第40回国民文化祭、第25回全国障害者芸術・文化祭(ながさきピース文化祭2025)
刻まれた記録 刷られた記憶 -それは一枚の銅版画から始まった- 【アートビレッジ・シラキノ】
この度、南島原市アートビレッジ・シラキノでは「ながさきピース文化祭2025」関連企画として、南島原市で約430年にわたって、分断と再生を繰り返し、継承されてきた版画文化の現在を紹介する展覧会「刻まれた記録 刷られた記憶 -それは一枚の銅版画から始まった-」を開催いたします。
南島原市は日本人の手による最初の銅版画の1枚「セビリアの聖母」が制作された土地です。
約430年前、現在の南島原市にキリスト教イエズス会によって日本初の西洋式活版印刷所が開設され、グーテンベルク式印刷技術とともに銅版画が伝えられました。しかし、宗教弾圧により銅版画は短期間で消滅しました。1997年、銅版画家・渡辺千尋が南島原市にて「セビリアの聖母」を再現し、ローマ教皇に献上。この活動は地域の版画文化復興の契機となり、後に「セミナリヨ現代版画展」や「南島原市アートビレッジ・シラキノ」として継承され、30年以上にわたり文化が発展しています。
本展では430年前の「セビリアの聖母」の誕生と渡辺による再生を起点に
【第1章 それは一枚の銅版画から始まった】
【第2章 記録は刻まれ土地の記憶となった】
【第3章 記憶は刷られ文化となった】
【第4章 そして文化は土地に再び刻まれる】という4章立ての物語として再構築することを試みます。
430年前から世代を跨ぎ多様な文化的背景もった版画家達によって継承されてきた、この地に「刻まれた版画の記録」と、それを再生し継承し守り続けてきた「刷られた版画の記憶」、そしてそこから生まれる「未来の版画の記録」の兆しをぜひご高覧ください。
開催会場:南島原市アートビレッジ・シラキノ
入館料:無料
休館日:毎週月曜日
リーフレット:
イベントリーフレット(PDF:3.43メガバイト) 
【第1章 それは一枚の銅版画から始まった】
「セビリアの聖母」を制作したのは神学校セミナリヨに設立された「画学舎」と呼ばれる日本最古の西洋式美術教育機関に学ぶ名前もなき生徒だったと推測されています。本章ではその最初の銅版画家を「An unknown printmaker」と名付け、時を超えて彼に同化するようにして実現した渡辺千尋による「セビリアの聖母」の再生のプロセスを、レプリカと渡辺の手による再現、本市に保存された貴重な原版と写真資料、そして愛用の道具を通じて振り返ります。さらに【430年前の銅版画=印刷物】【印刷物=記録の伝達装置】という視点から自身も版画家でありデザイナーでもある小﨑慎介による南島原市の版画文化の歴史と継承をテーマにした樹形図を、印刷物として提示し、「セビリアの聖母」と400年後渡辺の再生が南島原市の版画文化に果たした【起点】としての役割を視覚化します。
【第2章 記録は刻まれ土地の記憶となった】
「セビリアの聖母」の再生後南島原市の版画文化の発展に尽力していた渡辺は2009年64歳という若さで志半ばで亡くなります。その渡辺の意志を引き継いだのは生前渡辺から南島原市の版画文化の発展を託された銅版画家の中林忠良、中林の盟友で版画家の野田哲也、そして中林と野田の教え子で南島原市アートビレッジ・シラキノを立ち上げ現在もその運営に携わっている銅版画家池田俊彦です。
第2章では渡辺と彼らの3人の作品を通して南島原市の版画文化の継承と発展の歴史を提示します。
Event 版画にまつわる二つの対話
9月14日(日曜日) 13時00分→14時00分 ◇セビリアの聖母と渡辺千尋/語り:渡辺紀子【渡辺千尋夫人】/司会:池田俊彦
9月14日(日曜日) 14時30分→15時30分 ◇中林忠良×野田哲也 [対談]/司会:池田俊彦
★申込み:不要
★入場料:無料
【第3章 記憶は刷られ文化となった】
南島原市はかつて日本でも有数の国際都市でした。この土地の版画の歴史の始まりはこの国際的な地政によって育まれたといえます。第3章ではイギリス人版画家ドロレス デ サド、現在日本で最も注目を集めている銅版画家の一人 杢谷圭章、そして島原半島出身で現在も同地を拠点に版画技法も応用した染色技術で創作活動を展開している山本遥、この3人の作家が会期中に滞在制作を実施、グローバルな視点、日本からの視点、そして地元からのローカルな視点から見た南島原市の版画文化をリサーチし先人達が「記録」してきた版画文化を現在進行形の「記憶」として再構成します。
Event ワークショップ
9月23日(火曜日・祝日) 13時00分→18時30分 ◇ドロレス デ サド
★申 込:要申込(南島原市教育委員会(0957-73-6703)へ直接お申込みください。)
★定 員:10組
★参加費:無料
Event アーティストトーク
9月28日(日曜日) 13時00分→14時00分 ◇ドロレス ド サド / 山本遥
★内 容:第3章のテーマの内容にてリサーチを行い、1か月間の滞在制作の中で制作した作品のトークイベントを開催いたします。
★申 込:不要
★入場料:無料
【第4章 そして文化は土地に再び刻まれる】
南島原市アートビレッジ・シラキノでは2018年より版画技術を活用した芸術家を対象にアーティスト・イン・レジデンス事業を実施し、これまでに30名以上のアーティストを招聘してきました。その間、リサーチや展覧会、ワークショップを通じて地域社会と様々な交流が育まれ、70点近い寄贈作品が市の知的財産として蓄積され広く市民へと公開されています。当事業は現在、渡辺の立ち上げた「セミナリヨ現代版画展」と並び南島原市における版画文化の中核をなしていると言えるでしょう。
第4章では公募によって選ばれた若手作家、田口薫、WENG JHELING(ウェン ジェンリン)を展覧会会期中に招聘し滞在制作を実施し、その成果展を本展の最終章として提示します。「An unknown printmaker」と渡辺千尋から始まり長い年月をかけ様々な版画家と市民によって紡がれてきた版画文化を、南島原市の未来へと繋がる新しい「萌(きざし)」として刻む試みです。
Event ワークショップ(1):田口 薫
11月9日(日曜日) 14時00分→18時00分
★申 込:要申込(南島原市教育委員会(0957-73-6703)へ直接お申込みください。)
★定 員:5組程度
★参加費:無料
Event ワークショップ(2):ウェン ジェンリン
11月29日(土曜日) 14時00分→18時00分
★申 込:要申込(南島原市教育委員会(0957-73-6703)へ直接お申込みください。)
★定 員:5組程度
★参加費:無料
※ワークショップの内容については、詳細が判明次第、情報を更新いたします。
Event アーティストトーク
11月23日(日曜日) 14時00分→15時00分 ◇田口 薫 / ウェン ジェンリン
★内 容:第4章のテーマの内容にてリサーチを行い、2か月間の滞在制作の中で制作した作品のトークイベントを開催いたします。
★申 込:不要
★入場料:無料
◇主催◇
文化庁、厚生労働省、長崎県、第40回国民文化祭、第25回全国障害者芸術・文化祭長崎県実行委員会
第40回国民文化祭、第25回全国障害者芸術・文化祭南島原市実行委員会
◇共催◇
南島原市アートビレッジ・シラキノ、南島原市教育委員会生涯学習課