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施政方針(令和6年第1回市議会定例会)

最終更新日:
  • 原城跡空撮


 第1 国内外の情勢

 さて、1月の国の月例経済報告によりますと、「景気は、このところ一部に足踏みもみられるが、緩やかに回復している。先行きについては、雇用・所得環境が改善する下で、各種政策の効果もあって、緩やかな回復が続くことが期待される。ただし、世界的な金融引締めに伴う影響や中国経済の先行き懸念など、海外景気の下振れが我が国の景気を下押しするリスクとなっている。また、物価上昇、中東地域をめぐる情勢、金融資本市場の変動等の影響に十分注意する必要がある。さらに、令和6年能登半島地震の経済に与える影響に十分留意する必要がある。」とされています。
 こうした中、令和5年12月8日に閣議決定された令和6年度予算編成の基本方針において、国では、足元の物価高に対応しつつ、持続的で構造的な賃上げや、デフレからの完全脱却と民需主導の持続的な成長の実現に向け、人への投資、GXやDX、半導体・AI等の分野での国内投資の促進をはじめ、少子化対策・こども政策の抜本強化を含む包摂社会の実現に向けた新しい資本主義の加速や、防災・減災、国土強靱化等の国民の安全・安心の確保といった重要な政策課題について必要な措置を講ずるなど、メリハリの効いた予算編成を行うとされています。
 本市においては、これらを踏まえつつ、少子高齢化と人口減少が著しい本市にとって人口減少対策は喫緊の課題であることから、効率的で持続可能な自治体経営に努めるとともに、地場産業振興や企業誘致などの雇用拡大策と定住・移住対策等の地域の担い手確保などの地域の活力向上をはじめ、子育て支援や脱炭素施策、健康づくりなどの住み続けたくなる環境づくり、公共交通対策やDX推進等の住みよい地域のための礎づくりなどに優先的かつ重点的に取り組まなければならない、と考えているところであります。

第2 令和6年度の事業展開

 それでは、令和6年度における施政方針につきまして、ご説明申し上げます。

1 自然環境 ~人と自然が共生するまちづくり~

 はじめに、基本柱の1点目「自然環境 ~人と自然が共生するまちづくり~」でございます。

【脱炭素施策等の推進】
 まず、脱炭素施策等の推進についてですが、令和3年12月のゼロカーボンシティ宣言に続いて、令和4年度には、2050年に温室効果ガス排出量実質ゼロを実現するための方向性を示した脱炭素全体計画を策定いたしました。
 現在、本市が目指す脱炭素化に向け、市民、事業者が一体となって市内全域で温室効果ガスの排出削減を推進する「地球温暖化対策実行計画(区域施策編)」の策定と、道の駅「ひまわり」を中心にモデル地区を設定し、太陽光や地熱などから発電された再生可能エネルギーを地域内で循環させる地産地消型のエネルギーシステムの構築や、災害時であっても避難所等の拠点施設に蓄電池等を活用してエネルギーを供給する仕組みづくりを目指す「分散型エネルギーインフラプロジェクトマスタープラン」の策定を進めているところです。
 今後、道の駅などにおいて、再生可能エネルギー設備の導入による実証を進め、そこで得たノウハウを市内に展開していきたいと考えております。

【南部リレーセンターの建設】
 令和8年度から市内全域の可燃ごみを県央県南クリーンセンターで処理することに伴い、廃棄物運搬中継施設となる「南部リレーセンター」が南有馬衛生センターの敷地内に建設されます。
 令和6年度には、県央県南広域環境組合により旧焼却棟の解体工事と南部リレーセンターの建設工事に着工される予定であります。
 また、既存の焼却施設は、令和7年度いっぱいの受入れを予定しておりますが、令和6年度から施設の解体計画(地域計画)の策定など、解体に向けた準備を進めることにいたしております。

2 郷土文化 ~郷土の誇りを守り活かすまちづくり~

 続いて、基本柱の2点目「郷土文化 ~郷土の誇りを守り活かすまちづくり~」でございます。

【南島原市原城跡世界遺産センター整備事業】
 世界遺産センターは、原城跡のガイダンスをはじめ、物産販売や観光案内などの地域の活性化に資する機能を持った施設として、国や県のほか関係機関と連携しながら、令和8年度の供用開始に向け、令和6年度は造成・建築・展示工事に着手する予定としております。

【移住定住の促進】
 定住移住の促進につきましては、市外からの移住促進に向けて、本市の魅力を理解いただき「南島原に住みたい」と思っていただけるよう、引き続き情報発信や移住相談に取り組んでまいります。
 また、空き家の活用策としまして、子育て世帯等の移住希望者を後押しするため、市が主体となって住宅改修を実施して移住者に貸す「空き家活用促進事業」に取り組むほか、シェアハウスとしても活用可能な「お試し住宅」の追加整備に取り組むことで、更なる関係人口の拡大を図ってまいります。
 さらに、若者が結婚しやすい環境を整えるため、市民を対象に結婚に伴う家賃に対して支援するとともに、子育て世帯が本市へ転入する際の引越費用についても支援してまいります。

【市外出身高校生への支援】
 本市では、少子化や市外の高校への進学者の増加に伴い、市内の高校へ通う生徒数が年々減少しています。そこで、市外の生徒が市内の高校へ入学しやすい環境を作るため、学生寮などに入居する生徒の保護者に対し、一月当たり3万円を補助する制度を創設することで、市外からの生徒の確保を図ります。


3 産業経済 ~賑わいと活力を興すまちづくり~

 基本柱の3点目「産業経済 ~賑わいと活力を興すまちづくり~」でございます。

【農業の振興】
 はじめに、農業の振興についてですが、
 スマート農業につきましては、いちご、トマトなどの施設園芸作物における環境制御機器の導入支援をはじめ、スマート農業の効果的な実践に向けた勉強会の開催や農作業の効率化、負担軽減を目的とした農業用ドローンによる農薬散布の推進に取り組んでいるところです。
 これらの取組の結果、昨年、スマート農業技術を活用している本市のいちご農家が高単収・高品質を実現され、「ながさき農林業大賞」の最高位である農林水産大臣賞を受賞されました。
 これからの「儲かる農業」を目指す上で、スマート農業への取組は欠かせないものであることから、今後も更なる普及拡大に努めてまいります。
 次に、農業後継者の確保、育成につきましては、令和4年度から独自の取組であります「未来農業フロンティア事業」として、果樹に特化した農業研修事業に取り組んでいるところです。第1期の研修生2名につきましては、現在、就農に向けた準備を進められており、10月には就農予定でございます。
 令和6年度も新規就農者に対する支援や就農相談会への参加、インターネットを活用した情報発信を行い、積極的な農業人材の確保、育成に努めてまいります。
 おいしい南島原ワイン・リキュール特区につきましては、令和5年3月に国の構造改革特別区域法に基づく「果実酒・リキュール特区」として県内初の認定を受け、現在1件の農業者が8月の開業に向けて準備を進めておられます。今後は参入者の拡大に努め、新たな南島原ブランドを創出し、農産物の高付加価値化に取り組んでまいります。
 農業経営収入保険制度は、農業者を取り巻く厳しい経営環境を支える重要な制度であることから、令和6年度から3年間、制度の普及と加入推進を目的とした農業経営収入保険の補助金制度を新たに創設いたします。
 本市の農業振興を図るため、これらの施策を農業者の所得向上はもとより、担い手の減少や農業従事者の高齢化などの課題解決につなげ、安定した農業経営と持続可能な地域農業の実現に努めてまいります。

【育てる漁業の推進】
 水産業につきましては、獲る漁業に加え、育てる漁業を推進しております。市内全域においてワカメやヒジキの養殖が盛んに行われておりますが、令和4年度からはアサリとウニの養殖実証事業にも取り組んでおり、養殖技術の確立を目指しております。
 また、従来から行っている種苗放流やイカ産卵用施設設置への補助についても引き続き取り組み、資源回復に努めてまいります。
 漁港の整備につきましては、令和5年度に引き続き貝崎漁港整備に取り組むとともに、早崎漁港(久木山地区)の浚渫工事を予定しております。

【農業生産基盤の整備】
 農地の基盤整備につきましては、生産効率を高め競争力のある「攻めの農業」に向け、担い手への農地集積の加速化や作物の高付加価値化等を推進するため、農地の区画整理・農業用用排水施設の整備等を行っております。
 取組内容でございますが、令和5年度に加津佐町空池原地区の基盤整備、約76ヘクタールを完了する予定です。
 また、西有家町見岳地区、深江町馬場地区、加津佐町津波見地区につきましては、引き続き事業を実施してまいります。
 有家町の有家中部地区は、令和7年度の事業採択に向けて推進してまいります。

【そうめん産業の振興】
 そうめん産業の振興につきましては、島原手延そうめんの知名度を向上させるため積極的に情報発信を実施しております。これまでの取組により知名度、消費者の評価も上昇してきていると考えております。引き続きメディアPRによる知名度を高めながら、試食イベントやキャンペーンなどを充実させることにより、島原手延そうめんの需要拡大を図ってまいりたいと考えております。
 また、産地を維持していくためには生産量の確保が必要不可欠であることから、製造設備導入や施設の改修、人材の確保などを支援する「生産量拡大支援事業補助金」により、生産力を強化し産地の活性化を図ってまいります。

【地元企業等の振興】
 地元企業等の振興でございますが、
 電子地域通貨MINAコイン事業は、現在、加盟店舗数416店舗、令和5年の決済額10億7千万円と、順調に利用が拡大しており、今後も地域経済の活性化のため、地域になくてはならない事業として一層の推進を図ってまいります。
 雇用の場の拡大に特に効果がある企業誘致につきましては、関係機関とも連携を取りながら企業の情報収集に努めるとともに、企業等設置奨励事業などの優遇・奨励措置を更に拡充、強化し、積極的な推進に努めてまいります。
 また、市民の住生活環境の改善と市内事業者の売上げ拡大を目的に実施しています「住宅・店舗・旅館等リフォーム資金補助金」は、多くの皆様に活用していただいており、今後も市内への経済波及が見込まれることから、令和6年度も対象者の拡充を図りながら、引き続き実施してまいります。
 物産振興につきましては、本市の優れた特産品を「おいしい南島原ブランド」として認定し、商品のPR、販路拡大などの支援を行っているところであります。しかしながら、コロナ禍により、十分な活用支援ができていなかったことから、国の地域活性化起業人制度を活用し、民間企業で培われた専門知識、人脈やノウハウを持った民間人材の活用を視野に入れ、特産品PRやブランド化の推進を図ってまいります。
 このほか、新たに創業する事業者への創業支援をはじめ、設備投資や販路拡大など事業拡充に取り組む事業者に対する支援などにも、引き続き取り組んでまいります。

【堂崎港埋立地】

 かねてより埋立工事が進められていた堂崎港埋立地については、埋立工事が完了し、現在、県において竣功手続が進められています。令和6年度には、新たに生じた土地の確認をはじめ、県における土地の登記や土地鑑定評価などの手続が行われることとなっております。
 これを受け、市の産業振興を図る企業誘致用地としての活用を前提に、令和7年度に長崎県から土地を購入することとしています。

【観光の振興】
 観光の振興につきましては、株式会社日本航空や株式会社JTBから派遣頂いている地域活性化起業人を活用した観光推進体制の充実を進めてまいりました。令和6年度はコロナ禍も落ち着き、インバウンドの需要が高まっている状況に加え、豊かな自然、歴史、食等の多様な体験がインバウンドに人気であることから、農林漁業体験民泊、九州オルレやサイクリング等のアドベンチャーツーリズムを積極的に展開してまいります。

4 健康福祉 ~健康でつながりを大切にするまちづくり~

 次に、基本柱の4点目「健康福祉 ~健康でつながりを大切にするまちづくり~」でございます。

【高齢者福祉の充実】
 まず、高齢者福祉についてですが、
 本市の高齢化率は、令和5年12月末現在で42.04パーセントとなっており、今後、団塊の世代の高年齢化が進むにつれ、75歳以上の後期高齢者の増加が見込まれております。
 このような状況にあって、高齢者の皆さんが、いつまでも安心して住み慣れた地域で暮らしていくことができるよう、現在、第7期の「高齢者福祉計画」の策定を進めております。令和6年度は、策定した計画に基づき、適切な介護保険サービスの提供と合わせ、認知症高齢者などの「見守り支援事業」、独居高齢者の緊急時に備える「緊急通報システム設置事業」、高齢者等の社会参加を促すための「高齢者・障害者交通費助成事業」などを継続して実施するほか、当事者自らが望む医療やケアを、家族や関係する医療・介護従事者において共有し、提供する取組を推進してまいります。

【障がい者福祉の充実】
 障がい者施策については、令和6年度から始まる「第7期障がい福祉計画」と「第3期障がい児福祉計画」に沿って、『障がいのある人もない人も共に生き、共に過ごすことのできる「共生社会」の実現』を目指し、相談体制と福祉サービス提供体制の確保・充実に努めるとともに、障がい者の方々の就労機会を確保するため、令和6年度から、新たに、職場実習に要する交通費の助成と実習奨励金の制度を設けます。

【子育て支援の充実】
 次に、子育て支援でございますが、
 令和5年2月には、「出産・子育て応援給付金」の支給を開始し、4月には、県内で初となる「妊産婦医療費助成制度」を創設、10月には、「小・中学生の医療費助成の現物給付」を開始したほか、公的医療保険が適用となった不妊治療に対しましても「生殖補助医療費助成事業」として助成を継続しており、妊娠期を含めた子育て世代の支援を充実してまいりました。
 令和6年度におきましては、現在、試験導入しております「小児科・産婦人科オンライン相談」を本格導入するとともに、全ての妊産婦、子育て世帯、子どもへの相談・支援を一体的に、切れ目なく行うため、「南島原市こども家庭センター」を南有馬庁舎に設置いたします。
 このほか、令和5年12月に決定された国の「こども未来戦略」において、児童手当の拡充や、就労要件を問わず柔軟に利用できる通園制度の創設、保育士の配置基準の見直しなど、今後3年間の集中取組期間に実施する子ども・子育て施策が示されましたので、本市におきましても、その具体化の状況を注視しながら積極的に取組を進めてまいります。

【予防接種の実施】
 新型コロナウイルスワクチンの接種につきましては、令和6年度から季節性インフルエンザの予防接種と同様の「定期の予防接種」として、65歳以上の高齢者と60歳から64歳までの重症化リスクの高い方を対象に、秋冬に接種を行う方針が示されております。
 本市では、今後、国から示される時期に接種を始められるよう地元医師会と協議しながら、接種体制の整備などの対応を適切に進めてまいります。
 また、帯状疱疹ワクチンにつきましては、公費助成を求める要望などを踏まえ、令和6年度から接種費用の助成を開始することといたしました。
 この助成制度は、帯状疱疹の発症を抑制することを目的に、50歳以上の方を対象として、接種費用の2分の1相当額を助成することで、帯状疱疹ワクチンの接種に要する経済的負担を軽減し、接種の促進を図るものです。

【医療提供体制の確保】
 本市の医療提供体制の確保につきましては、医師の高齢化が進むなど、医療機関の維持が懸念される状況にあって、市民の皆さんが健康で安心して生活していくうえで欠かせない日常の医療サービスをはじめ、住民健診や母子保健、学校保健などを適切に維持していくことは喫緊の課題であることから、令和6年度に「診療所の開設・承継」と「在宅医療」などを促進する本市独自の支援制度を創設することにいたしました。
 具体的な支援内容については、今後、県や地元医師会などのご意見を踏まえながら、早急に検討を進めてまいります。

【救急医療体制の充実】
 救急医療につきましては、県内において救急搬送の困難事例が生じていることから、県と県内全市町が連携し、令和6年度に「救急安心センター」を開設することになりました。
 この「救急安心センター」は、看護師や医師が24時間体制で、電話(#7119)により、救急搬送の必要性や医療情報の相談に応じるもので、救急車や救急病院の適正利用と市民の安心・安全につなげられるよう、周知などに努めてまいります。

【健康づくりの推進】
 次に、市民の皆さんの健康づくりにつきましては、
 令和6年3月までに、新たな「健康増進・食育推進計画(ひまわりプラン4)」を策定することとしており、市民の皆さん一人ひとりが積極的に健康づくりや食育に取り組んでいただけるよう、医療・福祉などの関係機関・団体と連携した取組を推進してまいります。
 特に、「特定健康診査」、「がん検診」の受診率を高めるため、SNSや関係団体の集会を活用した受診勧奨や、AIを活用した未受診者の状況分析により効率的・効果的な個別勧奨を行うなど、受診率向上の取組を強化してまいります。
 また、国民健康保険や後期高齢者医療保険などの「健康保険証」につきましては、国において、令和6年12月2日から、マイナンバーカードと一体となった「マイナ保険証」に移行することが決定されたところでありますので、市としましては、引き続き、広報紙やホームページ、ダイレクトメールなどを通じて「マイナ保険証」のメリットをお知らせし、利用登録の促進を図ってまいります。


5 人づくり ~次代を育む人づくり~

  基本柱の5点目「人づくり ~次代を育む人づくり~」でございます。

【学習環境の整備】
 学習環境の整備につきましては、学校施設の老朽化などの問題に対応しながら、将来にわたって子ども達がより良い環境で学校教育を受けることができるよう、防犯カメラの設置、照明のLED化、トイレの改修、校舎外壁改修及び校舎内部建具改修などに取り組んでまいります。
 また、今後の児童生徒数の減少を踏まえ、学校施設の適正規模・適正配置につきましては、検討委員会を設置して、小中学校のあり方の検討を進めてまいります。

【学校教育におけるデジタル技術の積極的活用】
 次に、学校教育におけるデジタル技術の活用につきましては、児童生徒に貸与している1人1台端末を活用したデジタルならではの学びを実現していくために、国や地方自治体が作成した問題を無償で利用できる、オンライン学習システムMEXCBT(メクビット)の更なる活用を進めてまいります。
 加えて、端末を活用した不登校児童生徒等への支援を充実するとともに、端末の効果的な活用を通して学習指導要領に示されている主体的・対話的で深い学びを実現することで、児童生徒の学力向上を図ってまいります。

【学校給食費の支援】
 昨今の食材費や燃料費の高騰に伴い、現在の学校給食費では質や量を維持した学校給食の提供が困難になることから、令和6年度から給食費の値上げを予定しております。
 しかしながら、全額負担とならないよう、値上げ分の給食費の半額を支援し、物価高騰の影響を受けている子育て世代の負担軽減を図ってまいります。

【先進的海洋センター整備事業】
 先進的海洋センター整備事業とは、B&G財団が全国のB&G海洋センターを対象に公募を行い実施するもので、海離れや環境問題など様々な社会問題を分析・検証し、併せてそれらに関する人材を育成できる、全国の海洋センターの先駆けとなるような海洋センターを整備しようとする事業です。
 本事業が採択されれば、全国唯一の海洋センターとして様々な形で地域活性化につながるものと考えております。
 現在の状況は、10月の一次審査を通過し、12月に行われた二次審査(現地調査・プレゼン・ヒアリング)を受けて、現在その審査結果待ちでございます。
 今後、最終的に採択された場合は、令和6年度にB&G財団と協議を開始し、艇庫等既存施設の解体を行うとともに、並行して基本・実施設計を行い、令和7年度からソフト・ハード事業を順次進めていき、令和9年度の供用開始を目指します。


6 安全安心 ~安全安心に暮らせるまちづくり~

 基本柱の6点目「安全安心 ~安全安心に暮らせるまちづくり~」でございます。

【防災行政無線の更新】
 はじめに、防災行政無線機能拡充等整備工事についてですが、既設設備の老朽化と放送設備の部品供給期間を終えることから、設備全体の更新工事を行っております。工事の進捗状況については、西有家庁舎の無線機器や南有馬町上原に設置している無線中継局の設備工事が完了しているところです。
 現在、屋外拡声子局の設備工事を進めているところであり、これにより、放送エリアを拡大できるとともに局数を減らすことができることから、情報伝達の向上と施設の管理運用面における効率化、合理化の実現のため、令和7年3月の完成を目指して整備を進めてまいります。

【消防団員の準中型免許取得費用助成】
 消防ポンプ自動車の主流である3.5トン以上の車両を運転するためには、現行の免許制度では準中型免許以上の免許が必要でありますが、運転の条件を満たしていない若手消防団員が増加しており、今後、消防ポンプ自動車の運転ができない団員の増加が見込まれています。
 そこで、消防車両の運転者を確保し、団員の活動幅を広げることを目的として、消防車両の運転資格を満たしていない団員に対し、準中型免許取得等にかかる費用の一部を助成する制度を創設いたします。

【災害に強いまちづくり】
 災害に強いまちづくりとしまして、災害発生時などに一人で避難することが困難な高齢者や障がい者などの「避難行動要支援者」について、より円滑な避難支援につながるよう、令和5年度から「個別避難計画」の策定を始めており、令和6年度中に、ハザードマップ上の危険区域にお住まいの「要支援者」約250名の「個別避難計画」の作成を完了するよう進めてまいります。

【浸水対策等の危険箇所対策の推進】
 浸水対策等の危険箇所対策の推進についてですが、
 南有馬町北岡地区の浸水対策事業につきましては、令和4年度から排水路整備工事に着手し、令和5年度に完了いたしました。この整備により、農地の冠水や住宅浸水被害の軽減が図られることを期待しているところです。
 また、深江町馬場地区の浸水対策事業につきましては、令和4年度から旧島鉄跡地を活用した排水路整備工事を進めており、住宅浸水被害の軽減のため、早期完成を目指してまいります。
 地すべり対策につきましては、南有馬町矢竹地区、加津佐町山口地区の対策工事に加え、市内の耕地地すべり指定区域、14区域内における老朽化が進行した施設について、長寿命化計画に基づき、県が事業主体として対策工事へ向けた詳細設計を実施することとしております。
 また、ため池整備事業につきましては、令和6年度に口之津町新堤のほか、県が定めた、ため池整備計画に基づき改修工事を実施するなど、危険箇所対策の推進に取り組んでまいります。


7 基盤整備 ~世代を問わず暮らしやすいまちづくり~

 基本柱の7点目「基盤整備 ~世代を問わず暮らしやすいまちづくり~」でございます。

【市内道路網の整備】
 まず、市内道路網の整備につきましては、利便性の向上や安全性を確保した道路の有効的な活用のため、市道改良事業、市道維持事業、橋梁の長寿命化事業、市道舗装の長寿命化事業により、計画的な整備を行ってまいりました。引き続き、道路整備の有効性、緊急性等を勘案し、優先度が高く、現場条件の整ったものから計画的に整備を進めてまいります。

【自転車歩行者専用道路の整備と活用】
 自転車歩行者専用道路の整備につきましては、令和5年度までに27.7キロメートルを着手し、このうち約17キロメートルの供用を予定しています。
 令和6年度は、二級河川有馬川ほか10河川の橋梁上部工と接続する道路本体の4.4キロメートルの整備工事を進め、全線の完成を目指してまいります。
 市民の自転車利用に対する機運醸成を図るため、令和5年度に引き続き、市内のサイクル団体との共催により、市内の飲食店や観光施設等を自転車で周遊するイベントや本市の地形を活かしたヒルクライム等のサイクルイベントの開催を計画しているところです。
 また、企業版ふるさと納税制度によりイオン九州株式会社から電動アシストサイクル21台の寄附を頂いております。本市を訪れる観光客が手軽に自転車で市内を周遊できるよう、寄附を頂いた電動アシストサイクルを活用するとともに、レンタサイクルの設置場所の増設や更なる設置台数の増車等に取り組んでまいります。

【島原天草長島連絡道路早期事業化に向けた要望】
 令和3年7月に国で策定された「九州地方新広域道路交通計画」において、南島原市が起点となる「島原天草長島連絡道路」が広域道路ネットワーク路線の構想路線として位置付けられました。この路線のうち南島原市の約30キロメートルの区間は、県央地域につながる「島原道路」と連続した、島原半島を縦断する重要な道路であります。
 また、同じく構想路線であります「島原半島西回り道路」につきましても、本市南西部から雲仙市につながる重要な道路であることから、島原半島の安定的な通行や輸送確保はもとより、自然災害における避難や緊急医療体制強化などを図るため、早期事業化に向けて、令和5年度に市議会に設置されました「島原半島南部地域高規格道路建設促進特別委員会」とともに、島原半島近隣自治体や道路整備促進期成会と連携した要望活動に取り組んでまいります。

【デマンド型乗り合いタクシー】
 公共交通空白地域における、市民の移動手段を確保するために、西部地区に加え、令和5年9月1日から東部地区において、デマンド型乗り合いタクシー「チョイソコみなみしまばら」の実証運行を開始いたしました。
 今後、西部及び東部地区の実証運行期間中における様々な課題等の検証を行った上で、運行内容の見直しを含め改善を図りながら、令和6年10月から市内全域において本格運行に移行します。

【河川の整備】
 本市が管理する普通河川及び準用河川については、国の制度である「緊急自然災害防止対策事業」「緊急浚渫推進事業」を活用した河川の護岸改修、浚渫、除草、樹木伐採により氾濫を防止し、多目的な機能の向上並びに回復を図ってまいりました。
 引き続き、事業の対象となる市内全域の河川の調査を実施し、事業計画の策定を行うとともに、有家町の榎田川、高野川の改修や西有家町の龍石川、丸尾川の浚渫など、現場条件が整ったものから計画的に整備を行ってまいります。

【空き家対策の強化】
 本市における空き家の総数は、現在約1,800件となっており、危険な空き家の増加に伴い防犯・防災、衛生、景観等の地域住民の生活環境に深刻な影響を及ぼすおそれがあります。
 そこで、老朽化した危険な空き家所有者の自主的な除却を促進し、安全・安心で良好な住環境を確保するため、危険家屋の除却に要する経費に係る支援を、1件当たり50万円から80万円へ増額し、地域住民の生命、身体、財産の保護、生活環境の保全に取り組んでまいります。

【DXの推進】
 本市におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)の推進につきましては、令和4年度に策定した「南島原市DX推進基本方針」に基づき、令和5年度は自治会運営におけるタブレットを活用した電子回覧板システムや妊娠期・子育て期におけるオンラインでの医療相談システムといった実証をはじめ、各支所窓口における申請書作成支援サービスやキャッシュレス決済サービスといった新機能の導入など、市民の利便性の向上や行政手続の効率化に取り組んできました。
 令和6年度は、公共施設予約のオンライン化や施設予約システムと連動して、施設利用の際に鍵の受渡しが不要となるスマートロックシステムの導入に取り組むとともに、防災や観光など、市が保有する様々なインフラ情報を一元管理し、オンライン上で閲覧が可能となる公開型地理情報システム(公開型GIS)の導入、市の公式LINEに道路の不具合を通報する機能や、し尿処理の予約機能といった新たな機能を追加するなど、更なる利便性と市民サービスの向上を図ってまいります。


8 協働行政 ~健全で持続可能なまちづくり~

 基本柱の8点目「協働行政 ~健全で持続可能なまちづくり~」でございます。

【ふるさと応援寄附】
 ふるさと応援寄附につきましては、制度開始以来はじめて寄附額が10億円を突破し、令和6年2月14日までの寄附額は約10億2千万円となりました。
 令和6年度は、これまでの取組に加え、事業者訪問による連携強化や、新たなふるさと応援寄附ポータルサイトの検討、出品方法の改善などに取り組むことで、寄附目標額15億円を目指してまいります。

【行財政改革の更なる推進】
 次に、行財政改革について、でございますが、
 歳入の大半を依存財源に頼り、歳出の大半を義務的経費が占める財政構造にある中、多くの公共施設を保有していることから、経常的な管理経費が財政運営を圧迫している状況にあります。
 さらに、人口減少や少子高齢化が進む本市において、税収等の増加を見込むことが難しいことから、今後厳しい財政運営が予想されています。
 このため、DXによる業務効率化や定員適正化計画の前倒しによる人件費抑制といった行政経費の圧縮をはじめ、公共施設等総合管理計画に基づく公共施設の統廃合、合併以降増加してきた市単独の各種補助金の見直しなどについて、これらを先送りすることなく、令和6年度中に方向性を示すことができるよう、調整や検討を進めることとしています。
 これら行財政改革によって確保した財源により、市の課題解決や市の活性化に資する施策に取り組みたいと考えております。

 

第3 令和6年度当初予算編成方針

 最後に、令和6年度当初予算の編成にあたっての考え方についてご説明申し上げます。
 本市では、これまでの財政健全化への取組の結果、令和4年度決算における経常収支比率は安定しており、財政健全化判断比率も問題ない状況にあります。
 しかしながら、近年のエネルギー価格・物価高騰などの影響が継続・拡大する可能性が高いこと、地域経済・景気の減退に伴う市税等の減が見込まれること、さらに本市の財政構造や合併特例債の発行可能残額、近年の大型事業の影響による公債費や公共施設の維持管理経費が増加傾向にあることなどを勘案すると、これまで以上に厳しい財政運営を余儀なくされることが見込まれます。
 このことから、令和5年8月に策定した「南島原市中期財政見通し」に基づく行財政改革の歩みを進め、安定的かつ健全な財政基盤を確立し、堅持していくことが重要です。
 一方で、国の指し示す、DX、少子化対策・こども政策の充実等の方針を踏まえながら、少子高齢化と人口減少が著しい本市にとって喫緊の課題である人口減少対策を推し進めるため、
 ○地場産業振興や観光振興、定住・移住対策などによる「元気な産業と定住促進のまちづくり」
 ○子育て支援や健康づくり、脱炭素施策などによる「住み続けたくなる環境づくり」
 ○公共交通対策やDX推進などによる「便利な地域のための礎づくり」
 に関する取組を推進していく必要があることから、これらに資する事業に重点配分を行い、優先的に取り組むこととしました。
その結果、一般会計の予算総額は、令和5年度当初予算と比べて6.24パーセント増の327億3,406万5千円、国民健康保険事業特別会計など特別会計予算の総額は0.10パーセント減の86億3,248万4千円となりました。
 また、企業会計の総額は3.16パーセント増の29億3,683万8千円となりました。
 なお、詳細につきましては、定例会参考資料に掲載しておりますので、説明を省略させていただきます。

 以上、施政方針について、申し述べさせていただきました。


※PDF形式での施政方針はこちら(上記記載内容と同様)



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