Ai川 第9回
加津佐前浜で行われた「ユニバーサルビーチ」の取り組みに参加しました。島原半島観光連盟会長の時に同僚が神戸の須磨でこの活動をするグループを訪問して始めた活動も3年目になります。
そこに掲げられていた言葉が印象に残っています。
「みんなの『できない』を『できた!』に変える。」
ビーチマットや水陸両用の車いすを使えば、これまで海に入りにくかった人も、海を楽しむことができる。
海そのものが変わったわけではありません。
変わったのは、海にたどり着く「方法」です。
そんなことを考えていて、ふと「できない」という言葉が気になりました。
AIに、
「『できない』って、英語ではどう言うの?」
と聞いてみました。
もちろん英語でも、I can’t. と一言で言えます。
でも、少し詳しく言おうとすると、
状況によって表現が変わってきます。
なるほど。
日本語で私たちが何気なく使っている「できない」も、本当は中身がずいぶん違うのかもしれません。
能力がないのか。
方法を知らないのか。
必要な手段や環境にアクセスできないのか。
制度やルールによってできないのか。
誰かの助けがあればできるのか。
それとも、今はまだできないだけなのか。
「できない」と一言で言ってしまうと、その違いが見えなくなってしまいます。
以前、東京の「分身ロボットカフェ DAWN 」を訪れたことがあります。
そこでは、外出することが難しい人が、自宅などから分身ロボット「OriHime」を操作して接客しています。ちなみに「OriHime」ロボットは口加高校で現在使ってもらっています。
「職場に行けない」。
でも、それは必ずしも、
「働けない」
ということではありません。
働く能力がないのではなく、これまでの働き方では職場へのアクセスが難しかった。
そこで、働く方法の方を変えてみる。
東京慈恵会医科大学のアクセシビリティ・サポート・センターの取り組みを知ったときにも、似たことを感じました。
障がいや病気などによって、見ること、聞くこと、話すこと、手を動かすことが難しい人を、ICTを使って支援する取り組みです。
私が驚いたのは、特別な機械ばかりを使うわけではないことでした。
私たちが普段使っているスマートフォンやタブレットにも、文字を大きくする、文章を読み上げる、声で操作するといったさまざまな機能が、最初から用意されています。
機器や設定によっては、視線を使って操作することもできます。
私も毎日スマートフォンを使っていますが、知らない機能がたくさんありました。
年齢を重ねれば、今までと同じようには見えなくなったり、聞こえにくくなったり、手を動かしにくくなったりすることもあります。
そのときに、
「もう使えない」
と考えるのか。
それとも、
「別の使い方はないだろうか」
と考えるのか。
ここにも、「できない」の中身をもう少し細かく見てみる意味がありそうです。
そんなとき、
「もうできない」
と決めてしまう前に、
「何が、できないんだろう?」
と、もう一度考えてみる。
今までの方法では難しいだけかもしれない。
必要な道具がないだけかもしれない。
アクセスする方法がないだけかもしれない。
誰かに少し助けてもらえば、できるかもしれない。
方法を変える。
人にも頼る。
技術にも頼る。
使えるものは、使ってみる。
「できない」という言葉の前に、もう一つ問いを置くだけで、まだ残っている可能性が見えてくることもあるのかもしれません。
まずは私自身、毎日使っているスマートフォンにどんな機能があるのか、少し試してみようと思います。
意外と知らないことがありそうです。
それは、また今後。
南島原市長 相川 武利
【参考文献】
・島原半島ユニバーサルビーチ2026 in 南島原市・加津佐前浜海水浴場
(外部リンク)
・東京慈恵会医科大学 ASC(アクセシビリティ・サポート・センター)
(外部リンク)
・遠隔操作で「観光」気分!分身ロボット介し実証実験、イルカの迫力に感激!(長崎新聞ホームページ)
(外部リンク)
・「グローカル・探求授業」-長崎県立口加高校の実践レポート(オリィ研究所ホームページ)
(外部リンク)