クセのない風味とシャキシャキとした食感のアスパラガス。鮮やかな色合いからサラダや炒め物、揚げ物にして、食卓を彩ってくれます。原産地はヨーロッパで、アスパラガスに含まれるアスパラギン酸は疲労回復の効果、滋養強壮作用があり、昔から薬用としても栽培されていたそうです。
今回はそんなアスパラガスを栽培する農業者さんにお話を聞きました。
プロフィール

園田直也さん 口之津町在住。
就農23年目。
大学卒業後、会社員を経て就農。
スマート農業技術を活用した農業を実践中。
栽培農作物

・アスパラガス(16.5アール)
・タマネギ(30アール)
・ミカン(50アール)
・カボチャ(1アール)
就農のきっかけ
人生観の変化
大学卒業後、帰郷して働いていた会社が倒産。それを機に長年行きたかったイタリアへ行くことを決意して、航空券と初日の宿しか予約せずに単身渡欧しました。英語ならまだしもイタリア語なんて全く話すことができなかったので滞在中は苦労の連続でした。しかし、その経験が今となっては貴重な財産になったと思います。
人との出会い
イタリアから帰郷したタイミングで、近所の農家さんから「アスパラガスをつくってみないか?」とお声掛けをいただいたことがきっかけで栽培を始めました。また、就農後も何かと相談に乗っていただくJA指導員さんとアスパラガス栽培の達人との出会いに恵まれました。特にアスパラガス栽培の達人の存在は大きく、これまでずっとその方の背中を追ってきました。
畑の存在
農家だった祖父の畑があったことも就農の大きな理由です。
年間スケジュール
アスパラガスの旬は春と夏の2回
一般的な特徴
・春アスパラガスの特徴・・・濃い緑色で味が濃い
・夏アスパラガスの特徴・・・春アスパラガスと比べると緑色が薄くすっきりとした味わい
仕事のやりがい・苦労している点
仕事のやりがい
農業は決断の連続です。そしてその決断が生活に直結します。この点は会社員時代と比較してやりがいを感じますね。
苦労している点
アスパラガスは風で揺れると成長が阻害されてしまうので台風には神経を尖らせます。特にハウスにダメージを与える可能性が高い強風を伴うものは注意を払います。台風の大きさや特徴を鑑み、ビニールをはがすかどうかギリギリまで悩みます。
園田さんのこだわり
アスパラガス栽培のポイントは、温度や日照量、水分、それに土づくりです。そのため、細やかな管理が欠かせず気の抜けない作業が続きます。特に全刈りのタイミングは温度など一定の基準を満たした時点が最適だといわれていますが、その判断は以前は勘や経験に頼っていました。しかし、数年前からスマート農業技術を導入したことにより、データに基づいた管理が可能となりました。スマートフォンで適宜確認できるのも便利ですね。
スマート農業
園田さんはアスパラガスに係るスマート農業に取り組んでいます。アスパラガスに係るスマート農業とは、生産で重要とされる温度管理や日照量、水管理などを可視化して安定的な生産を実現するとともに、収穫や出荷に係る労力を低減した生産体系のことをいいます。
園田さんの1日

冬季

夏季
収穫シーズンには次から次にアスパラガスの芽が出てきて1日に朝と夕の2回収穫する必要があります。朝から晩まで作業が続き就農当初は倒れるかと思いましたよ(笑)最近ではさすがにそういうこともないですが、子育てに追われています。夜は子どもを寝かしつけながら自分もいつの間にか寝てしまっています。
お仕事道具
アスパラガス用ハサミとスマートフォンです。ハサミは作業がしやすいように通常のものより刃が長くてガード付きになっています。スマートフォンはデータ管理をする上で欠かせない相棒です。
おいしいアスパラガスの見分け方

(1)太くまっすぐ伸び、穂先がしまっているもの
(2)緑色が鮮やかで、全体にハリがあるもの
(3)切り口は丸くて白くみずみずしいもの
皆さんに伝えたいこと
私の場合は、人生観の変化や出会いなどがきっかけとなって今の道に進みました。
よくイタリアに降り立った夜のことを思い出します。駅を1歩出ると辺りは真っ暗で、なかなか駅から外に出ることができませんでした。ただ、そのとき勇気を出して踏み出せた自信がその後の人生の糧となりました。
皆さんもまず1歩踏み出してみてください。勇気をもって進んでほしいです。
リンク
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