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第15回市長コラム

最終更新日:

Ai川 第15回

未来を変えるのは、答えよりも「問い」?

今回は、地元の高校生たちのうれしいニュースから始めたいと思います。

朝日新聞社と日本財団が開催している「高校生エール甲子園」という取り組みをご存じでしょうか。

高校生が身近な社会の困りごとを見つけ、自分たちで解決するアイデアを考え、実際の行動につなげていこうというものです。

この大会に、南島原市の口加高校の生徒たちが複数のアイデアを応募しました。そしてこのたび、有明海の魚をテーマにしたチームが、見事に一次選考を通過したそうです。

そのアイデアが、なかなか面白いのです。

「環境DNA」という技術を使って有明海に生息する魚を調べ、これまであまり利用されてこなかった魚に新たな価値を見いだし、商品化につなげようというものです。

環境DNAとは、水の中に残された生き物のDNAを分析することで、そこにどんな生き物がいるのかを調べる技術です。

身近な有明海に、まだ知られていない可能性があるのではないか。そんな着眼点から、科学技術と地域産業を結びつけようとしているところに感心しました。

実は、口加高校からは、ほかにも興味深いアイデアが寄せられています。

学校の購買で売れ残る商品を減らし、分身ロボット「OriHime」を使って世界の人々との交流の場をつくる。

学校周辺の空き家を活用し、外国人観光客に南島原の魅力を伝える。

どれも、日々の暮らしの中にある課題を、自分たちの視点で捉え直したものです。

私が特に感心したのは、壮大な理想から始めるのではなく、身近な疑問を出発点にしていることでした。

「どうして、売れ残ってしまうんだろう」

「この空き家、何かに使えないかな」

「この魚、もっと価値をつけられないだろうか」

そんな素朴な疑問が、地域を変えるアイデアにつながっています。

さて、ここでAIの登場です。

今のAIに「南島原市の課題と解決策を考えて」と頼めば、人口減少、空き家、観光、地域産業など、さまざまなテーマについて、あっという間に提案してくれるでしょう。

でも、高校生たちの取り組みを見て、改めて考えました。

大切なのは、答えを出す力だけではなく、何を問いにするかという力ではないだろうか。

AIは、情報を集めたり、アイデアを広げたり、実現方法を調べたりする強力な道具です。

一方で、「これ、何とかしたい」と感じるきっかけは、日々の暮らしや人との関わりの中にあります。

そして、その疑問を自分たちの課題として引き受け、実際の行動につなげるのは人間です。

考えてみると、これは市役所の仕事にも通じます。

行政は、地域の課題を見つけ、解決策を考えることが仕事です。しかし、私たち大人が当たり前だと思って見過ごしていることに、高校生が疑問を持つこともあるでしょう。

大人が用意した課題に若い世代が答えるだけでなく、若い世代が見つけた問いに、私たち大人が耳を傾ける。

そして、実現できそうなアイデアがあれば、一緒に考え、応援していく。

そんな関係が、もっとあってもいいのではないでしょうか。

有明海のチームは、一次選考を通過し、次の段階へと進みます。もちろん、さらに良い結果が出ることを期待しています。

ただ、今回の挑戦の価値は、選考結果だけでは測れません。

自分たちが暮らす地域を見つめ、「なぜだろう」「何とかできないだろうか」と問いを立て、行動を起こしたこと。その経験は、きっとこれからの人生にも生きてくるはずです。

AIがますます賢くなり、答えを得ることが簡単になる時代。

だからこそ、身の回りのことに「なぜ?」と問いかける力を、大切にしたいと思います。

南島原の未来を変えるヒントは、案外、高校生たちの素朴な疑問の中にあるのかもしれません。

               南島原市長 相川 武利


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