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施政方針(令和2年第1回市議会定例会)

最終更新日:

西有家庁舎

 

 

第1 国内外の情勢

 本年は東京2020オリンピック、パラリンピックが開催されます。本市は、長崎県における聖火リレーの出発地になり、3月26日に福島県を出発した聖火が、5月8日に南島原市役所から有家総合運動公園までの区間を通過します。出発式にはイベントを企画しておりますので、市民の皆さまに多数ご参加いただければと思います。

さて、最新の国の月例経済報告によりますと、現在、国内の景気の状況は緩やかな回復が続くことが期待される状況にありますが、通商問題をめぐる動向、中国経済の先行き、英国のEU離脱、中東地域を巡る情勢等の海外経済の動向にくわえ、消費税率引上げ後の国内の消費動向に留意する必要があるとされています。

こうした中、我が国では、少子高齢化や人口の東京圏一極集中に歯止めがかかっておらず、首都圏と地方との経済的格差はますます広がりを見せている状況にあります。その是正を図るため、昨年 12月に策定された国の総合戦略では、都市部からの将来的な地方移住にもつながる「関係人口」の創出・拡大や、あらゆる分野に人工知能や情報化技術を導入して社会全体の生産性の向上を図る Sоciety5.0の推進、誰もが活躍できる地域社会の実現が進められています。

我々、地方自治体においては、これらを踏まえつつ、地域の特性を活かした持続可能な自治体経営を進めるとともに、人口減少社会に対応した住み続けたいまちづくりを、着実に進めなければならないと考えているところであります。

 

第2 令和2年度の事業展開

それでは、令和2年度における施政方針につきまして、「第(2)期南島原市総合計画」に掲げる5つのまちづくりの指針に沿って、 ご説明申し上げます。

 

1 安全で地球環境にやさしいまち

 

まず、指針の1点目「安全で地球環境にやさしいまち」でございます。

【島鉄跡地の自転車歩行者専用道路整備】

島鉄跡地については、通勤、通学、買物など市民の暮らしを支え、健康増進にも役立つ自転車歩行者専用道路として整備するとともに、周辺への波及効果を高めるため、国や県、警察、民間団体などの関係機関と協議を重ねながら、令和元年11月末に「南島原市自転車活用推進計画」を策定したところであります。

今後は、計画に基づき、整備に必要な実施設計に着手するとともに、日本風景街道九州ルートに登録された「島原半島うみやま街道」と連携しながら、早期整備に取り組んでまいります。

 

【島鉄跡地を活用した排水路整備】

次に、島鉄跡地を活用した排水路整備についてですが、近年の異常気象による集中豪雨などの頻発は、農地の冠水や住宅浸水などの被害を招き、その対策としての排水路整備は、喫緊の課題となっております。

これまで、深江町の馬場地区、南有馬町の北岡地区の2か所で調査設計等に取り組み、整備構想を策定、関係機関と協議を行ってきたところです。

その中で排水先の河川管理者である県との協議に時間を要しておりますが、今後は、他の方策も検討しながら、排水対策の早期の事業化に向けて取り組んでまいります。

 

【災害対応の強化】

次に、近年全国で多発する災害に対応するため、西有家庁舎3階に災害対策室を整備し、災害情報システムを導入します。

 これにより、気象情報等の災害対策室モニターへの集約表示や 被災場所からの映像などの情報収集と災害発生状況について各部局や支所間のテレビ

会議による情報共有を図り、災害対応の強化に努めてまいります。

 

【国土強靭化地域計画の策定】

国土強靭化基本法の制定に伴い、南島原市が抱える災害リスクを踏まえ、人命の保護を最大限に図るとともに、災害時においても社会、経済機能が維持されることを目的とした、国土強靭化地域計画を策定します。今後はこの計画に基づく道路改良による施設の長寿命化や、河川整備による浸水被害の軽減など、安全・安心で災害に強いまちづくりを進めてまいります。

 

 

2 確固とした基盤のうえに活力ある産業を育むまち

 

続いて、指針の2点目「確固とした基盤のうえに活力ある産業を育むまち」でございます。

 

【地元企業の振興】

はじめに、地元企業の振興でございますが、これまで実施してきました新規創業者に対する支援や、事業規模拡大に伴う設備投資に対する支援に加え、令和元年度からは、地域産業雇用創出チャレンジ支援事業を創設し、中小企業及び小規模事業者に対する負担軽減などの必要な対策により、地域経済の活性化に取り組んできました。

また、住宅・店舗・旅館等リフォーム資金補助事業につきましては、市民の生活環境の向上と、地域経済の活性化を図るため、平成22年度の制度創設以降継続して取り組んでおり、令和元年12月末現在で2,271件、補助金で約3億8千万円、事業費ベースで約53億円の経済効果を生み出しております。

これらの事業に継続して取り組みつつ、令和2年度には、社会情勢の変化にも対応し、賑わいと活力に満ちたまちづくりを目指すとともに、事業者を切れ目なく支援するため、商工振興計画を策定します。今後この計画に基づく施策を実施していくことで、地域経済の更なる発展を図ってまいります。


【そうめん産業の振興】

次に、そうめん産業の振興でございますが、市の基幹産業であります、島原手延そうめんの認知度を高め、価格上昇を図ることを目的として、令和元年度から首都圏へのテレビCM放映等を実施いたしました。それらの効果もあり、生産者1件当たりの売上額については、前年比で約65万円が増えている状況であります。さらに、そうめんPR動画については、SNS等で  50万件を超える再生回数となっており、知名度向上にも影響力を発揮しております。このように、確実に効果は出てきていると思われますので、引き続き令和2年度は九州圏域にも拡大し、更なる消費拡大と販路拡大を図ります。

また、そうめん産業を真に足腰の強い産業とするため、島原手延そうめんの認証制度を確立し、品質向上を図るとともに、ハサップの導入を支援することによって生産性向上と衛生面の強化を図ってまいります。併せて、アジア圏を中心とした海外販路の拡大や担い手対策にも積極的に取り組んでまいります。

 

【地域おこし協力隊の導入】

次に、地域おこし協力隊制度の活用でございますが、

物産及びそうめん産業の活性化を目的として2人の地域おこし協力隊「そうめん認証制度推進員」と「地域産品活用推進員」を雇用します。

地域おこし協力隊の導入により、物産・そうめん双方の生産者と密接な関係を構築しながら、現場の意見聴取や課題把握等に努め、新たな販路開拓や生産者全体の所得向上を図り、物産及びそうめん産業の更なる活性化を目指してまいります。

 

【圃場整備の推進】

農業生産性の向上に不可欠な土地改良事業、特に圃場整備につきましては、これからも積極的に推進してまいります。

まず、現在、県営圃場整備事業として実施中の深江町諏訪地区、西有家町見岳地区、加津佐町空池原地区、そして昨年、事業採択を受けた深江町馬場地区の計4地区の早期完成に向けて、県と一体となって取り組んでまいります。

また、今年の3月末までには、加津佐町津波見地区が事業採択の見込みとなっておりますので、市としても土地改良区の設立などに対して支援を行ってまいります。

事業推進地区の有家町中部地区につきましては、県及び地元と連携を図りながら早期の事業採択を目指します。

併せて、圃場整備事業の推進に伴う土地改良区設立事務や運営の困難さを解消しつつ、既存土地改良区の安定した運営のため、一市一改良区体制の実現に向けた取組を進めてまいります。

 

【農業後継者の育成】

次に、農業後継者の育成につきましては、農業就業者の減少と高齢化が進む中、新たな農業担い手を確保することを目的に、本市に移住して県が行う技術習得支援事業の農業研修を受ける新規就農予定者に、家賃補助を行う農業研修支援事業を創設いたします。

また、新たに就農を目指す方へ、就農時の機械や資材、農地などの購入や借用等に係る初期経費を軽減する新規就農者就農支援事業を創設して、農業担い手の確保に努めてまいります。

 

【農業施設等の整備】

次に、農業生産性の向上と流通の合理化を図るため、農業施設等の整備を推進してまいります。令和2年度は、イチゴ・トルコキキョウ・トマト・スイカ・メロン・アスパラガスの園芸ハウスの整備を14棟、バレイショ・たまねぎの堆肥舎1棟、イチゴ・アスパラガス・露地みかんの各種園芸設備・資材導入8件、野菜大型冷蔵設備1件、牛舎と堆肥舎を併せた1棟が計画されており、事業に取り組む農業団体等に対し、積極的に支援を行ってまいります。

 

【スマート農業の推進】

スマート農業につきましては、農家の関心も高いことを受けて、農業者のスマート農業機器導入に対して積極的な支援を行ってまいります。

また、令和2年度からは、市が実施主体となり、長崎県島原振興局・JA島原雲仙及び生産者と連携して、3か年をかけた施設園芸のスマート農業生産性向上プロジェクトを実施します。市の代表的な作物であるイチゴ・トマトを対象に、生産施設のデータを取得・分析のうえ、環境制御の先端技術を取り入れ、栽培技術と生産性の向上に取り組んでまいります。

 

【6次産業化の推進】

自らの農産物を使って加工・販売を行うことで所得向上を図る6次産業化につきましては、これまでイチゴや銀杏の栽培農家による取組を支援しており、今後も補助事業を活用し、積極的に推進します。加えて、他産業との連携による経営の多角化が期待できる「農商工連携」について、農業者と商業者・加工業者のマッチングも進めてまいります。特に、昨年初めて開催した農業者・商工業者交流会は、参加者から好評で、販路拡大につながった事例も出ております。今後も引き続き交流会などを開催し、市内農産物の6次産業化や販路拡大へと展開できるよう支援してまいります。

 

【オリーブの推進】

オリーブの普及につきましては、平成28年度から農家への苗木補助を行ってまいりましたが、病害虫防除などの栽培管理の技術不足や加工施設が少ない、販売先が不安定等の課題が生じております。今後は、栽培指導体制の強化を図りながら、加工施設等の整備やブランド化による販売先の開拓に対しても支援を行ってまいります。

 

【新規作物の導入】

今後、農業者の所得向上が期待できる新規作物の導入につきましても積極的に取り組んでまいります。令和2年度は、温暖な南島原市の地の利を生かした作物である国産バナナの栽培に取り組んでまいります。

 

【水産業の振興】

水産業の振興でございますが、布津漁港の整備が令和元年度をもって完了することを受けて、令和2年度は、かねてより要望があっておりました貝崎漁港について、国の「農山漁村地域整備交付金」での事業採択に向けて取り組んでまいります。

また、更新計画の協議を行っておりました深江町漁協の冷凍・冷蔵庫及び西有家町漁協の製氷機の整備につきましては、県の補助事業を活用し、支援を行ってまいります。

漁業後継者の確保につきましては、昨年、2人の新規就業者があり、令和2年度についても新たに1人が就業予定となっております。今後も県、市、漁協で組織する「漁業担い手確保推進協議会」を中心として、新規就業者の支援と確保に努めてまいります。

水産業の振興には、獲る漁業と育てる漁業の両立が重要でありますので、ワカメ、ヒジキなどの藻類の安定的な生産、出荷等に対する支援と併せて、新たな養殖漁業の展開に向けた検討・研究を地元漁協等と協力しながら進めてまいります。

 

【市道の整備】

市道改良につきましては、市内の各地域から多くの要望をいただいており、市民生活の利便性の向上と安全の確保を目指した事業を進めてまいります。令和2年度には、有家町の幹線道路となる、ありえコレジヨホールから県道雲仙有家線へ通じる市道黒田八反間線を含めた路線整備に引き続き取り組み、11路線の完了を予定しております。

一方、本市の懸案事項であります、国道251号の有家から西有家区間の渋滞緩和の対策としまして、市道平野横線、白崎東線の詳細測量設計を令和元年度から着手しております。道路事情の向上と周辺地域の活性化を目指し、地域や関係者の皆さまとよりよい道づくりを進めてまいります。

また、市道の維持管理につきましては、市道の早期修繕対応を可能にするため、令和元年度から各支所における小規模修繕予算を配分しております。令和2年度におきましても、引き続き迅速な対応を行うとともに、自治会からの要望箇所の早期解消に向け、地元関係者と一緒に取り組んでまいります。

 

【地域高規格道路整備の要望】

広域道路ネットワークの整備促進は、南島原市の活性化及び県境を越えた新たな経済文化圏の構築を図るうえで大変重要であり、 現在整備中の地域高規格道路「島原道路」の早期全線供用開始の要望を活発に行うとともに、深江町から口ノ津港に至る地域高規格道路の早期事業化と「国土強靭化」や「生産性向上」を図るための重要物流道路指定に向け、引き続き関係機関へ強く要望してまいります。

 

【国道・県道整備】

現在整備中の布津、深江地区の国道251号歩道整備につきましては、引き続き事業者の県と協力して進めてまいります。そのほか、渋滞緩和や走行性、安全性の向上を図るための交差点改良などにつきましても、県と協力して解消に努めてまいります。また、利用者が多いバス停の待合所につきましても、随時整備を行ってまいります。

【口之津港ターミナル整備】

現在整備中の口之津港ターミナルビルにつきましては、今年3月9日から新しい口之津支所で業務を開始します。また、3月20日には口之津港ターミナルビル落成式を執り行います。1階にはフェリー、バスの待合所や売店、お食事処、2階には口之津歴史民俗資料館がオープンします。

また、令和2年度には、イルカウォッチングへ乗船する桟橋の整備や臨時的に停泊可能な桟橋の整備が行われる予定です。

 

【堂崎港埋立地】

堂崎港埋立地については、令和元年12月末現在、埋立ての進捗率は約95パーセントで、埋め立て完了までには、約7万立方メートルの土砂搬入が必要となります。今後、具体的な利用方針の整理を進めるとともに、一部竣功や周辺環境の整備について、長崎県と協議してまいります。

 

 

3 歴史・文化を大切に活用した賑わいのあるまち

 

続いて、指針の3点目「歴史・文化を大切に活用した賑わいのあるまち」でございます。

 

【世界遺産を活用したまちづくり】

世界遺産を活用したまちづくりとして、地域の活性化に波及するよう、南島原市世界遺産市民協働会議を中心にして、市民参加型の演劇などの官民協働の取組を更に推進するとともに、世界遺産の周知啓発と活用につながる取組を積極的に実施してまいります。

また、「原城跡」への来訪者の対応につきましては、令和2年度中に策定予定の「原城跡保存活用計画」に、史跡の保存管理と合わせて、活用に関する方針を定め、適切な受け入れ体制を整えてまいります。

 

【定住・移住施策の推進】

定住・移住施策の推進につきましては、平成31年4月から地域づくり課に「定住移住班」を設置し、ワンストップ窓口として、きめ細かな推進を図ることで、令和元年度の移住者は、昨年12月末現在で66人と過去最高となりました。

令和2年度からは、国の制度を活用した移住支援策にも取り組みます。長崎県が実施している県内就職応援サイトである「Nナビ」に登録し、認定を受けた法人に就職した東京23区からの移住世帯に対し、100万円を上限として支援します。

また、市内の空き家を借り入れてリフォームし、移住者に賃貸を行う「空き家活用団体」を募集して、その団体と「移住者向け住宅確保支援事業」に取り組むことで、増え続ける空き家を活用して、移住者の確保につなげます。

 

【市営住宅の整備】

市営住宅の整備につきましては、老朽化した有家町銭谷団地、堀之内団地、及び西有家町の須川団地の集約建替えに取り組んでおりますが、建替えについて各団地の入居者から事業実施の同意を頂きましたので、早期実現に向けて取り組んでまいります。

【遊休資産を活用した宅地分譲(口之津第一小学校跡地)】

口之津第一小学校跡地を活用した宅地分譲については、基本設計に着手したところです。

令和2年度は地元関係者と協議しながら、実施設計を行い、用地取得を進めてまいります。

 

4 住みやすい環境で健康に暮らせるまち

 

続いて、指針の4点目「住みやすい環境で健康に暮らせるまち」でございます。

 

【健康づくりの推進】

市民一人ひとりが健康で明るく活気に満ちた生活が続けられるよう、令和元年度から「健康づくりポイント事業」を実施しており、現在、約2,900人の参加者が、各種健診の受診や血圧、体重、歩数測定など日々の健康管理に取り組まれております。

令和2年度におきましては、ポイント付与の対象を拡充し、より多くの市民の皆さまが健康づくりに関心を持って取り組んでいただけるよう積極的に推進します。

また、ポイント交換に市内事業所の商品券を活用し、地域経済へ還元するとともに、市民の健康づくりを進めてまいります。

 

【高齢者・障がい者福祉の充実】

次に、高齢者・障がい者福祉の充実でございますが、誰もが、住み慣れたまちで、安心して住み続けられるよう、地域の「かかりつけ医(師)」を中心に、医療や介護に携わる様々な職種が連携して、本人や家族の希望と意思を尊重しながら、自分らしい暮らしを最期まで送ることができるよう、地域包括ケアシステムの構築を進めております。

また、高齢者・障害者等交通費助成事業につきましては、高齢者や障がい者及び自動車の運転免許証を自主返納された方々の、通院や買い物などの移動手段の確保を目的に実施しております。令和2年度は、原動機付自転車の運転免許証を自主返納した方も交通費助成制度の対象とすることで、高齢者の事故防止にも取り組んでまいります。

 

【公共交通対策】

今後予想される高齢者の免許返納等に伴う交通弱者の増加に対応するため、現在の高齢者・障害者等交通費助成制度に加え、コミュニティバスの導入など、新たな交通支援対策の構築に向けた検討を始めます。

 

【上水道の整備】

上水道整備につきましては、生活基盤耐震化事業の緊急時給水拠点確保事業として、西有家地区の配水管約1キロメートルの布設替えにより同地区の計画は完了する見込みであります。また、龍石浄水場の整備は令和3年度の完成を目指し事業を進めております。重要配水管の耐震化や老朽管の更新につきましても、順次行っていくこととしております。

水道施設の老朽化対策のためには、今後10年間で20億円を超える更新事業を実施する必要があります。しかし、人口減少等の水需要の低下に伴い水道料金収入は減少する見込みであり、引き続き安定した水道事業経営を行うためには、水道料金の改定が必要となります。

料金改定につきましては、令和元年度の決算を分析のうえ、南島原市上下水道料金等審議会に諮問して対応してまいります。

 

【下水対策の推進】

下水道事業について、令和2年4月1日から下水道事業特別会計を公営企業会計に移行します。これにより、財務諸表等の作成による経営診断や将来の経営計画策定方針の明確化、及び減価償却資産の適正な把握に基づくストックマネジメント計画の実施による施設の維持改善や長寿命化など、より効率的で健全な事業運営を図ってまいります。

また、本市の汚水処理人口普及率は50.4パーセントと、県内平均の80.9パーセントを大きく下回り、県内で15位という低い状況にありますので、合併処理浄化槽の設置に係る浄化槽設置整備事業補助金を拡充し、令和2年度から3年間重点的に取り組みます。

さらに、個人負担となっている浄化槽法で定める法定検査費用を市が負担する補助制度を新たに設け、浄化槽の普及促進と適切な維持管理を推進し、より一層の公共水域の水質保全と生活環境の改善、汚水処理人口普及率の向上に努めてまいります。

 

 

5 安心して子育てができ、いきいきと学ぶことのできるまち

 

続いて、指針の5点目「安心して子育てができ、いきいきと学ぶことのできるまち」でございます。

 

【子育て支援の充実】

まず、子育て支援についてですが、

母子の健康を守るために、無料で受診できる妊婦健康診査及び妊婦歯科検診に加え、新たに産後の健診として、産婦健康診査に取り組んでおります。

また、心身ともに不安定になりやすい出産後の心身のケア及び育児サポートを行うための産後ケア事業を行っております。

子育て世帯への経済的な支援といたしまして、多子世帯における2子目以降の保育料を無料とし、さらに、国による無償化の対象から外れた副食費については、市独自の事業としてこれを全て無料としております。

子どもにかかる医療費の助成につきましても、その対象をこれまでの中学生から高校生まで拡大しております。

また、2歳までの乳幼児を養育している家庭に対し、おむつ等の購入を助成する「すくすく赤ちゃん券」は、子育て世代から「たいへん助かっている」との声を頂いております。

加えて、保育士が働きやすい職場環境を整備する事業や、保育士資格を持たない高校卒業者等を保育補助者として雇用し、働きながら資格取得を目指すことができる事業にも、市内の関係団体等と協力しながら取り組んでまいります。

妊娠・出産・子育てを切れ目なく支援するため、子育て世代包括支援センターを設置し、専門職員によるワンストップサービスを 整備するとともに、支所窓口相談においても、センターの専門職員と直接対話が可能なテレビ通信システムを整備することで、よりきめ細やかな対応ができるよう努めてまいります。

安心して子育てができるまちを実現するため、これらの産前、産後、乳幼児期から高校生までを通した切れ目のない支援を、引き続き推進してまいります。

そのほか、こども支援の充実を図るため、北有馬保育所及び北有馬幼稚園を廃止し、新たに南島原市立認定こども園北有馬こども園を設置いたします。

 

【英語教育の推進】

子どもたちの英語教育につきましては、児童生徒の学習意欲の向上と国際感覚の醸成、英語教育の質的向上を図るため、外国語指導助手(ALT)に加え、本市独自の英語指導助手(EAT)6人を配置しており、学力向上と教員の指導力向上にも大きく寄与しております。

併せて、平成30年からは、英語検定料の全額補助の実施により、受験者・合格者が増加するとともに、小・中学生の英語に対する意欲や関心が高まるなど、本市の英語教育において相乗効果が得られているところであります。

令和2年度におきましても、これらの施策を引き続き推進してまいります。

 

【有家小学校校舎の新築】

「有家小学校」、「蒲河小学校」、「新切小学校」の統合に伴う校舎新築工事につきましては、既に建物の基礎工事を終え、現在、校舎本体の建設を進めているところです。

新たな校舎は、令和3年の1月に供用を開始し、同年4月の統合後は、蒲河、新切地区の子どもたちも新校舎で学ぶことになります。

引き続き、子どもたちの安全確保を第一に、周辺住民の皆さま方の生活環境にも十分に配慮しながら、新校舎の供用開始が円滑に行えるよう、着実に工事を進めてまいります。

 

【学習環境の整備】

また、子どもたちの学習環境の改善のために整備を進めております空調設備につきましては、昨年8月までに、小・中学校の全ての普通教室に設置を完了しており、令和2年度は、「音楽室」、「理科室」、「家庭科室」を基本に、特別教室への設置を進めてまいります。このほか、学校体育館照明のLED化や、校舎の外壁・トイレの改修など、学校施設の整備を積極的に進めてまいります。

 

【学校給食センターの建設】

新学校給食センターにつきましては、令和3年9月の供用開始が円滑に行えるよう、着実に工事を進めるとともに、学校給食会と十分に連携を図りつつ、給食センターの統合を進めてまいります。

【有馬商業高校跡地を活用した多目的運動広場の整備】

有馬商業高校の跡地を活用した「多目的運動広場」の整備につきましては、「サッカー」や「グラウンド・ゴルフ」をはじめ、各種の軽スポーツ、イベント、レクリエーション活動など、様々な用途に利用できる施設として、整備してまいります。

施設の整備につきましては、令和2年度に着工し、3年度中には、市民の皆さまが集う憩いの場所として、供用を開始できるよう取り組んでまいります。

 

 

6 その他(行政改革関連)

 

【新たな機構組織と庁舎の再配置】

市の新たな機構組織と庁舎の再配置(本庁部局の再配置)につきましては、令和元年度から新たな組織への移行を進めており、令和3年4月までに完了させることとしております。

令和2年4月におきましては、島鉄跡地を自転車道路として利活用するため、建設課に「自転車道路整備班」を設置いたします。また、市民に安全・安心な水を供給している「水道部」と、市民生活に関わりの深い環境・衛生に関する業務などを集約し「環境水道部」に再編するほか、市民の健康増進に関わりの深い「保険年金課」と「健康対策課」を統合し「健康づくり課」とするとともに、西有家地区の市民窓口として「西有家支所」を設置いたします。

そして令和3年1月には、今まで以上に子育て・子ども支援などの政策の充実・強化を図るため、福祉保健部を教育委員会のある南有馬庁舎に再配置し、併せて、農林水産部と建設部を集約するため、建設部を有家庁舎に、環境水道部と衛生局を集約するため、環境水道部を南有馬衛生センター庁舎に再配置いたします。

 

【公共施設等総合管理計画に基づく個別施設計画の策定】

公共施設等総合管理計画に基づく個別施設計画につきましては、公共施設の適正な配置を推進していくため、今年度策定しているところです。

今後の個別施設計画に基づく施設整備等の財源確保対策として、公共施設整備基金を設置します。

「次世代への負担を残さない持続可能なまちづくり」のため、地域の皆さまの理解を得ながら進めてまいります。

 

【ふるさと応援寄附の拡大実施】

平成29年度までの寄附額は2億円前後で推移していましたが、全国的なふるさと納税の拡大・世界遺産の認定効果により平成30年度は3億7千万円に達しました。令和元年度は、主力返礼品の フルーツ定期便が前年度比約4倍の1億円を超える見込みであり、また、寄附単価が高い傾向にある東京圏(東京都、千葉県、埼玉県、神奈川県)からの寄附が、約2億円から4億円に倍増するなど、  大幅に伸びていることから、総額9億円を超える寄附額を見込んでいます。

寄附額の約3割は、市内事業者の売上増に直結することから、更なる寄附サイトの追加などにより、令和2年度は10億円を超える寄附を目指してまいります。

 

 

第3 令和2年度当初予算編成方針

 

最後に、令和2年度当初予算の編成にあたっての考え方についてご説明申し上げます。

本市は合併時の財政状況に鑑み、これまで財政健全化に着実に取り組んでまいりました。

その結果、人件費の削減、地方債残高の大幅な減額、公債費の抑制及び基金残高の大幅な増額など、一定の効果をおさめているところでございます。平成30年度決算におきましても、経常収支比率は安定した状況にあるとともに、健全化判断比率も改善傾向にあるところでございます。

しかし、過疎債は令和2年度まで、合併特例債は令和7年度まで活用できることになったものの、平成28年度から普通交付税合併算定替の段階的縮減が始まり、29年度以降、縮減率が拡大されていることから、令和3年度までは普通交付税が毎年度大きく減少することを十分に認識しておかなければなりません。

また、平成28年3月に策定した「第3次南島原市行政改革大綱」において示しております、

1.選択と集中による行政運営

2.健全な財政運営

3.効率的な組織の構築と職員力の向上

に取り組み、確実な成果と効果を積み重ねていくことで、将来に備えた強固な財政基盤を構築することが重要であります。

このようなことから、令和2年度当初予算の編成においては、健全な財政運営を確実なものに構築していくため、歳入歳出全般にわたり更なる見直しを行いました。

しかしながら、

○「第(2)期南島原市総合計画」が目指す、本市の将来像実現に資する事業、

○「市総合戦略」に基づく人口減少対策、あるいは地方創生に関する事業、

○所信表明に沿った事業

を推進していく必要があるため、「第(2)期総合計画」に位置づけた14の重点プロジェクトについて、「南島原市創生特別枠」を設定し、重点配分を行い優先的に取り組むことといたしました。

その結果、一般会計の予算総額は、令和元年度当初予算と比べて5.2パーセント増の345億7,237万5千円、国民健康保険事業特別会計など特別会計予算の総額は、下水道事業特別会計が企業会計へ移行したことから、同7.8パーセント減の90億6,898万6千円となりました。

また、企業会計の総額は、同48.7パーセント増の27億4,390万2千円となりました。

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