Ai川 第11回 「できない」の、その先へ
先日、スペインセビージャ市から視察に来られた方々とお話しする機会がありました。サビついたスペイン語にも磨きを入れて直接会話しました。
その中で、セビージャのまちづくりについて、とても興味深い話を聞きました。
セビージャは、古くからさまざまな文明が行き交ってきた都市です。
フェニキア、ローマ、イスラム、そして現在のスペインへ。
長い歴史が積み重なっているため、まちの地下には昔の建物や暮らしの跡が残っています。
そのため、建物を建て替えようとすると、地下から遺構が出てくることも珍しくないそうです。
中でも印象に残ったのが、市場の再整備の話でした(メルカド・エンカルナシオン市場、トリアナ市場)
地下から古い時代の遺構が見つかったため、それを残しながら、その上で市場などの機能も成り立たせる方法を考えたというのです。
話を聞いて、
「それって、どういうことなんだろう?」
と気になり、あとでAIにも聞いてみました。
すると、地下の遺構をその場所で保存し、人が見ることのできる空間にしながら、その上では現在のまちの暮らしが続いていることが分かりました。
昔のまちと、今のまち。
どちらか一方を選ぶのではなく、両方を残す。
なるほど、こんな考え方もあるのかと思いました。
そこで、ふと南島原の日野江城跡のことが頭に浮かびました。
日野江城跡でも、発掘調査によって貴重な遺構が見つかっています。
現在は、それらを守るため、大切に土の中に戻されています。
そこで今度はAIに、
「遺跡を守りながら、人に見てもらう方法には、どんなものがあるの?」と聞いてみました。
覆いをつくる方法、ガラスなどを使って見えるようにする方法、デジタル技術でかつての姿を再現する方法。
世界には、いろいろな工夫があるようです。
もちろん、セビージャと南島原では、気候も違えば、文化財の性質も違います。
AIが教えてくれた方法を、そのまま日野江城跡で使えるわけでもありません。
でも、そこで私は、
こうして守られてきた日野江城跡を、これからどんな形で皆さんに見てもらうことができるだろう。
と考えるようになりました。
守ることと、見てもらうこと。
その二つを両立する方法が、まだあるのかもしれません。
AIを使っていると、ときどき面白いのは、
「答え」が見つかることよりも、
自分がまだ考えていなかった選択肢に出会うことです。
そのための近道は先行事例に学ぶことだと思います。
例えば、観光はスペイン、教育はオランダといったところでしょうか。
行政の仕事には、法律や制度、予算、技術など、いろいろな条件があります。
すぐにはできないこともあります。
けれど、条件があるからこそ、別の工夫が生まれることもある。
「できない」で終わるのではなく、
その先に、どんな方法があるのかを考えてみる。
今回、AIに聞いてみたことで、そんなことを改めて考えました。
南島原にも、まだ私たちが気づいていない答えがあるのかもしれません。
南島原市長 相川 武利