誘致や創業、起業、定住・移住などにつなげるため、光ファイバ網の整備を進めており、本年3月までに整備が完了いたします。
 また、本年3月には、市民の皆さまを対象にしたサービス加入に関する説明会を予定しております。
 
【循環型社会の形成】
 循環型社会の形成でございますが、2050年脱炭素社会の実現に向けて取り組んでいくことの決意として、令和3年12月に「南島原市ゼロカーボンシティ宣言」を表明いたしました。
 この「ゼロカーボンシティ宣言」並びに地球温暖化対策推進法の基本理念を踏まえ、温室効果ガス排出の抑制に努めると同時に、再生可能エネルギーの推進やEVをはじめとする次世代輸送手段の導入・普及、山や海の緑を創り育てることによる二酸化炭素の吸収などに率先して取り組むための具体的な行動計画を令和4年度に策定することとしており、現在、その作業に着手したところでございます。
 また、食品ロス削減計画や一般廃棄物処理基本計画に基づき、循環型社会の形成に努めてまいります。
 
【排水路整備の推進】
 近年の異常気象による集中豪雨などの頻発は、農地の冠水や住宅浸水などの被害を招き、その対策としての排水対策は、喫緊の課題となっております。
 南有馬地区につきましては、平成30年度に北岡地区周辺の基本調査を行い、有馬川の流域に沿った一部の排水放流について県の理解を得たことから、令和4年度の整備に向け、現在、測量設計を実施しております。
 また、深江地区の排水路整備については、平成30年度から令和元年度に調査し、流域を変更しない実施計画で県の内諾をいただいたことから、二級河川深江川から普通河川馬場川までの約700メートル区間について、令和4年度から事業を実施することとしております。
 
【普通河川及び準用河川の浚渫、除草、樹木伐採】
 市が管理する河川について、土砂の堆積や川竹等の繁茂による流下能力の低下を解消し氾濫を防止するため、緊急浚渫推進事業を活用し、  浚渫及び樹木の伐採等を市内31河川、総事業費約6億円の事業として計画しております。そのうち令和3年度は、花房川、高江川などの6河川について事業を実施しているところであります。
 
2 確固とした基盤のうえに活力ある産業を育むまち
 続いて、指針の2点目「確固とした基盤のうえに活力ある産業を育むまち」でございます。
 
【高規格道路整備の要望】
 地理的条件に恵まれない本市の発展には規格の高い道路の整備が必要不可欠であることから、現在整備中の高規格道路「島原道路」の早期全線開通と、これにつながる深江町から口ノ津港に至る「島原天草長島連絡道路」の早期事業化へ向け、各期成会や関係市とともに、関係機関へ強く要望してまいりました。
 去る令和3年7月に国土交通省九州地方整備局で策定された「九州地方新広域道路交通計画」において、深江町から口ノ津港に至る「島原天草長島連絡道路」と雲仙市を起点とする「島原半島西回り道路」が、広域道路ネットワーク路線の構想路線として位置付けられました。長崎県においても、将来の半島内の幹線道路網検討を進めるために、令和3年10月に、島原半島3市関係部課長による検討会が開かれ、地域、道路の現状と課題についての協議が始められたところです。
 今後は南島原工区地域高規格道路「島原天草長島連絡道路」建設促進期成会の理事会を開催し、現状の報告を行うとともに、市民の声を国や県に届かせるための活動方針や、期成会の強化を含めた検討など、実現へ向けた取組を行ってまいります。
 あわせて、愛野小浜バイパスの整備についても、期成会を中心に関係機関へ要望してまいります。
 
【市内道路網の整備】
 市道改良につきましては、計画的に道路整備を進めており、この4年間で新規及び継続を含め56路線に着手し、期間内で約30億9,400万円を投じ、各地区の生活路線として25路線が完成いたしました。引き続き生活に密着した道路のうち、安全性や緊急性等を勘案し優先度の高いものから整備を行ってまいります。
 また、堂崎港埋立地構内の道路である、市道陣之内下藤原線の道路改良工事につきましては、関係機関(長崎県)と調整を行い、令和4年度の工事完成を目指します。
 一方、国道251号の有家から西有家区間の渋滞緩和対策としまして、市道小川堀切線(小川交差点)については、用地取得に向けて進めており、令和4年度から工事に着手いたします。
 市道維持につきましては、市民の皆さまからの要望箇所、緊急補修箇所及び区画線の整備等の安全・安心な道路交通を確保するための工事をこの4年間で総事業費7億1千万円、127箇所実施しました。また、橋梁長寿命化事業により13橋の補修工事が完了する見込みです。
 国道並びに県道整備につきましては、国道251号布津町新田地区から深江町川原地区(県道雲仙深江線)間の歩道整備について、これまでの4年間で460メートルの整備が行われており、引き続き整備促進に向け、長崎県と協力して進めてまいります。
 
【島鉄跡地の自転車歩行者専用道路整備】
 次に、島鉄跡地の活用につきましては、多くの市民や来訪者に利用していただくことを目指して、令和元年11月末に「南島原市自転車活用推進計画」を策定し、これに基づき自転車歩行者専用道路の整備を進めております。
 令和2年度には、国の補助事業の決定を受け、加津佐から原城区間の測量設計に着手し、令和3年度に加津佐から原城区間の約10キロメートルの整備工事に着手するとともに、堂崎から水無川手前までの測量設計にも着手いたしました。
 令和4年度は原城から水無川手前までの整備工事に着手して、令和5年度の全線完成、供用開始に向けて整備の推進を図ります。
 
【口之津港ターミナル整備】
 口之津港ターミナルにつきましては、定期航路と路線バスの接続拠点としてはもちろんのこと、口之津支所や口之津歴史民俗資料館などの複合的な機能を併せ持つ本市の海の玄関口として再整備し、令和2年3月にターミナルビルの供用を開始しました。また、令和3年4月には、イルカウォッチング用の桟橋も完成し、観光の拠点としても、重要な役割を果たしております。
 
【堂崎港埋立地】
 堂崎港埋立地については、令和2年3月に市の産業発展に寄与する生産、流通団地などとする方向として利用する方針を決定し、令和2年11月に長崎県において埋立地に係る用途変更がなされ、埋立地の一部約6万7,000平方メートルが竣功しました。
 令和4年度にJA島原雲仙の集出荷施設の整備が計画されていることから、現在、これに係る用地について長崎県からの購入手続を進めるとともに、分譲予定区画に至る道路等の整備を進めているところです。
 
【農業生産基盤の整備】
 農地の圃場整備につきましては、深江町諏訪地区の約35ヘクタールの工事完成、加津佐町空池原地区、西有家町見岳地区の計画的な事業推進、並びに深江町馬場地区と加津佐町津波見地区の新規事業化を行いました。有家中部地区については、令和7年度からの事業化に向け、取り組んでいるところでございます。
 荒廃農地化対策につきましては、規模拡大意向のある担い手農家が、貸借等により取得した農地を再生する際の支援策として、令和元年度から「農地等有効活用推進事業」を創設しました。これまで約3.4ヘクタールの農地の再生が完了しております。
 
【農業の振興】
 農業の振興につきましては、農業生産量の増加と作物の高品質化による所得向上と経営安定化を図るため、国や県の補助事業を活用してハウス等の整備や農業用機械の導入支援に取り組んでまいりました。
 さらに、環境制御の導入に要する経費支援や施設のリノベーションに係る整備支援を実施するとともに、露地みかんの被覆資材の更新支援、林業関連設備改良事業などにより、農林業の生産性向上とコスト削減への支援に取り組みました。
 6次産業化の推進につきましては、機械・施設の導入経費に対する補助制度により、平成30年度から令和3年度までの4年間で9件の取組に対して支援をいたしました。その結果、オリーブ販売のための「販売容器・PRグッズ」の作成や、国産バナナ販売のための「公式ホームページ・PRパッケージ」の作成、黒にんにくの製造機導入等の実績につながりました。
 「農商工連携」につきましては、農業者と商業者・加工業者との商談会・交流会を令和2年度から開催しております。商談会についてはこの2年間で農業者延べ21組、商工業者延べ12社の参加、交流会については農業者9組、商工業者9社の参加があり、新たな販路拡大につながりました。
 新規作物の導入につきましては、オリーブ苗木の購入経費に対する補助制度により、この4年間で82人の農業者に対して2,741本分の補助を実施いたしました。現在、市全体で約16ヘクタールのオリーブが栽培されており、産地化が進んでおります。
 また、令和2年度には国産バナナの栽培に取り組む農業者に対する支援1件、令和3年度には国産バナナ1件と国産アボカド1件の支援を実施いたしました。国産バナナに関しては、昨年10月からの出荷開始後、ふるさと応援寄附の返礼品としての取扱いや、インターネットや地元スーパーなどで販売されており、収穫量も徐々に増加してきております。今後も産地化を目指し、継続してバナナ栽培の普及に向けた取組を行ってまいります。
 農作業の効率化や省力化を図るため、スマート農業機器の導入経費に対する補助制度を令和元年度に創設し、これまで、いちご・トマトを栽培する農家27戸に環境モニタリング装置導入の補助を実施しました。あわせて、令和2年度から令和4年度の3か年事業として、市が主体となり、島原振興局・JA島原雲仙及びいちご・トマトの生産者と連携して、ハウス施設内の環境データを取得・分析の上、環境制御技術の習得に取り組むことにより、栽培技術と生産性の向上に努めております。
 また、令和4年度には、有機農業を推進するオーガニックビレッジ宣言を行う予定としており、持続可能かつ安全安心、高付加価値な農業の振興を図ってまいります。
 
【水産業の振興】
 次に、水産業の振興につきましては、布津漁港の防波堤や浮桟橋などの整備が令和元年度に完了したほか、平成30年度から令和3年度までの4年間で深江漁港の舗装工事や、有家漁港の浚渫工事など合計7箇所の工事を実施しました。
 また、水産物の鮮度保持向上を図るため、この4年間で、漁協が実施した製氷機の整備など6件に対する支援を行いました。
 このほか、市単独事業として、漁協や漁業者グループが実施した活魚水槽冷却装置やワカメ・ヒジキの養殖施設などの施設整備や、生産性の向上や漁労時間の短縮などが図られるエンジンリモコン装置などの機材及び機器の導入に対して、合計19件の支援を行いました。
 ワカメ養殖業につきましては、かねてより県へ要望しておりました高水温でも成長できる種苗開発について、令和3年度から布津町、南有馬町の沖で、長崎県総合水産試験場による試験養殖が行われております。
 
【地元企業等の振興】
 次に、地元企業等の振興につきましては、新たに創業される事業者に対する創業支援や商品の開発・改良に対する補助、新たな雇用の場を創る企業への設置奨励支援を行ってまいりました。平成30年度からは、新規事業並びに規模拡大に伴う設備投資、雇用の拡大に取り組まれる事業者に対する「中小企業ステップアップ支援補助」を設け、食品製造業者の設備導入などこれまで4件に対する支援を行いました。
 また、市民の生活環境の向上と、建築関係事業者の活性化を図るため、「住宅・店舗・旅館等リフォーム資金補助事業」を推進し、この4年間で、合計603件、補助金で約1億2千万円、事業費ベースで約16億円の経済効果を生み出しております。
 今後も引き続き、これらの事業に取り組むとともに、令和3年度末までに策定する商工振興計画に基づき、更なる地域経済の活性化を図ることとしております。
 
【稼ぐ力を生み出す新たな取組】
 次に、稼ぐ力を生み出す新たな取組でありますが、地域支援と新産業の育成を目的に、平成30年10月に本市を含めた産官金5者の出資により「株式会社 ミナサポ」を設立しました。ミナサポでは、公共施設や一般家庭へ電気を供給する小売電気事業による収益をもとに、小学校へのドローンの寄贈やプログラミング学習の支援を行うIT人材育成事業のほか、ふるさと納税返礼品の登録支援や事業者のホームページ作成を支援する地域支援事業など、地域商社として収益を地域に還元しながら、地域の課題解決のための取組を行っております。
 このミナサポによる小売り電気事業により、平成31年3月から令和3年3月までの期間で、市の施設の電気代を他社と比較しておよそ5,400万円削減しております。
 また、令和3年2月からは、電子地域通貨「MINAコイン」の運用を開始いたしました。キャッシュレス化を推進するとともに、市内で買物をする機会を増やし、市外に流れていた資金を市内に循環させることで市内事業所の売上げ拡大につなげる取組となっております。現在、MINAコインアプリダウンロード数も2万1,200件を数え、370件を超える加盟店舗が登録されており、昨年12月から市税の納付もできるようになりました。その結果、事業開始から1年で当初の計画を上回る約7億円が「MINAコイン」で決済されております。
 今後は様々な行政サービスとも連携し、より一層の付加価値の向上に取り組むとともに、南島原市での生活になくてはならない電子地域通貨として積極的に活用していただき、キャッシュレス化の推進と地域経済の活性化を図ってまいります。
 
【そうめん産業の振興】
 本市の代表的な特産品である島原手延そうめん産業の活性化と産地振興を目的に、平成30年10月1日に「商工観光課そうめん振興班」を設置し、取組を進めてまいりました。
 島原手延そうめんの「品質」とともに「ブランド力」を高めるため、認証制度を積極的に進めてきております。令和3年末までに生産者全体の約8割(181生産者)が認定を受け、認証マークを販売促進に活用されています。
 また、島原手延そうめんの知名度を高め、消費者の購買意欲を向上させるため、首都圏、九州圏においてそうめんのCM「マイメンいつメン島原手延素麺」を放映するとともに、SNSの活用など積極的にPRに取り組みました。これらの取組の結果、島原手延そうめんの需要の増加につながり、取引単価も年々上昇しております。また、ふるさと応援寄附における返礼品のうち、そうめんが占める割合は8割に上り、寄附金額も4割に達するなど、PRの効果が表れております。
 このほか、生産性を向上させる支援制度や衛生面の強化のためのハサップ導入支援制度などを令和元年度に創設し、これまで合計75件の支援を行いました。
 さらに、令和3年度から付加価値向上のため、南島原オリジナルのそうめんづくりを目指し、地場産小麦の試験栽培や試作品の製造などに取り組んでいるところです。
 
【総合的シティプロモーションの推進】
 次に、本市の知名度や認知度の向上を図り、交流人口や観光・物産消費額の増加につなげることを目的として、テレビやラジオ、SNSなどの各種メディアを活用した情報発信やイベント等を通じた総合的シティプロモーション活動に力を入れてまいりました。
 映像によるプロモーションでは、ショートフィルム「夢」並びにブランディングムービー「突撃!南島原情報局【神回】」が観光映像大賞を、ショートアニメ「巨神と氷華の城」がいぶすき映画祭アニメ部門賞を受賞するなど、作品としても高い評価を受けました。
 なかでも、女優の満島ひかりさんが主演の「突撃!南島原情報局【神回】」をインターネットの動画配信サイトYouTubeで公開したところ、公開直後から全国メディアにも多く取り上げられ、令和4年2月18日現在で再生回数が74万回を超えるなど、本市のPRにつながったと考えております。
 また、ふるさと納税を活用したTVアニメ「邪神ちゃんドロップキック」とのコラボ企画につきましては、寄附目標額の5,000万円を達成したことから、令和4年度の制作に向けた取組を進めることとしております。
 このほか、旧長野小学校塔ノ坂分校を活用した南島原食堂の開設、LINEによる情報発信、数秒の音楽でイメージを伝えることができるサウンドロゴの制作・活用、移住パンフレットの制作などによるプロモーションに努めてきたところです。
 今後も、本市の豊富な資源を活用し、様々な仕掛けによる話題づくりに取り組み「選ばれるまち南島原市」を目指してまいります。
 
3 歴史・文化を大切に活用した賑わいのあるまち
 続いて、指針の3点目「歴史・文化を大切に活用した賑わいのあるまち」でございます。
 
【世界遺産の活用】
 世界遺産の活用につきましては、世界遺産市民協働会議を中心にして、シンポジウム、企画展の開催、市民劇「世界遺産物語」の実施をはじめ、「原城跡」の清掃活動や各種イベントへの世界遺産コーナーの設置、パンフレットの配布、ホームページ、フェイスブックなどによる情報発信などに取り組んでまいりました。
 また、原城跡での総合案内所の運営や来訪者へ原城跡の魅力を伝える南島原ガイドの会「有馬の郷」においては、平成30年度から令和2年度の3か年で、約1万5,000人を案内しております。
 市内小中学校における講話やふるさと発見ツアーでの原城跡の価値を伝える取組をはじめ、「ふるさと学習」の一環としての世界遺産学習や郷土学習資料の世界遺産の内容充実などに取り組み、地元小中学生への啓発を行ってまいりました。
 世界遺産関連施設の整備につきましては、令和3年3月に、原城跡の保存と活用を推進するための施設整備の基本的な考えを含めた保存活用計画を策定し、現在、ガイダンス施設の展示計画や施設全体の整備構想の策定と並行して、整備基本計画の改訂作業を進めているところでございます。これらの計画を踏まえ、原城跡における多目的広場やトイレなどの施設の整備を進める予定としております。
 また、世界遺産関連施設を拠点に、原城跡をはじめ市内の文化財や観光資源を多くの来訪者の方々に巡っていただくための取組を盛り込んだフィールドミュージアム基本計画の策定も進めているところでございます。
 
【定住・移住施策の促進】
 次に、定住・移住施策の促進につきましては、令和元年度から「地域づくり課定住移住班」を新設し、定住・移住による人口減少対策の取組体制を強化いたしました。
 まず、若者が結婚し定住しやすい環境を整えるため、結婚に伴う引っ越し費用や家賃等に対する支援を行う「結婚新生活支援事業」に取り組み、令和4年1月までに25組の新婚世帯を支援いたしました。
 次に、移住対策としましては、「移住体験ツアー」や「お試し民泊体験」などの事業を推進しております。平成30年度からは、「お試し住宅」を設置し、令和4年1月までに46組93人の移住検討者にご利用いただいております。このような取組の結果、平成30年度から令和4年1月末までの累計で262人の移住につながっております。
 
【市営住宅の整備】
 市営住宅整備といたしましては、平成30年度に見直した「市営住宅長寿命化計画」に基づき、有家町鬼塚団地、深江町あぜつ団地などの外壁改修等に取り組んでまいりました。
 また、須川団地建替事業につきましては、令和2年度から着手しており、令和5年度完成に向け、現在事業を進めております。
 
4 住みやすい環境で健康に暮らせるまち
 続いて、指針の4点目「住みやすい環境で健康に暮らせるまち」でございます。
 
【高齢者・障がい者福祉の充実】
 高齢者・障がい者福祉の充実でございますが、高齢者、障がい者及び運転免許自主返納者への交通費助成制度につきましては、これまで以上に利用しやすい制度となるよう、平成30年度には、1回の利用限度枚数を5枚から10枚へ、さらに令和元年度には、一人当たりの交付枚数を120枚(1万2,000円分)から140枚(1万4,000円分)に拡大いたしました。また、運転免許証の自主返納者に対する助成を原付バイクの免許返納者も対象となるよう制度を見直すなどの内容の充実を図りました。
 認知症高齢者や精神・知的障害者などの権利擁護支援につきましては、成年後見制度の普及啓発活動と相談体制の更なる充実に向け、令和3年4月、南島原市社会福祉協議会が実施している成年後見センターに中核機関を設置いたしました。これまで、制度周知や関係団体への説明会を実施するなど、中核機関を中心として成年後見制度を必要とする人が利用しやすい制度となるよう取組を進めております。
 また、手話の理解や普及、手話を必要とする人の社会参加の促進と安心して暮らせる地域社会の実現を目指し、令和2年4月1日に「南島原市手話言語条例」を施行しました。今後も手話を必要とする人が手話を使いやすい環境づくりに努めてまいります。
 高齢者の地域包括ケアシステムにつきましては、人生100年時代を見据え、医療と介護の連携体制強化や、高齢者の生きがいづくり、健康寿命の延伸に向けた施策の充実などに取り組んでまいりました。その成果としまして、様々な生活課題がある中で、地域の困りごとを地域が主体となって解決する取組が広がっております。
 引き続き、高齢者が、「安心して暮らせるまち」と実感していただけるよう、行政、市民、医療・介護専門機関などと一丸となって取組を進めてまいります。
 
【公共交通対策】
 今後も老年人口の増加と核家族化などの社会情勢の変化により交通弱者の増加が想定される中で、市民の皆さま誰もが安心して移動できる利便性が高い公共交通の構築が求められています。このため、市内で新たな「予約型乗り合いタクシー」の導入を計画しており、市内西部地区における令和4年10月からの実証運行に向け、関係者との協議を開始したところであります。
 
【健康づくりの推進】
 令和元年度から実施している「健康づくりポイント事業」では、各種健(検)診の受診や血圧、体重、歩数測定など、日々の健康管理に取り組んでいただいており、この3年間で延べ約5,400人の方々の参加がありました。今後は、健康アプリを導入するなど内容の充実を図ってまいります。
 各種健診では、新型コロナウイルス感染症の発生により、3密の回避や受診時間の短縮などを図るため、令和3年度から予約制を導入し、受診しやすい環境づくりに取り組んでおります。
 また、市民の健康を維持し、年々増加する医療費の抑制を図るため、令和3年度から近隣市の温水プールを定期的に利用されている方に対する温水プール利用助成金事業を開始するとともに、国保のはり・きゅう等施術補助金については、令和3年度から補助券の枚数を10枚から12枚に拡充いたしました。
 
【廃棄物処理の機能強化】
 廃棄物処理の機能強化でございますが、現在、加津佐町から有家町までの6町の燃えるごみを処理しております南有馬クリーンセンターの「ごみ処理施設」の老朽化が進み、長寿命化も限界となりつつあることから、市内全域の燃えるごみを令和8年度から県央県南広域環境組合で広域処理化をすることとなりました。それに伴い、令和7年度中までには、県央県南広域環境組合によって新たな輸送拠点「リレーセンター」が南島原市内に建設される予定です。
 合併処理浄化槽の設置の推進につきましては、令和2年度から令和4年度までを重点期間として浄化槽設置整備補助金を拡充しており、平成30年度から令和4年1月末までに合計523基の設置がなされました。併せて、個人負担となっている浄化槽の法定検査費用を市が負担する補助制度を設け、合併処理浄化槽の普及を促進したことにより、水質保全と生活環境の改善が進んでおります。
 生活排水の適正な処理を行うため、令和3年3月に南有馬衛生センターのリニューアルを行いました。1日当たりの処理能力を71キロリットルから130キロリットルに向上させるとともに、センターで発生した汚泥等は、ごみ焼却施設で使用する助燃剤として活用できるようになりました。
 
5 安心して子育てができ、いきいきと学ぶことのできるまち
 続いて、指針の5点目「安心して子育てができ、いきいきと学ぶことのできるまち」でございます。
 
【子育て支援の充実】
 子育て支援についてですが、多子世帯の保育料につきまして、これまでも保育料の減免を図ってまいりましたが、令和元年度にきょうだい児の年齢を撤廃し、2子目以降の保育料の全額を免除いたしました。
 福祉医療費につきましては、令和元年度から、その支給対象者を中学生までから高校生(18歳)までに拡充し、子育てに係る経済的負担の軽減を図りました。
 また、各地域の子育て支援センターの機能強化を図るとともに、令和2年度に「子育て世代包括支援センター」を設置し、各支所での母子手帳交付や相談時に保健師等と相談者がオンラインで相談できる仕組みを構築いたしました。
 さらに、子どもを産み育てたいと思いながらも、不妊などで悩んでおられるご夫婦を支援するため、不妊治療の助成に取り組んでまいりました。平成30年度から令和2年度の3年間でこの事業を活用された方々のうち、49人が妊娠に至っております。
 
【教育関係施設・設備の整備】
 教育関係施設・設備の整備面では、特に、子どもたちが安全で快適な学習ができる環境の整備に力を入れてまいりました。
 有家、蒲河、新切の3つの小学校を統合するため、令和3年1月に新有家小学校の校舎を整備いたしました。
 また、市内小中学校敷地内のブロック塀の改修を令和元年度までに完了し、外壁落下防止工事などの非構造部材耐震化工事を4校で行ったほか、令和元年度までに、全小中学校の普通教室に空調設備を整備し、音楽室、理科室などの特別教室につきましても、令和2年度までに整備を終えました。加えて、照明のLED化工事を13校で実施するとともに、トイレ洋式化を10校で進めてまいりました。
 新学校給食センターにつきましては、令和3年6月に建設工事を完了し、9月から供用を開始しております。
 有馬商業高校跡に整備を進めておりました多目的運動広場につきましては、今月、人工芝グラウンド、芝生広場、屋内交流広場などの全ての施設設備の工事が完了いたします。3月にはプレオープンし、4月からは本格運用に入るようにしております。今後、関係団体とも連携を強化し、この施設を多くの市民の皆さまに利用していただけるよう取り組んでまいります。
 
【学校教育の充実】
 学校教育における英語教育の充実につきましては、本市独自で小学校に派遣している英語指導助手(EAT)を平成30年度から3人増員し、6人体制として、子どもたちが、早い段階から英語や異文化に触れ、学習指導要領に沿った外国語科の授業にも対応しやすい環境づくりを進めてまいりました。
 また、中学生の英語スピーチの発表の場として「イングリッシュ・パフォーマンスコンテスト」の実施、高校との連携を進めたほか、平成30年度からは、小中学生を対象とした英語検定料の補助制度を拡充したことから、令和3年12月までに小学生延べ354人、中学生延べ1,356人が受験いたしました。
 国のGIGAスクール構想に対応するため、令和2年度に、全小中学校に高速大容量の通信ネットワークを整備し、小学校4年生から中学校3年生までの児童生徒に学習用端末を配備いたしました。現在、各学校では、日常の授業において端末が利用されており、家庭でのオンライン授業の実施に向けた準備も進んでおります。
 また、小学校1年生から3年生までの児童に対しましても、本年3月までに配備を終える予定であり、引き続き、教員の指導力の向上を図りながら、ICTを活用した学習環境の整備を進めてまいります。
 
6 その他(行政改革関連)
 
【専門部署の設置と市役所の組織再編】
 次に、専門部署の設置と市役所の組織再編でございますが、本市が直面している課題に対応するため、簡素で効率的な組織の構築と本庁部局の配置を計画的に進めるために、平成30年12月に「機構組織の改編・庁舎再配置計画」を策定いたしました。
 この計画に基づき部局の改編を段階的に行うとともに、西有家庁舎、有家庁舎、南有馬庁舎、衛生センター庁舎の4庁舎体制に再編し、本庁部局の効率的な配置を行ったところでございます。
 
【行政改革の推進】
 平成28年3月に策定した「第3次行政改革大綱」及びその実行計画である「集中改革プラン」に基づき、行政改革に取り組んでまいりました。その結果、平成30年度から令和2年度までに、約24億6,000万円の財政効果を上げることができました。また、令和3年3月に「第4次行政改革大綱」を策定し、引き続き行政コストの削減に取り組むとともに、令和3年度からは押印廃止やAI-OCR、RPAの導入などの行政事務のデジタル化にも取り組むことといたしました。
 
【マイナンバーカードの取得推進】
 マイナンバーカードの取得推進につきましては、令和2年10月から、主に自治会集会所を会場とした出張交付申請受付会や市内小中学校並びに高校の教職員等を対象とした推進に努めてまいりました。
 1月末現在で約34パーセントのおよそ1万5,000人に交付しております。
 今後も引き続き、取得促進に努めてまいります。
 
【財政の健全化】
 財政の健全化につきましては、「行政改革大綱」、「定員適正化計画」及び「財政計画」に基づき、人件費の削減、公債費の抑制及び地方交付税の減額に対応した財政運営を行ってまいりました。
 本市の財政状況を表す健全化判断比率(財政4指標)でみますと、実質公債費比率は平成29年度末の4.4パーセントから令和2年度末にはマイナス4.1パーセントに改善しており、実質赤字比率、連結実質赤字比率、将来負担比率ともに平成29年度以降0パーセントを維持しております。
 
【ふるさと応援寄附の拡大実施】
 ふるさと納税につきましては、寄附窓口の増設や返礼品の掘り起こしに取り組んだ結果、平成30年度から令和2年度の3年間で合計19億7,173万円の寄附を頂いております。このことによって寄附の目的に沿った事業を行うことで地域活性化を図るとともに、地元産品の取扱いが増えたことにより地域経済の活性化に大きく貢献しているところでございます。
 
 

第3 令和4年度当初予算編成方針

 次に、令和4年度当初予算の編成にあたっての考え方について、ご説明をいたします。
 令和4年度の予算編成につきましては、令和2年度までに普通交付税の合併算定替が終了したことを踏まえ、「第4次行政改革大綱」で示しております改革の取組を推進するため、歳入歳出全般にわたり見直しを行いました。
 なお、本年6月に市長選挙が行われることから、令和4年度の当初予算については、継続的な事業は予算を計上し、選挙後に新規事業などの政策的経費は「肉付け予算」として編成することとしております。
 したがいまして、当初予算は、原則、人件費、公債費、扶助費などの義務的経費や、管理的な行政経費、及び継続中の建設事業などを計上することとした「骨格予算」として編成いたしました。
 一般会計の予算総額は、前年度に比べて1.2パーセントの減の295億7,214万8千円、国民健康保険事業特別会計など2特別会計予算の総額は同1.1パーセントの増の88億2,377万9千円となりました。
 また、企業会計の総額は、同1.8パーセント増の28億1,899万1千円となりました。
 詳細につきましては、定例会参考資料に掲載しておりますので、説明を省略させていただきます。
 以上、今日までの取組を振り返りながら、市政運営に対する所信の一端と当初予算の概要について申し述べさせていただきました。
 議員の皆さまをはじめ市民の皆さまのご理解とご協力をお願いします。
 

 
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