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所信表明(令和8年第2回市議会定例会)

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PDFでの所信表明はこちらからご覧いただけます。下記記載内容と同じものです。


 本日ここに、令和8年第2回南島原市議会定例会を招集いたしましたところ、議員の皆様には御出席を賜り、厚くお礼申し上げます。
 先ほど、全国市議会議長会 及び 九州市議会議長会の表彰の伝達を受けられました 吉田幸一郎議員に、心からお祝いを申し上げます。今後とも、市政振興のため、お力添えを賜りますようお願い申し上げます。

 さて、去る6月の市長選挙におきまして、私は、市政への信頼回復と変化を掲げ、 透明性の高い、クリーンな市政をお約束いたしました。
 市民の皆様から重大な負託をいただき、改めてその職責の重さに、身の引き締まる思いでございます。

 まず初めに、熊本地震及び各地の豪雨災害などにより犠牲となられました方々に、 謹んで哀悼の意を表します。また、被災されたすべての皆様に、心からお見舞い申し上げ、一日も早い復旧・復興をお祈りいたします。
 本市におきましても、7月28日に震度5強の地震を観測し、直ちに災害対策本部を設置するとともに、市内8か所に避難所を開設し、被害状況の把握などに当たりました。
 幸い、深刻な人的被害はありませんでしたが、公共施設等で被害が確認されております。市民の皆様の利用にできるだけ支障が生じないよう、早急な補修に努めてまいります。
 また、被災自治体への職員派遣や医療支援を行うとともに、各庁舎に義援金箱を設置しております。引き続き、被災地の復旧・復興にできる限りの支援を行ってまいります。

 それでは、私にとりまして初めての定例会に当たり、今後4年間の市政運営について、その基本的な考え方を申し述べます。
 私は、この南島原市に生まれ、暮らし、働くすべての市民が、将来に希望を持ち、 安心して生活できるまちをつくりたいと考えております。
 そして、子どもたちや孫たちの世代が、南島原市で育ったことを誇りに思い、将来もここに住みたい、あるいは一度市外へ出ても、また戻ってきたいと思えるまちにしたい。

そのために、市政の基本理念として、

「稼げるまち」

「安心できるまち」

「ワクワクするまち」

この3つを掲げます。

 現状を変えることには、時として痛みや不安が伴います。
 しかし、変化を恐れ、課題を先送りするだけでは、南島原市の未来を切り開くことはできません。
 私は、次の姿勢を大切にしてまいります。

・対立ではなく対話を。
・先送りではなく決断を。
・思いつきではなく根拠を。

 この姿勢を大切にし、市民、市議会、行政が力を合わせ、次世代に誇れる「シン・ 南島原市」への一歩を踏み出してまいります。
 この「シン」には、私なりの思いを込めています。
・希望に進む「進」。
・市民を思う心の「心」。
・真実で正す「真」。
・信頼できる「信」。
・そして、新しい「新」。

この5つの「シン」を、市政運営の姿勢としてまいります。

1 南島原市の現状に対する認識

 まず、本市の現状について申し上げます。
 南島原市の人口は、現在3万9千人台となっております。2014年から2026年までの12年間で、約1万人減少いたしました。
 特に、20代、30代を中心とする若い世代の市外流出が続き、出生数も減少しております。
 若い世代が減少し、高齢化が進むことで、農林水産業をはじめ、医療、介護、公共交通、自治会活動、防災活動など、地域社会を支える様々な分野で担い手不足が深刻になっています。
 耕作放棄地、空き家、空き地が増え、学校や医療機関など、市民生活を支えてきた 地域の基盤も縮小しています。

 また、本市は、人口戦略会議が公表した「消滅可能性自治体」に含まれ、とりわけ 若い女性の減少が大きな課題となっています。
 私は、この人口減少の背景に、若い世代が、この地域で将来の人生設計を描くことのできる所得と仕事が十分ではないことがあると考えております。
 長崎県が公表している市町民経済計算においても、本市の1人当たり市町民所得は、県内13市の中で厳しい水準が続いています。
 地域経済が縮小する。働く場所が減る。所得が伸びない。若者が市外へ流出する。 そして、さらに地域経済が縮小する。
 この負の連鎖を、どこかで断ち切らなければなりません。

 子育て支援や生活支援は、もちろん重要です。
 しかし、一時的な給付だけで、持続可能なまちをつくることはできません。
 これからは、市民生活を支えながら、地域の将来に効果を生み出す「投資」という視点を、より強く持つ必要があります。
 産業、教育、医療、福祉、交通、防災を別々に考えるのではなく、相互につなぎ、 その効果を地域経済や所得の向上につなげていく。

 私は、その視点から南島原市を立て直してまいります。

2 市政運営の基本姿勢

 そのための市政運営において、私は3つの姿勢を大切にします。

1つ目は、市民から信頼される市政

2つ目は、現場を重視し、すぐに動く市政

3つ目は、データと効果に基づく市政 であります。

 行政が行う事業について、その目的、必要性、費用、進捗状況、そして期待される 効果を、できるだけ分かりやすく市民と議会に示してまいります。
 特に、多額の公費を投入する事業については、企画、審査、決定、執行、評価、  それぞれの段階を明確にします。
 そして、問題が生じた場合には、ごまかさず、事実を確認し、必要な対応を速やかに取ります。

 また、市民の困り事は、市役所の机の上だけでは分かりません。
 私自身が地域へ出向き、市民の声を聞く。職員も現場を見る。そして、できることはすぐに動く。
 そういう市役所に変えてまいります。

 さらに、AIや全国のデータも活用しながら、施策の効果を可能な限り数値で把握し、経験や前例だけではなく、エビデンスに基づく行政運営を進めます。

 この3つの基本姿勢の下、6つの重点政策を推進してまいります。

3 六つの重点政策

第一の柱 「稼げる産業」をつくり、市民の所得を増やします

 人口減少対策の中心は、仕事と所得です。
若者や子育て世代が南島原市で働き、暮らし続けることのできる、魅力ある仕事と 所得をつくらなければなりません。

 本市の基幹産業である農業、水産業、製麺業、観光業、介護・福祉産業などについて、「外から稼ぐ力」を高めます。
 単に作る、獲るだけではありません。
 加工する。ブランド化する。そして、より高く販売する。
 生産から販売までを一体的に支援し、付加価値を地域に残す仕組みをつくります。

 農地の集約化、経営規模の拡大、スマート農業、先進技術、国内外の認証取得、産地直送、加工品開発、事業承継、法人化などを積極的に支援します。
 また、フードテック、陸上養殖、ロボット、ドローン、自動運転、再生可能エネルギーなど、本市の資源や課題との親和性が高い新しい産業の誘致にも、トップセールスで取り組みます。

 人手不足については、外国人材を含めた人材確保を進めます。
 現在の制度上の業種制限などについても、地域の実情に合わせた柔軟な人材活用が 可能となるよう、必要に応じて国に規制緩和を求めてまいります。

 若者が地元で働く選択肢を増やす。そして、市民の手取りと所得を増やす。
 これを市政の最重要課題として取り組みます。

第二の柱 どこに住んでいても安心できる医療・子育て・介護・防災を実現します

 市内のどこに住んでいても、安心して暮らせるまちをつくります。
 年齢、性別、障がいの有無、住んでいる地域にかかわらず、必要なサービスを受けられる、誰一人取り残さないまちを目指します。

 地域医療については、医師会、歯科医師会、薬剤師会、既存の医療機関との連携を 基本とします。
 その上で、小規模な総合診療機能、巡回診療、遠隔診療などを組み合わせ、医療を 受けにくい地域の不安を減らしてまいります。

 子育て支援については、医療費を含む経済的な負担軽減に加え、病児保育、産科・ 小児科医療、相談支援などを充実させ、仕事と子育てを両立できる環境を整えます。

 介護については、高齢者が住み慣れた地域で、その人らしく暮らせることを基本にします。
 一方で、本市の自然、食、癒やしといった強みを生かし、市外からも利用者や専門人材を呼び込める、魅力と競争力のある介護・福祉のまちを目指します。

 防災については、今回の地震への対応も教訓とし、自治会、消防団、医療機関、福祉関係者などの連携をさらに強化します。

 地域防災リーダーの育成、避難に支援を必要とする方の把握、避難訓練、AEDや救命講習などを進めます。
 通信が途絶えた場合への備えや、衛星情報など新しい技術の活用についても検討し、地域全体で市民の命を守る防災力を高めてまいります。

第三の柱 安全で快適な交通・生活インフラに投資します

 移動できることは、暮らしを守ることです。
 高齢者をはじめ、車を運転できない方にとって、通院や買い物の交通手段は、まさに生活を支える基盤です。

 既存の路線バス、乗合交通、スクールバスなどについて、利用状況を検証します。
 そして、地域の実情に応じた、分かりやすく利用しやすい南島原版の公共交通体系を検討します。
 自家用有償旅客運送などについても、国や県と協議しながら、地域に適した制度の 活用や規制のあり方を検討します。
 将来的には、自動運転など新しい移動技術の導入可能性についても研究を進めます。

 また、合併処理浄化槽への計画的な転換、ごみの減量化と分別、処理体制の効率化を進めます。
 道路、公共施設、上下水道などについても、「造る」ことだけを目的とするのではありません。
 安全性、利用状況、将来の維持管理費を考え、長期的な視点から整備、更新、統廃合を判断してまいります。

第四の柱 教育と全世代の交流に投資します

 子どもたちは、南島原市の未来そのものです。
 一人ひとりの個性を大切にし、自ら考え、挑戦し、困難を乗り越える力を身につけられる教育を進めます。

 既に取り組んでいるリバプールFC財団の「リーダーズ・オブ・トゥモロー」なども活用しながら、未来の地域を担う人材の育成に取り組みます。
 また、地域の歴史、文化、自然、産業を学ぶ郷土学習を充実します。
 早崎瀬戸の海洋エネルギー、スペインとの歴史的なつながりを生かした国際交流や外国語教育など、「南島原だからこそ学べる教育」を目指します。
 県立高校についても、本市ならではの特色ある学びができるよう、長崎県に働きかけます。
 通信制をはじめ、地元にいながら専門性の高い教育を受けられる仕組みについても検討します。

子どもたちが「南島原で学びたい」。
保護者が「南島原で子どもを育てたい」。
そう思っていただける教育環境をつくります。

 また、既存の公共施設や廃校舎については、子どもの遊び場、高齢者の健康づくり、世代間交流など、新たな役割を持たせることができないか検討します。

 新しく造るだけではなく、「今あるものを賢く生かす」。
 この考え方を基本とします。

第五の柱 誠実で、すぐに動く市役所に変えます

 行政への信頼なくして、まちづくりは前に進みません。

 サテライトオフィス整備事業をはじめ、市民の皆様が疑問や不安を抱いている問題については、関係資料と経緯を改めて確認します。
 議会とも情報を共有しながら、事実関係を明らかにし、必要な責任の明確化と再発防止に取り組みます。

 また、工期や事業費が当初計画を大きく上回っている事業については、既に費用を投じているからという理由だけで継続することはいたしません。
 これから必要となる費用、その効果、代替案を検証し、市民にとって何が最善かという視点で判断します。
 事業の事前審査、進捗管理、事後評価を強化し、とりわけ大型事業については、議会と市民への説明を徹底します。

 行政組織についても、意思決定を迅速にし、内部チェックを強化します。
 無駄な業務を減らし、職員に余力をつくり、その力を市民サービスや政策立案、国・県・民間との交渉に振り向けます。

 特に、DXの推進と防災力の向上については、早急に体制を検討します。

 市民の話を聞く。現場を見る。判断する。そして、すぐ動く。
 そのような市役所へ変えてまいります。

第六の柱 世界中から人が訪れる、にぎわいのあるまちをつくります

 南島原には、世界に誇れるものがあります。

 原城跡、日野江城跡をはじめとする歴史。
 島原半島ユネスコ世界ジオパーク。
 美しい海と山。
 豊かな農水産物。
 そして、そうめんをはじめとする食文化。

 これらを、それぞれ単独で発信するのではなく、歴史、自然、食、体験、宿泊を一つのストーリーとして結びつけます。
 そして、観光客の滞在時間を延ばし、地域での観光消費を増やします。

 原城跡やジオパーク周辺の案内、多言語対応、二次交通などを充実させ、国内外から訪れる方が快適に周遊できる環境を整えます。
 現在整備中の世界遺産センターについても、本市の歴史的価値を国内外へ発信する拠点として活用します。

 口之津港へのクルーズ船誘致、スペインとの歴史的なつながりを生かした国際交流、ハウステンボスをはじめとする周辺観光地との連携にも取り組みます。

 また、空き家を活用した短期滞在や移住体験などを通じ、観光で訪れた方が、繰り返し訪れる関係人口となり、やがて移住や事業展開につながっていく流れをつくります。

 髙岩山、エコパーク論所原、俵石などについても、自然環境の保全と安全を前提に、森林体験などの場として活用します。

 加津佐の前浜エリアについては、海洋教育、宿泊、地域交流などが融合する拠点づくりを進めてまいります。

 市民が、「南島原には何もない」と言うのではなく、「南島原には、世界に誇れるものがある」と胸を張れるまちにしてまいります。

4 財政運営と新たな財源の確保

 以上、6つの重点政策について申し上げました。
 しかし、政策は、財源の裏付けがあって初めて実行できます。

 自主財源が乏しい本市において、将来世代へ過大な負担を残すことはできません。だからこそ、「何をするか」と同時に、「何をやめるか、何を見直すか」も判断しなければなりません。

 事業の優先順位を明確にします。
 公共施設の統廃合や既存事業の見直しを進めます。
 その上で、国・県の補助制度、PFIなどの民間活力、ふるさと納税を最大限に活用します。

 さらに、新たな財源確保策として、ふるさと納税で培った経験を生かし、遺贈や相続財産によって南島原市の将来を応援していただく、いわゆる「ふるさと遺贈」の仕組みについても検討します。
 法的な課題、資産管理、将来の維持費などを十分整理した上で、持続可能な制度となるよう研究を進めます。

 限られた財源だからこそ、無駄にしない。
 そして、単に使うのではなく、「未来への投資」として使う。
 この原則を徹底してまいります。

5 結びに

 私は、市長一人の力で南島原市を変えられるとは考えておりません。

 市民の皆様。市議会議員の皆様。市職員。地域の事業者。医療、福祉、教育関係者。自治会、消防団をはじめ、地域を支えていただいている多くの皆様。

 皆様との対話と協力があって、初めて、このまちは前へ進むことができます。

 議会と執行部には、それぞれ異なる役割と責任があります。
 時には意見が異なることもあると思います。
 しかし、目指すところは同じです。

 南島原市をより良いまちにし、次の世代へ引き継ぐこと。

 私は、異なる意見にも真摯に耳を傾けます。
 必要な説明を尽くします。
 そして、決めるべき時には、市長として責任を持って決断いたします。

 守るべきものは、しっかり守る。
 変えるべきものは、勇気を持って変える。

 私たちが今、何を選択し、何を始めるかによって、10年後、20年後の南島原市は変わります。
 現在を生きる私たちだけのためではありません。
 子どもたち、孫たち、そしてその先の世代に、「南島原に生まれてよかった」「南島原で暮らしてよかった」と思ってもらえるまちを残したい。

 世界とつながり、産業に競争力があり、誰もが安心して暮らし、未来にワクワクできる。
 そんな「シン・南島原市」を、市民の皆様、市議会議員の皆様とともにつくってまいりたいと考えております。

 議員各位、そして市民の皆様の御理解と御協力を心からお願い申し上げ、私の所信表明といたします。

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