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施政方針(令和5年第1回市議会定例会)

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  • 原城跡空撮


 第1 国内外の情勢

 さて、1月の国の月例経済報告によりますと、「現在、国内の景気は、このところ一部に弱さがみられるものの、緩やかに持ち直している。先行きについては、ウィズコロナの下で、各種政策の効果もあって、景気が持ち直していくことが期待される。ただし、世界的な金融引締め等が続く中、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、供給面での制約、金融資本市場の変動等の影響や中国における感染拡大の影響に十分注意する必要がある。」とされています。
 こうした中、令和4年12月2日に閣議決定された令和5年度予算編成の基本方針に基づき、国では、足元の物価高を克服しつつ、経済再生の実現に向けた、人への投資、科学技術・イノベーション、スタートアップ、GX(グリーン・トランスフォーメーション)、DX(デジタル・トランスフォーメーション)といった成長分野への大胆な投資、少子化対策・こども政策の充実等を含む包摂社会の実現等による新しい資本主義の加速や、外交・安全保障環境の変化への対応、防災・減災、国土強靱化等の国民の安全・安心の確保を始めとした重要な政策課題について必要な措置を講ずるなど、メリハリの効いた予算編成を行い、その政策効果を国民や地方の隅々まで速やかに届け、我が国経済を持続可能で一段高い成長経路に乗せていくことを目指すとされています。
 本市においては、これらを踏まえ、効率的で持続可能な自治体経営に努めつつ、脱炭素社会に向けた取組の強化や子育て支援、防災対策の強化といった安心して住み続けるための環境の整備に取り組むとともに、産業や地域社会のデジタル・トランスフォーメーションなど、人口減少社会に対応した、住み続けたくなる、活力あるまちづくりを進めなければならない、と考えているところであります。

第2 令和5年度の事業展開

【第(2)期南島原市総合計画後期基本計画の策定】

 本市では、平成30年3月に「第(2)期南島原市総合計画」の前期基本計画を策定し、まちづくりの将来像「住み続けたい 住んでみたいまち みなみしまばら」の実現に向けて、この5年間、各種施策の推進に努めてまいりました。
 この間、地球温暖化による豪雨や台風などの大規模な自然災害の増大、経済構造や人口構造の変化、デジタル化をはじめとする技術革新、さらには新型コロナウイルス感染症の流行を契機とした新たな日常への対応が求められるなど、本市を取り巻く環境は大きく変化しています。
 このような先行きの見えない状況に柔軟に対応しつつ、前期基本計画の成果と課題を踏まえた施策を推進するため、令和元年度に策定した「南島原市まち・ひと・しごと創生総合戦略」を含めた形で、令和5年度から9年度までの5か年を計画期間とした後期基本計画の策定作業を進めております。
  令和5年3月末を目途に策定することとしておりますので、議員の皆様におかれましては、新たな基本計画のもと、引き続き、市政運営に対し、ご協力くださいますようお願い申し上げます。
それでは、令和5年度における施政方針につきまして、第(2)期南島原市総合計画基本構想に基づく8つの柱ごとに、ご説明申し上げます。

1 自然環境 ~人と自然が共生するまちづくり~

はじめに、基本柱の1点目「自然環境 ~人と自然が共生するまちづくり~」でございます。
【脱炭素施策等の推進】
 まず、脱炭素施策等の推進についてですが、令和3年12月のゼロカーボンシティ宣言に続いて、現在、本市において2050年に温室効果ガス排出量実質ゼロを実現するためには、どれだけの再生可能エネルギーの導入が必要で、どのような対策を進めていくべきか、といった方向性を示す脱炭素全体計画の策定を進めているところです。
この計画では、太陽光発電を設置可能な公共施設へ2030年までに50パーセント、2040年までに100パーセントの導入を目指すなど、各種の目標を掲げております。
 今後は、市内の住民、事業者を含む市内全域で温室効果ガスの排出削減を推進する地球温暖化対策実行計画(区域施策編)の改訂を進めるとともに、公共施設においては、太陽光発電の導入に加え、照明のLED化や効率の高い空調機器への改修などを計画的に進めてまいります。

【南部リレーセンターの建設】
 令和8年度から市内全域の可燃ごみを県央県南クリーンセンターで処理することに伴い、島原市の東部リレーセンター、雲仙市の西部リレーセンターと同様に、本市にも南部リレーセンターを南有馬衛生センターの敷地内に建設することが県央県南広域環境組合において決定されました。
 現在行われている現地の生活環境影響調査を経て、令和8年度からの南部リレーセンター運用開始に向けた準備が進められることとなっています。

【深江衛生センターの中継基地化】
 深江衛生センターについては、稼働から35年が経過し、老朽化が著しいことから、し尿処理業務を廃止し、南有馬衛生センターの中継基地といたします。市内全域で収集されたし尿及び浄化槽汚泥は、令和2年度に大規模改修工事によりリニューアルした南有馬衛生センターで集約し処理を行います。
 深江・布津地区のご家庭及び事業所につきましては、これまでどおりの収集を行いますのでよろしくお願いいたします。

2 郷土文化 ~郷土の誇りを守り活かすまちづくり~

続いて、基本柱の2点目「郷土文化 ~郷土の誇りを守り活かすまちづくり~」でございます。
【世界遺産の推進】
 令和5年度は、世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産として原城跡が登録されて5周年にあたります。これにあわせて、世界遺産市民協働会議と協力して、記念式典や各種イベント、企画展などの開催を予定しております。
 また、世界遺産センターにつきましては、原城跡のガイダンスをはじめ、物産販売や観光案内など地域の活性化に資する機能を持った施設として整備を予定しており、令和4年度は施設の基本設計を開始し、整備内容の検討を行いました。
 令和5年度は基本設計の成果をもとに、実施設計を行い、その後敷地造成を行う予定としております。

【移住定住の促進】
 次に、移住定住の促進でございますが、
本市ではこれまで、地域の魅力発信や移住相談の実施、移住体験ツアーといった市外からの移住を促進するための取組のほか、若者が結婚しやすい環境を整えるための引越費用や家賃等に対する支援、子育て世帯が定住する意思をもって市へ転入する場合の引越費用の支援に取り組んできました。
 また、増え続ける空き家の活用を図るため、空き家バンクの運用を行うとともに、登録された空き家で移住者が生活される場合にはリフォーム費用の支援も行っております。
 これらの取組により、毎年80人前後の移住者の方々を受け入れております。
 令和5年度につきましては、移住の取組を更に加速させるため、移住コーディネーターを雇用し、空き家の掘り起こしや移住相談、ホームページやSNS等を活用した情報発信の充実に努めるとともに、市が主体となって空き家を改修して子育て世帯等の移住者に賃貸する「空き家活用促進事業」に取り組むほか、お試し住宅を追加で整備し、シェアハウスとしても活用することで、更なる関係人口の拡大を図ります。

3 産業経済 ~賑わいと活力を興すまちづくり~

基本柱の3点目「産業経済 ~賑わいと活力を興すまちづくり~」でございます。
【環境保全型農業の推進】
 はじめに、農業の振興についてですが、
 2021年に国が策定した「みどりの食料システム戦略」において、2050年までにオーガニック市場を拡大しつつ、耕地面積に占める有機農業の取組面積の割合を25パーセント(100万ヘクタール)に拡大することが目標として掲げられました。
  本市においても、令和5年3月に南島原市有機農業推進計画を策定し、オーガニックビレッジ宣言を行うこととしており、有機JAS認証の取得支援など今後更なる有機農業の推進に努め、環境保全型農業を含めた有機農業の産地づくりを進めてまいります。

【新規就農者の確保】
 農業従事者の高齢化や担い手不足といった本市農業の課題解決を図るため、国や県の補助事業の活用のほか、市の単独事業として、農業経営開始に伴い必要となる機械器具の購入等に対する支援や農業研修生に対する賃貸住宅の家賃補助、親元就農者に対する支援を行っており、令和5年度も引き続き取り組んでまいります。
 また、令和4年10月から果樹に特化したトレーニングファーム事業を開始し、第1期生として2名の研修生を迎え、果樹農業における新規就農者の確保、育成に取り組んでおります。令和5年度は更に研修生を受け入れるとともに、都市部で開催される就農相談会へ積極的に参加するなどUIターンによる新規就農者の確保、育成に努めてまいります。

【スマート農業の推進】
 スマート農業につきましては、令和4年度、いちご、トマトなどの施設園芸作物について環境制御技術の実証事業に取り組み、栽培指導マニュアルを作成しました。環境制御技術は、農産物の安定した収量と品質の確保だけでなく、反収増加にもつながっており、生産性向上を図る新技術として期待されております。今後は、このマニュアルを活用し、グループごとの勉強会を重ねることで収量向上を実現させ、具体的な成功事例を数多くつくり、環境制御技術の普及拡大を図ってまいります。
 また、農業用ドローンによる農薬散布につきましては、これまで水稲や馬鈴薯などの露地野菜を対象に支援を行っており、みかんに対しても導入に向けた実証事業に取り組んでおります。今後は、新たな作物での実証事業を行い、対象作物を広げてまいります。
  さらに、農業におけるDXの取組の一環として、令和5年度は、イノシシ捕獲作業の効率化を図るため、センサーを取り付けたイノシシ用箱わなによる鳥獣被害対策用システムの実証事業に取り組みます。

【農業生産基盤の整備】
 農地の基盤整備については、生産効率を高め競争力のある「攻めの農業」に向け、担い手への農地集積の加速化や作物の高付加価値化等を推進するため、農地の区画整理・農業用用排水施設の整備等を行っております。
 令和5年度の取組内容でございますが、
加津佐町空池原地区は、令和5年度に「畑地かんがい施設」の施工を行い基盤整備が完了となる予定です。
西有家町見岳地区は、「畑地かんがい施設」の施工を行います。
深江町馬場地区は、「区画整理工」の施工を行います。
加津佐町津波見地区は、換地1工区・2工区の換地原案の作成、及び換地2工区の実施設計の作成を予定しております。
有家町の有家中部地区は、令和7年度からの事業化に向けて、基本計画の作成を予定しております。
 また、昨年合併により設立された南島原土地改良区と連携して、農業用施設の維持更新事業に加え、農業経営基盤の強化や担い手への集積・集約化にも積極的に取り組んでまいります。

【育てる漁業の推進】
 次に、水産業の振興についてですが、
 資源減少の影響による漁獲量低迷の改善策として、獲る漁業に加え、育てる漁業を推進しております。令和4年度から「アサリの養殖」「ウニの蓄養」の実証実験を開始しており、令和5年度も、引き続き実証実験を行う予定としております。
 今後は、養殖したアサリやウニを地元の飲食店で利用していただくことにより、新たな地域ブランド産品の創出につなげてまいります。
 また、貝崎漁港の整備工事につきましては、地元調整を図りながら、令和5年度から防風フェンスや沖防波堤などの工事に着手する予定です。

【そうめん産業の振興】
 そうめん産業の振興につきましては、高齢化や労働力不足による作業の負担軽減と生産性向上を図るための設備機器の導入支援をはじめ、地域おこし協力隊制度の活用や新規就業者に対する支援制度による後継者の確保に引き続き取り組んでまいります。あわせて、地元産小麦を活用した付加価値の高い商品の研究開発を進めてまいります。
 また、積極的な情報発信による島原手延そうめんの知名度の向上に伴い、島原手延そうめんの需要が増加し、消費者からの評価も上昇しております。今後も知名度向上に努め、生産者の所得増加につなげてまいります。

【地元企業等の振興】
 地元企業等の振興でございますが、これまで、新たに創業する事業者への創業支援補助や、設備投資や販路拡大など新たな雇用を伴った事業拡充に対する「地域雇用創出チャレンジ支援事業」などに取り組んでまいりました。
 令和5年度におきましては、こうした地場産業の活性化の取組を継続して支援していくほか、企業が進出しやすい環境をつくるため、既存の企業等設置奨励事業を拡充するなどの優遇・奨励措置を講じることで、若者が安心して働くことができる雇用の場の拡大に取り組んでまいります。
 また、2月1日でサービス開始から3年目を迎えました電子地域通貨MINAコイン事業でございますが、現在、加盟店舗数397店舗、累計の決済額約14億円と、順調にサービスを拡大しており、今後も地域経済の活性化のため、地域になくてはならないサービスとして一層の推進を図ってまいります。

【道の駅 みずなし本陣ふかえ】
 令和3年12月から閉鎖されておりました「道の駅 みずなし本陣ふかえ」の売店等の施設につきましては、新しい運営者が決まり、4月末ごろのリニューアルオープンに向けた準備が進められているところであります。本市の観光振興のためには欠かすことのできない場所であることから、今後必要な支援を行ってまいります。

【プロモーションの強化】
 本市ではこれまで、アニメを活用した観光振興に取り組んでまいりました。
 令和5年度は、ふるさと納税を活用した取組として、各種メディアと連携したバーチャルシンガーグループのミュージックビデオや人気アニメの南島原編の制作などを行い、アニメの聖地巡礼による交流人口の拡大を図ってまいります。

4 健康福祉 ~健康でつながりを大切にするまちづくり~

次に、基本柱の4点目「健康福祉 ~健康でつながりを大切にするまちづくり~」でございます。
【高齢者福祉の充実】
 まず、高齢者福祉についてですが、
 本市の高齢化率は、令和4年12月末に41.07パーセントとなり、10年前に比べ8.79ポイント上昇しており、今後、75歳以上の後期高齢者の増加が見込まれます。
 このような状況にあって、令和5年度においては、引き続き、適切な介護保険サービスの提供と合わせ、高齢者を地域で支える施策として、認知症高齢者などの「見守り支援事業」、独居高齢者の緊急時に備える「緊急通報システム設置事業」、高齢者等の社会参加を促すための「高齢者・障害者交通費助成事業」、高齢者を支える医療や介護の連携体制を構築する「在宅医療・介護連携推進事業」などを実施してまいります。
 また、令和6年度から3年間実施する老人福祉事業の指針となる第7期の「高齢者福祉計画」の策定を進めます。

【子育て支援の充実】
 次に、子育て支援でございますが、
 医療費の助成制度につきまして、かねてより償還払い方式から現物給付方式にして欲しいとの要望を頂いていたところですが、小・中学生の医療費助成について現物給付を導入することといたしました。令和5年 10月からの開始を目指し、準備を進めてまいります。
国において、出産子育て応援給付金の給付並びに出産一時金の増額が決定されたところですが、本市におきましては、これに加え、妊産婦の医療費について、特に自己負担が多い妊産婦の医療費を助成する制度を、県内ではじめて創設いたします。妊娠・出産に要する経済的負担を軽減し、安心して妊娠・出産できる環境を整えてまいります。
 また、妊娠期・子育て期のご家庭からの医療・子育ての相談につきまして、休日、夜間にかかわらず、「何時でも」、「何処からでも」、気軽に相談できるように、ご家庭のスマートフォンやパソコンを通して、小児科医、産婦人科医、助産師が遠隔で相談に応じるシステムの実証試験に取り組みます。
 さらに、妊娠、出産などの母子保健分野の相談・支援を行っている「子育て世代包括支援センター」と、子育てに関する総合的な相談・支援を行っている「子ども家庭総合支援拠点」を一本化し、全ての妊産婦、子育て世帯、子どもへの一体的な相談・支援を行う「こども家庭センター」を、令和6年4月に設置するよう準備を進めてまいります。

【健診や健康相談等のオンライン化】
 集団による健康診査とがん検診につきましては、電話による事前予約制により、待ち時間の短縮や密の回避につなげているところですが、令和5年度に、スマートフォンなどで24時間予約可能なシステムを新たに導入し、より利用しやすい環境づくりを進めてまいります。
 また、現在、20歳以上の市民の皆さんを対象に、保健師や管理栄養士などが、対面や電話で実施しております健康相談と保健指導につきまして、電子回覧板の試行的導入に合わせて配布するタブレットなどを利用したオンラインによる相談、指導の実証試験に取り組みます。

5 人づくり ~次代を育む人づくり~

基本柱の5点目「人づくり ~次代を育む人づくり~」でございます。
【学習環境の整備】
 まず、学習環境の整備についてですが、
 引き続き、子どもたちの学習環境を整備するため、トイレの改修や校舎内部の建具改修、体育館の改修、空調機器の整備、LED化等に取り組んでまいります。
 また、今後の児童生徒数の減少を踏まえ、学校施設の適正規模・適正配置による統廃合を視野に入れながら、市内小中学校のあり方の検討を進めてまいります。

【学校教育におけるデジタル技術の積極的活用】
 次に、学校教育におけるデジタル技術につきましては、児童生徒が所有する1人1台端末を活用したデジタルならではの学びを実現していくために、令和4年度から、国や地方自治体が作成した問題を無償で利用できる、文部科学省が開発したオンライン学習システムMEXCBT(メクビット)の本格的運用を始めました。令和5年度は、このシステムを更に活用し、児童生徒の学力向上を図ってまいります。
 また、今後の個別最適な学びの実現に向けて、学年に関係なく児童生徒の学力に応じた学習ができるAIドリルを、令和5年度に西有家小学校に試験的に導入し、その成果について検証を行ってまいります。

6 安全安心 ~安全安心に暮らせるまちづくり~

基本柱の6点目「安全安心 ~安全安心に暮らせるまちづくり~」でございます。
【防災行政無線の更新】
 はじめに、防災行政無線の更新についてですが、
 既設設備の老朽化と放送設備の部品供給期間が終わることから、設備全体を更新します。更新設備として、西有家庁舎の無線機器本体や南有馬町上原に設置している無線中継局、屋外に設置している屋外拡声子局等の設備の工事を行います。
屋外拡声子局につきましては、機能を高度化したものへ更新しますが、これにより、放送エリアを拡大できるとともに屋外拡声子局の設置箇所数を減らすことができます。
 情報の伝達効果の向上と施設の運用管理面における効率化、合理化を実現するため、令和7年3月の完成に向け、整備を進めてまいります。

【自主防災活動の推進】
 自主防災活動の推進については、新型コロナウイルス感染症により開催を見合わせていた南島原市防災訓練を令和4年度から再開し、口之津地区及び南有馬地区において、初期消火訓練やAED講習、降雨体験などを実施いたしました。令和5年度は、地域における自主防災活動の推進、自助・共助を柱とした地域における防災力の向上を目的に、加津佐地区及び深江地区において防災訓練の実施を予定しております。

【災害に強いまちづくり】
 災害に強いまちづくりとしまして、災害発生時などに、一人で避難することが困難な高齢者や障害者など「避難行動要支援者」の方々につきましては、これまで、氏名、住所などの情報を「避難行動要支援者名簿」として整備し、民生委員・児童委員などの「避難支援等関係者」と情報を共有しているところです。
 今後は、これらの情報に、要支援者お一人おひとりの住まいの位置、避難を支援する方、緊急の連絡先、避難支援を行うにあたっての留意事項などの情報を加えた「個別避難計画」の策定を進め、より円滑な避難支援につなげるようにしております。令和5年度におきましては、ハザードマップ上の危険区域にお住まいの「要支援者」から、順次「個別避難計画」の策定を進めてまいります。

【浸水対策等の危険箇所対策の推進】
 次に、浸水対策等の危険箇所対策の推進についてですが、
 南有馬町北岡地区の浸水対策事業につきましては、農地の冠水や住宅浸水被害の軽減を目的に、令和4年度から排水路整備工事に着手しております。また、深江町馬場地区についても浸水対策工事に着手しているところです。いずれも早期完成を目指してまいります。
地すべり対策につきましては、南有馬町矢竹地区、加津佐町山口地区の対策工事に加え、市内の耕地地すべり指定区域の14区域において老朽化が進行した施設について、長寿命化計画を策定することとしております。また、ため池整備事業につきましては、令和5年度に南有馬町平田ため池のほか、県が定めた、ため池整備計画に基づき改修工事を実施するなど、危険箇所対策の推進に取り組んでまいります。

7 基盤整備 ~世代を問わず暮らしやすいまちづくり~

基本柱の7点目「基盤整備 ~世代を問わず暮らしやすいまちづくり~」でございます。
【市内道路網の整備】
 まず、市内道路網の整備につきましては、利便性の向上や安全性を確保した道路の有効的な活用のため、市道改良事業、市道維持事業、橋梁の 長寿命化事業により、計画的な整備を行ってまいりました。引き続き、道路整備の有効性、緊急性等を勘案し、優先度が高く、現場条件の整ったものから計画的に整備を進めてまいります。
 また、令和5年度からは新たに策定した市道舗装の個別施設計画に基づき、計画的に舗装補修を行ってまいります。

【自転車歩行者専用道路整備事業】
 自転車歩行者専用道路の整備につきましては、令和4年度までに14.3キロメートルを整備し、このうち約9キロメートルの供用を予定しています。
 令和5年度は、宮崎鼻トンネルの整備工事をはじめ、二級河川に架かる橋梁の整備工事を含む、約13キロメートルの整備を進める予定としております。
【自転車歩行者専用道路の活用推進】
 これにあわせ、市内の飲食店や観光施設等を自転車で周遊するイベントや、サイクル関係者と一緒に走るイベント等を積極的に開催する予定です。
 また、本市を訪れる観光客が自転車で安心して周遊できるよう、レンタサイクルやサイクルマップの充実を図るとともに、市内の2つの県立高等学校と連携し、高校生のアイデアを取り入れた魅力あるサイクルツーリズムを推進することで、市民の自転車利用に対する機運醸成を図ってまいります。

【島原天草長島連絡道路早期事業化に向けた要望】
 令和3年7月に国で策定された「九州地方新広域道路交通計画」において、「島原天草長島連絡道路」が広域道路ネットワーク路線の構想路線として位置付けられました。南島原市の約30キロメートルの区間は、県央へつながる「島原道路」と連続した重要な道路であります。
 島原半島の安定的な通行や輸送確保はもとより、自然災害における避難や緊急医療体制強化などを図るため、早期事業化に向けて、近隣自治体や道路整備促進期成会と連携した、要望活動に取り組んでまいります。

【デマンド型乗り合いタクシー】
 公共交通空白地域における市民の移動手段を確保するため、令和4年9月2日から、加津佐町から北有馬町までの西部4町においてデマンド型乗り合いタクシー「チョイソコみなみしまばら」の実証運行を開始しました。この事業は、登録した自宅付近のゴミステーション等から、路線バス停留所、公共施設及びスポンサー停留所までを移動できる完全予約型のサービスとなっており、会員数も1月末時点で759人と増え続け、チョイソコの愛称で浸透していると感じております。
 令和5年度は、本事業の更なる周知の徹底と、西部4町の実証運行期間中における様々な課題等の検証を行ったうえで、運行内容等の見直しを含め改善を図るとともに、西有家町から深江町までの東部4町において9月から実証運行を開始する予定としております。

【河川の整備】
 南島原市が管理する普通河川及び準用河川については、国の制度である「緊急自然災害防止対策事業」「緊急浚渫推進事業」を活用し、河川の護岸改修、浚渫、除草、樹木伐採を行い、河川断面を確保することにより氾濫を防止し、多目的な機能の向上並びに回復を図ってまいりました。引き続き、事業の対象となる市内全域の河川の調査を実施し、事業計画の策定を行うとともに、有家町榎田川の改修や西有家町清水川、北有馬町西正寺川の浚渫など現場条件の整ったものから、計画的な整備を行ってまいります。

【DXの推進】
 次に、本市におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進につきましては、昨年7月に策定した「南島原市DX推進基本方針」に基づき、行政手続のオンライン化などの取組により、市民の利便性を高め、行政サービスのデジタル化には欠かせないマイナンバーカードの更なる交付率向上に向けた活用促進に取り組んでまいります。
 まずは、「デジタル田園都市国家構想」など、国のデジタル戦略における進捗や動向を踏まえつつ、市民の皆様にとって身近な各支所の窓口において、デジタル技術やマイナンバーカードを活用したサービスを提供し、行政手続の負担を軽減させるとともに、手続の「見える化」による利便性の向上を図ってまいります。
 また、電子申請システムの対象手続の拡大とそのための環境整備に努めるほか、デジタル人材の育成を進めながら、質の高い行政サービスの提供と行政改革の推進を図ってまいります。

8 協働行政 ~健全で持続可能なまちづくり~

基本柱の8点目「協働行政 ~健全で持続可能なまちづくり~」でございます。
【ふるさと応援寄附】
 まず、ふるさと応援寄附につきましては、令和4年12月末までの寄附額が6億3,331万円と、令和3年12月末と比較して、3,817万円増えております。令和5年度は、広告やメールマガジン等によるPR、新規出品者を増やすための相談会の実施、カタログの充実、高額返礼品の新設等により寄附金の増額を目指します。

【公共施設の統廃合】
公共施設の統廃合につきましては、公共施設の適正配置と運営コストの縮減を図るため、利用者数が減少している施設は、統合・廃止を進めていく必要があります。そのため、公共施設等総合管理計画に基づく個別施設計画の前倒し実施を含めて、適切な管理を進めてまいります。

【市役所の組織改編】
 次に、市役所の組織改編でございますが、
 本市を取り巻く社会情勢に対応していくため、令和5年4月1日付けで市役所の組織を一部改編することにいたしております。
 一つ目は、商工振興課と観光振興課で行っている事業を、より一体的に展開するため、両課を統合し商工観光課に改め、本市の商工、観光の振興に取り組んでまいります。
 二つ目に、DX推進のため、令和4年4月1日付けで防災課内に情報政策班を設置し、DX推進基本方針を策定したところですが、令和5年度は、DX推進班と名称を改め、具体的なDX推進事業に更に取り組んでまいります。
 三つ目に、深江衛生センター及び南有馬衛生センターで処理していたし尿を、南有馬衛生センターに集約して処理することに伴い、衛生業務課内にある深江施設班と南有馬施設班を統合し、名称を衛生施設班に改め、衛生業務に取り組んでまいります。

 以上、令和5年度に取り組む主な施策について申し述べたところですが、ここで触れなかった継続事業や施策、新型コロナウイルス感染症対策についても引き続きしっかり取り組み、人口減少社会に対応した、住み続けたくなる、活力あるまちづくりに努める所存でございます。
 

第3 令和5年度当初予算編成方針

 最後に、令和5年度当初予算の編成にあたっての考え方についてご説明申し上げます。
 本市では、これまでの財政健全化への取組の結果、令和3年度決算における経常収支比率は安定しており、財政健全化判断比率も問題ない状況にあります。
 また、国においては、ウィズコロナの下で各種政策の効果もあり、景気が持ち直していくことが期待されているところですが、一方で、原油価格・物価高騰による経済への影響の長期化が懸念されること、さらに本市の財政構造や合併特例債の発行可能残額などを勘案すると、引き続き厳しい財政運営を余儀なくされることが見込まれます。
 今後、人口減少による市税をはじめとする一般財源の減少に対応し、安定的な財政運営をしていくために、歳入歳出全般にわたる不断の見直しなど、行財政改革の歩みを進め、将来に備えた財政基盤の構築に取り組んでいく必要があります。
 一方で、国の指し示す、DX、GX、少子化対策・こども政策の充実等の方針を踏まえながら、少子高齢化と人口減少が著しい本市にとって喫緊の課題である人口減少対策を解決するため、
●地場産業振興や企業誘致、定住・移住対策などによる「元気な産業と定住促進のまちづくり」
●子育て支援や脱炭素施策、健康づくりなどによる「住み続けたくなる環境づくり」
●公共交通対策やDX推進などによる「住みよい地域のための礎づくり」
に関する取組を推進していく必要があることから、これらに資する事業に重点配分を行い、優先的に取り組むこととしました。
 その結果、一般会計の予算総額は、令和4年度当初予算と比べて4.19パーセント増の308億1,166万7千円、国民健康保険事業特別会計など特別会計予算の総額は2.07パーセント減の86億4,087万9千円となりました。
 また、企業会計の総額は0.99パーセント増の28億4,688万9千円となりました。
 なお、詳細につきましては、定例会参考資料に掲載しておりますので、説明を省略させていただきます。

 以上、施政方針について、申し述べさせていただきました。

※PDF形式での施政方針はこちら(上記記載内容と同様)



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